高温末世、私だけが生き延びる理由
“私は養子だった.恩を返すため,ずっと実の両親とは関わりを絶っていた.彼らが亡くなり,遺産を残したときも,それすら受け取らなかった.ただ,育ての母を悲しませたくなかったから. やがて,灼熱の終末が訪れる. 家族は弟の妻のために,「男児が生まれる」という怪しい民間薬を用意していた. だが弟の妻は,その怪しげな薬に顔をしかめていた. 私はそれを見て,「こんな時期に子どもを産むのはよくない」とさりげなく口にした. 弟の妻はそれを聞いて,薬をこっそり捨てた. 終末が訪れてから,1週間も経たないうちに人工降雨が実施される. 家族はそれで「もう大丈夫」と勘違いした. そして彼らは,弟の妻が私の言葉で薬を捨てたことを知る. 「家系を絶やした」と,私を非難した. ついには私を家から追い出した. そして私は--焼けつくような暑さの中,命を落とした. ......二度目の人生.私は莫大な遺産を受け継ぎ, それを使って完璧なシェルターを作り上げた. 今度は,彼らが見る番だ.冷房の効いた部屋で,涼しげに料理を食べる私の姿を. 私は彼らを,見送るだけだ.”