searchIcon closeIcon
キャンセル
icon 0
icon チャージ
rightIcon
icon 閲覧履歴
rightIcon
icon ログアウトします
rightIcon
icon 検索
rightIcon

Elder Last Emblem

私だけを忘れた夫へ、女王からの訣別状

私だけを忘れた夫へ、女王からの訣別状

小田切優
鹿野黎依はかつて、夫である羽海斯寒に命を懸けて救われたことがあった。 しかし記憶を失った羽海斯寒は、よりにもよって彼女のことだけを忘れてしまった。 結婚3周年記念日、羽海斯寒はあろうことか人前で浮気し、彼女にこの上ない屈辱を与える! すっかり気力を失った鹿野黎依は、その日の夜に離婚協議書へ署名した。 これを境に、彼女は女王としての本来の姿を取り戻す。世に名高い鬼医、伝説のレーサー、国際的なトップハッカー、そして天才デザイナー……そのすべてが彼女の顔だったのだ! 後日、羽海斯寒は激しく後悔するだけでなく、失われた記憶をも取り戻す。 そして彼は、結婚式場に乱入し、花嫁を奪おうとさえした。 「黎依、頼む。もう一度だけチャンスをくれ!」 だがその時、鹿野黎依の腰はすでに“とある大物”によって抱き寄せられていた。 その人物は鼻で笑い、こう言い放つ。「俺の女に手を出すとは……命知らずなやつだ」
都市 正体を隠す裏切り正体を隠す女王様の逆襲最強ヒロイン
アプリで小説をダウンロード

瀧ノ上瑞貴は、自らが支援していた貧困学生に心を奪われていた。

結局、七年目の壁を私たちも乗り越えることはできなかった。

すべてを打ち明けたあの日、私は驚くほど冷静だった。言い争いの末、瀧ノ上瑞貴は私を選び、彼女を去らせた。

しかし、婚約披露宴当日――同心湖で誰かが溺れたという噂が町中を駆け巡った。

不安に駆られた彼の腕を、私は涙を浮かべて掴んだ。「瀧ノ上瑞貴、この扉を出たら、もう私たちの"これから"はないの」

その目に宿るのは、嫌悪と非難を隠しきれない色だった。「薫を失うくらいなら、死んだ方がマシだ」

「江原瑶子、これ以上、俺におまえを憎ませるな!」

その言葉に、思わず体が強張る。彼は私の手を振りほどき、振り返ることなく駆けていった。

真っ白なウェディングドレスに目を落としながら、私はふっと笑った。

瀧ノ上瑞貴が背を向けるなら、私がここに留まる理由なんて、どこにもない。

......

勢いよく閉ざされた扉を見つめながら、こらえていた涙がついに頬を伝った。

柳瀬薫の存在を知ったのは、ずっと前のことだ。

瀧ノ上瑞貴が慈善プロジェクトを担当した際、社会的なイメージを高めるために、会社の上層部は自主的に困窮学生を一人ずつ支援することになった。

職場というのは現実的な場所だ。多くの社員は形だけ、与えられた額を出して体裁を整える――私もその一人だった。

けれど、瀧ノ上瑞貴は違った。人畜無害な"しらゆり"のような彼女を見て、心を奪われたのだ。

瀧ノ上グループでは、最低でも重点大学卒でないと採用されない。それにもかかわらず、彼は社内の反対を押し切り、民和学院出身の柳瀬薫を秘書部に迎え入れた。

陰口や噂話が耳に入らなかったわけではない。ただ私は、瀧ノ上瑞貴の人となりを理解しているつもりだったし、七年に及ぶ私たちの関係を信じてもいた。

だが、現実は非情だった。

いつからだろう――彼のスマートフォンのロック画面もパスコードも変わり、SNSの投稿は三日間のみ閲覧可能に設定されていた。かつて言葉少なだった彼のトークには、今や百枚以上のねこのスタンプが保存されている。

細部というのは、人を追い詰めるものだ。

だから私は、瀧ノ上瑞貴の少しずつ崩れていく言動に目を向けるようになった。

記念日の夜、彼の枕元のスマートフォンはひっきりなしに震えていた。まるで義務を果たすかのように、彼は手早く事を済ませ、シャツを引っ掛けるようにして、振り返りもせず浴室へと消えた。

だが、シャワーの音は一向に聞こえてこない。磨りガラス越しに伝わってきたのは、瀧ノ上瑞貴の低く湿った笑い声だけだった。

気づけば、私は彼の仕事用iPadに手を伸ばしていた。

用心深い彼にしては珍しい油断だ。新しい刺激に目が眩んだのか、それとも、私があまりに盲目的だったから、彼は安心しきっていたのか――。

リアルタイムで同期されるチャット履歴が、現実感を曖昧にさせる。【うさぎちゃん】という名前で登録されたその女の子が送る音声メッセージは、どれもこれも、甘ったるいほど可愛らしかった。

彼女は拗ねた声で、どうしてすぐに返信してくれないのかと瀧ノ上瑞貴に問いかける。瑞貴はねこの謝罪スタンプを送って、さっきまで仕事をしていたと説明していた。

少し上まで遡ると、ふたりはたくさんの話をしていた。

どこのケーキが美味しいか、話題の新作アニメ映画のこと、柳瀬薫の白くてしなやかな指先には楕円形ネイルと涙型ネイルのどちらが似合うか――。

瀧ノ上瑞貴は、ひとつひとつ丁寧に返していた。言葉の端々に滲むその優しさは、私の最後の心の防波堤を容赦なく打ち砕いていった。

七年も枕を並べてきたのに、私は――瀧ノ上瑞貴に、こんな一面があるなんて知らなかった。

すぐ読みます
その日、ウェディングドレスを着たのは彼女だった

その日、ウェディングドレスを着たのは彼女だった

天乃きらり
瀧ノ上瑞貴は、彼が支援していた貧困生に夢中になった。 結局倦怠期、私たちも免れなかった。 すべてを打ち明けたその日、私は異様なほど冷静だった。膠着の末、瀧ノ上瑞貴は私を選び、あの少女を追い払った。 婚約パーティー当日、通行人の間で「同心湖で誰かが溺れた」との噂が広まった。 私は目を赤くしながら、ひどく取り乱す彼を引き止めた。「瀧ノ上瑞貴、このドアを出たら、私たちに“その後”はもうないのよ」 彼の瞳には、憎しみと責める色がはっきりと浮かんでいた。「彼女を失うくらいなら、死んだ方がマシだ。」 「瑶子、俺にお前を憎ませないでくれ。」 私は思わず動きを止めた。
都市 裏切り復讐
アプリで小説をダウンロード
婚約者の裏切り?問題なし、叔父が甘すぎます

婚約者の裏切り?問題なし、叔父が甘すぎます

嵐山 琳
[正体隠し+スピード婚+契約結婚からの溺愛+スカッと系ざまぁ] ある名家の令嬢は、20年間も田舎に置き去りにされて育った。都会の実家に戻った矢先、婚約者と家の養女の浮気現場を目撃してしまう。自暴自棄になった彼女は、勢いで婚約者の叔父のベッドへもぐりこんだ。 一夜の気まぐれが、亡き許嫁のために3年間も操を守り続けてきたと噂の男の理性を、いとも簡単に打ち砕いてしまった……。 事後、ストイックで知られるその男は「体だけの関係だ」と言い放つ。腰の痛みに耐えていた彼女は、それを聞いて呆れて笑ってしまった! 「昨夜のあなたの腕前だけど、はっきり言って、満足度はイマイチね。チップは2
都市 CEO陰険傲慢/支配一目惚れ契約結婚
アプリで小説をダウンロード
復讐の契りと、車椅子の君

復讐の契りと、車椅子の君

雛菊ひな
安田真紗は宮新隼人を長年密かに想い続けていたが、彼に亡き母のすべてを奪われた。結婚して三年、彼の心にはただ心に残る理想の恋人が輝いていただけだった。裏切り者の夫に捨てられたとき、中村陽が彼女の命を救った。あの頃、彼女は裏切り者の元夫のために、中村陽をひどく傷つけたことがあった。しかし、三年後に再会したとき、彼が車椅子に座っているとは思わなかった。今回、彼女は恋に溺れることなく、目の前の賢い男を見つめて言った。「中村会長、私はあなたの足を治します。あなたは私の復讐を手伝ってくれますか?」亡き母の遺産を奪い、心まで踏みにじった夫・宮新隼人。三年の結婚生活は、彼の“初恋”の影ばかりだった。捨てられた
都市 CEO多重身分魅力的離婚
アプリで小説をダウンロード
裏切り婚から始まる、義理叔父との逆転劇

裏切り婚から始まる、義理叔父との逆転劇

秋山暁
結婚式当日、かつて私をいじめていた学園の女王が人前で花婿を奪った。 私は当然、彼が私の隣に立ち続けてくれると信じていた。 だが、彼は私の手を離し、迷いなく彼女のもとへ歩いていった。 その後、私は学園時代のいじめを暴き、彼女を訴えた。 しかし彼はそれをもみ消し、逆に私を「名誉を傷つけた」と告発した。 一瞬にして、私はネット全体から嘲笑と非難を浴びる存在になった。 披露宴の場で、彼は嘲りを込めて言い放つ。 「おまえの体の傷跡を見るだけで反吐が出る。」 「諦めろよ。俺の後ろには国家と渡り合えるほどの資産を持つ後ろ盾がいる。おまえが敵うはずない。」
恋愛 いじめっ子復讐再会契約結婚高校
アプリで小説をダウンロード
夜を狩るもの 終末のディストピア[seven deadly sins]

夜を狩るもの 終末のディストピア[seven deadly sins]

主道 学
雪の街。ホワイト・シティのノブレス・オブリージュ美術館の一枚の絵画から一人の男が産まれた。その男は昼間は大学生。夜は死神だった。何も知らない盲目的な人生から大切な恋人に出会うことになる。 [R15][注 暴力表現 グロ要素 有り]
ホラー
アプリで小説をダウンロード
替え玉の花嫁

替え玉の花嫁

羽間 里絵子
  「おばあちゃんの治療費を払うのにお金がどうしても必要なの。お金が手に入ったら、イヴォンヌのかわりにチャールズと結婚するわ」   姉のイヴォンヌが結婚式から逃げ出したとき、オータムは強いられてイヴォンヌのかわりにチャールズと結婚した。彼女の唯一の願いは1年後に離婚することだった。チャールズは金持ちで権力のある男だ。彼の名前は常に無数の女をと一緒に出てきて、しかも気まぐれにガールフレンドを変えている。彼らは誰も、自分たちがお互いを好きになったとは思っていなかった。
恋愛
アプリで小説をダウンロード
月島璃子、その正体、すべて伝説

月島璃子、その正体、すべて伝説

月城 セナ
二十年育てられた家から、突然「あなたは本当の娘じゃない」と追い出された月島璃子。 薬を盛られ、金づるにされかけた彼女は逃げ出し、捨てられるように田舎へ送り返される——が、 待っていたのは、豪邸に住む日本一の資産家・鳳城家の本当の娘としての人生だった。 絵画界の幻の巨匠、医術の天才、音楽界の革命児、IT業界の伝説——そのすべてが、実は“彼女”。 見下していた義妹たち、後悔する元家族、そして……彼女の正体に気づいた京城一の御曹司が囁く。 「もう“奥様”って呼ばせてくれ。俺の妻になるのは、君だけだ」
都市 多重身分強気なヒロインロマンス
アプリで小説をダウンロード
ご近所物語  ハイブラウ・シティ

ご近所物語 ハイブラウ・シティ

主道 学
西暦2068年。日本は超高齢化によって経済的に衰退していった。銃を持つほどの治安悪化。ノウハウというアンドロイドの出現。仕事がなくなる。そんな世界。 そんな中、夜鶴 公はど田舎A区と裕福B区の貧富の差の板挟みにあっていた。 B区からA区へ追放されると、近所にいた総理大臣の娘と出会い。 板挟みに挟まれながら、命掛けの恋愛に踏み切る。 やがて、二人は国を左右するハイブラウシティという出来事へと巻き込まれていった。 日本の分裂した近未来を是正するガンアクション&ラブコメです。 表紙はおうみ舟様です。感謝感激です。
SF
アプリで小説をダウンロード
朝目が覚めたとき、私は魔女でした

朝目が覚めたとき、私は魔女でした

宮原翔太
現役大学生の姫野 雫(ひめの しずく)は大学から疲れて帰って、ベッドの上に寝転んでいたら眠くなってしまいそのままベッドの上で寝てしまった。 ふと目を覚ますと部屋が明るくて日が差していて、朝になっていた。部屋の周りを見渡すと見たことのない家具・天井・照明・そしてベッドの隣には黒紫の三角帽子に黒と白が上下になっているワンピースが置いてあり、何やら木の棒・・・いや、魔法の杖が置いてあった。 そう、朝目を覚ますと異世界に転生をして魔女になっていた。 そんな異世界に転生をした姫野 雫は魔女になり異世界を冒険する物語。 今日はどんな冒険をするのか。
異世界
アプリで小説をダウンロード
離婚したら財閥令嬢に戻りました

離婚したら財閥令嬢に戻りました

銀河鉄
トップクラスの名門一族の後継ぎである彼女は、7年間も一途に尽くし続けてきたが、ついに離婚を決意した。 翌日、彼女は父に電話をかけた。 「お父さん、昔あなたが言っていたことは正しかったわ。禁じられた恋に幸せなんてない。だから離婚して、家に戻って家業を継ぐつもりよ。」 その言葉に父はしばし絶句し、低い声で問い返した。 「おまえは当時、父と縁を切ってまで養子の兄と結婚したじゃないか。なぜ急に考えを変えたんだ。」 彼女の胸はひそかに痛んだが、口元には冷ややかな笑みが浮かんだ。 「彼の大事なものを壊してしまったから……。彼は私を愛してなんかいなかった。これまでの年月は
御曹司 片思い復讐離婚三角関係契約結婚
アプリで小説をダウンロード

人気検索

バラの花はいずれ咲いていく ふたつの心が出会う時 触れない愛 相続人のカムバック 盲目の妻の反撃 前世は夫婦、今世は敵同士
MoboReaderアプリで読む
開く
close button

Elder Last Emblem

ManoBook でElder Last Emblemに関連する書籍を発見してください