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虚空の寄る辺

チャプター 5 いつもの発作

文字数:5216    |    更新日時: 29/05/2021

特に近年の大改修によって、外観も内装も見違

める近隣の中学生にとっては、憧れの的であるこの高校、

と違い、ここには未だ屋上と呼ばれるものがある。も

。早朝や昼休み、夕暮れの放課後。この屋上と

胸よりやや高いフェンス。それをま

然な異物は、きっと改修以前の名残りだ。そこに腰掛けてぷらぷら

と、いつも心地いい気持ちになる。その

イ』は佇《

でしまおう。この息を吐ききったら

重さ。生きることでは薄れてしまうそれらが、飛び降りてから地

私自身は息も絶え絶えなのに、実

きられるようになっているのだろう。自分の体がこん

っているのに、私自身はその

ふっと軽くな

鮮度がいい。網膜に刺さる光の先端の感触。肌に全てが触れて、溶けて、ふっと

少し離れたところ、同じコンクリート塊に、同じように座っていた人影に気がついた。同い年ぐらいの男の子。一体いつから座っていたのか。飛び降りようとしていたあの瞬間だろうか。でも、ひょっとしたら私よりもず

見てる

話し

て死のうと

・意外・・・

前も

う。さっきまでそ

が治まったばかりか。

来ることがあったら遠慮せずに言って

助けるのに、意味

感じた。そりゃそうだ。き

時には助けら

もだ

、なかなか困っている人を

彼に寄り添おうとした。彼は

は違

き方を変えようとは思わないし、そもそも変えられるものじゃない。だが、この生き方を貫いても救われるのは俺だけで、世の中は全く良くならない。むしろ悪くなる一方だ。俺はどうせ生きるなら少しでも世の中を良くしたいし、そうでなければ生きている意味はない。だが俺には世の中を良くすることも、俺を取り巻く世界も良くすることは出来ない。だったら生きている意味はない。そんな理由で生きるのはただの自

な馬鹿な。正直者が苦労するの

濁《にご》り、汚れ、欲をかき、それでもなんとか生きようとしている。そんな人間ばかりだ。幾ら何でもずっ

。私にはない感覚だから。その・・・もっと楽に

て欲しくないことは、

わけじゃない

飛び降りる時に、一緒に持

・・・

った。おかげで、死に

それがやや控えめに、柔らかく弱くなってこちらを見ている。た

番信じてた人

すい雰囲気ではあったが。だがどちらかというと白状しようという

けど、いざとなったらあっさり逃げた。私の前からあっさりいなくなって、もう彼の目には私は映

始まった時からか。では今まで

初めて気づ

で何も信じて

元の世界に戻れなくなっただけ。もといた世

端、涙を抑え

いように、気配りもしてくれた。私たち、本当に付き合ってるのって気持ちにもなったけど、それがあいつなりの、愛の表し方だって納得してた。ヤったのは中学校を卒業した次の日。それから生理がこなくなって、ラインでそれを伝えたらそれっきり。母親は父親に伝えなかった。連れられた産婦人科で、堕した。しばらくしたら下駄箱に封筒が入ってて、アイツの名前と万札が何枚か入ってた。破り捨てたよ。でも破り捨てた後、ひょっとしたらアイツも悩んでたのかなって。私は友達ばかり優先してたし、アイツには友達の愚痴ばかり言ってた。まるで愚痴を放り込むゴミ箱みたいに

ているのも辛

。確かに

り込む。呼吸を整え

さも無気力も疲れも、闇に小石を投げたみたいに吸い込まれるみたい。後には純粋な、ただ真っ黒い気持ちだけ

も感じない。ただ目の前のことを感じるように感じて、感じるように動

葉なんかためになった

教訓めいたことを言ってしま

暗くなる。足元に気をつけろよ

アオイはそれだけのことに心が震えたのだ。きっと彼は運動が出来て、頭も良く、普段から物事をよく考え、様々な経験をしている。そもそも自分とは比べ物にならないほど才能に恵まれ、比べものにならないような宿

あった彼の後ろ

いつ人助けしたかなんて答えられないぐらい、私はそんなこと意識して生活してないから、何言っても半端なことになっちゃうけど、あな

たさっきと同じように頭を搔《か》く。今度は何やら照

《じきひつ

う》が入っている。エンブレム?紋章?水戸黄門のモンドコロに入ってそう

沼に咲く見事な花になれ。そんな意味でつけられた。レンジのレンはハスのレンだ。それと子供のことは心

で見えるのだろうか?と、いつの間にかレンジは屋上から消えていた。それがあまりにも突然起こったことの

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