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桐嶋詩織は、藤宮桃子のツイッターのホームページを凝視するように見つめていた。彼女はそこに投稿されたすべての動画を、ひとつひとつ真剣に観ていた。
【彼はいつも、スイカの一番甘いところを私にくれるの】
【どんなに帰宅が遅くなっても、必ず何かしらプレゼントを持ってきてくれるの】
【神官にお願いしてお守りをもらってきてくれたの。私が安全に過ごせるようにって、心から祈ってくれて──】
…
動画の中で語る少女は、真っ白なドレスを身にまとい、どこか儚げで繊細な雰囲気を漂わせていた。彼女の容姿は決して華やかではないけれど、その純粋で無垢な佇まいに、微笑むたび愛らしさがにじみ出る。
詩織は、まるで狂信的な信者のような執着で、動画の中に映る“彼”の正面を捉えようと必死になっていた。
だが、少女が語る幸福な日常と甘い恋人のエピソードだけで、詩織の心は静かに、けれど確実に絶望へと沈んでいった。
十五日、クリスマスイブ、バレンタイン、──そして詩織自身の誕生日に至るまで、彼らはいつも一緒に過ごしていた。
その一方で、彼女の夫・桐嶋凌久は、この三年間、そういった大切な日を一度も共に過ごしてくれなかった。
ブロガーの名は「死へのカウントダウン」。
詩織が唯一フォローしているアカウントでもある。
その意味をじっくり考える間もなく──浴室のドアが音もなく開いた。
部屋の灯りと影が混ざる中、広い肩幅と引き締まった腰を持つ男のシルエットが浮かび上がった。タオル一枚を腰に巻きつけた彼の髪からは、まだ水滴が滴り落ちている。
照明が薄暗いにもかかわらず、その整った顔立ちと均整の取れた体はまったく魅力を損なっていなかった。
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