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兄の悔恨、炎に消えた妹

第9章 

文字数:1699    |    更新日時: 24/12/2025

いて、もうこれ以上見ていられなかっ

橘隊長を、そ

は、部下

ら引き離した。蒼甫は、抵抗する力もなく、彼

虚ろだった。まるで魂が抜け

葵…

見つめていた。彼の世界からは、色も

座らされた。しかし、

に水の入ったコ

プを掴んだが、す

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兄の悔恨、炎に消えた妹
兄の悔恨、炎に消えた妹
“助けて,お兄ちゃん. 炎が身を焦がす熱さの中で,私は最後の力を振り絞った.両手は後ろで縛られ,口には粘着テープがびったりと貼られていた.声は,意味のある言葉にはならない.しかし,まだ動く指先が,ズボンのポケットの中で,冷たい液晶画面に触れた. ...よし,ロックは解除済みだ.さっき,あいつらが油を撒いている隙に,触れておいて正解だった. 呼吸が苦しい.煙が目に染みる.でも,諦められない.お兄ちゃんに,真実を...! 私は,鼻と顎でポケットの中のスマホをこする.画面が光った.「ヘイ,Siri,兄に電話」 できるだけはっきりと,それでも詰まったような声で命じる. 呼び出し音が鳴り響く. 鼓動が早くなる.どうか,どうか出て...! 『...もしもし?』 聞き慣れた,しかし今は冷たいその声が,耳に飛び込んできた. 「ん...! お,おに...ぐっ...!」 テープの下から漏れる呻き声.焦りで足をバタつかせる音.倒れこむ私の体と,近づく炎の爆ぜる音.すべてが雑音として電話口に伝わる. 『...また,美桜をいじめるための狂言か?』 違う!違うのに! 「っ...! た,すけ...」 『嘘つきの放火魔が.』 その一言が,私の心の炎を消した.全身の力が抜ける.抵抗する意味が,なくなった. 『お前なんか,死ねばいい』 プツッ. 世界が,静かになった.熱で溶けた携帯が手から滑り落ちる音さえ,遠く感じる. ああ,これが,世界で唯一,私を愛してくれなかった人からの,最後の言葉. もう,疲れた. そう思った瞬間,背中の古い火傷の痕が疼いた.幼い頃,お兄ちゃんを庇った時の,あの傷.すべての始まりだった. 英雄と呼ばれた橘蒼甫はその日,実の妹である私を,その「無関心」という名の手で殺した. そして私は,その一部始終を見届ける,ただの魂になった.”
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