愛した妹を殺した英雄
“火の海に包まれた妹から, 必死の助けを求める電話がかかってきた. 私は冷たく言い放った. 「また莉結をいじめるための狂言か? お前なんか, 死ねばいい」 そうして通話を切り, 私は実の妹を見殺しにした. 数時間後, ハイパーレスキュー隊長の私は, 身元不明の焼死体を前にしていた. 「自業自得だ」と被害者を嘲笑いながら, 私は犯人である婚約者の莉結を愛おしげに抱き寄せていた. 目の前の黒焦げの遺体が, 私の言葉に絶望して息絶えた妹だとも知らずに. だが, 遺体の手首に残るヘアゴムを見た瞬間, 私の心臓は凍りついた. それは昔, 私が妹に贈った安物だった. 震える手で, 現場に落ちていた携帯に妹の誕生日を入力する. ロックが解除された画面には, 私に向けた笑顔が映っていた. 「嘘だ... 嘘だと言ってくれ, 奈津穂! 」 英雄と呼ばれた私はその日, 最愛の妹を殺した殺人者へと堕ちた.”