本君
杖で床を鋭く突き鳴らし、震える体でやおら立ち上がると、鬼の形相で佐本知也を睨
東海林家が、これまでどれだけ貴様の面倒を見てやったと思っている。 東海林グ
なけなしのプライドを押し殺し、深く頭を下げる以外になかった。 「東海
らずめ。 我が家の財産を食い潰す穀潰しが、と怒りに任せ
しばって婚約破棄
知也の心中を見透かしたように、東
のに、どこの馬の骨とも知れない男と寝たんだぞ!」 東海林様景は怒りに我を忘れ、祖父が一族の利益のた
ていた。 あの女の容姿とスタイルは、北都市中
とは。 それを思うたび、様景は顔
ッドの上で声ひとつ
いたのは、奔放で愛嬌のある
くに関係を持ってお
の心は揺れた。 どうせ飾りの嫁を娶るなら、多
、すぐに不機嫌な顔をす
する口実を作るために、彼
わざわざ他の男に清祢を寝
のに、どこの馬の骨がその幸運を手にした
を、舌なめずりでもするかのような粘っこい視線
憎悪が、黒い炎のように心の中で燃え盛っていた。
って」 ももの甘ったるい声が
重々しく口を開いた。 「婚約は反故にはできん。 …
ルにいた全員の視線が、並んで
は、駄々をこねていた子供が飴を与え
らうように母である佐本琴葉の後ろに隠れる。 そ
婚約者と義妹が交わす視線の熱に、全身の血が逆流
が、波のように広がる。 佐本家
一日も早く日常を取り戻すため、夫妻は清祢と年頃の近い少女を孤児院から養子
の連絡が入る。 遺伝子データベースから、
、外で苦労を重ねてきた実の娘を家に迎え入れたが、養女を
談として終わ
十七歳の時、育ての親である大西あゆみが交通事故で亡くなった衝
い、 そのどれをとっても清祢は養女の妹を圧倒していたが
数年前、佐本家が経営危機に陥った際、東海林グル
返したのは、ひとえに東
婚を約束した。 当初、その相手は佐本家で育ったももになる
実性を重んじ、佐本家の血
ことを、東海林家が恐れてい
嫁として迎え入れられることはないだろう。 だが、一族の利益は守らねばならな
ておきたいと……」 それまで沈黙を守っていた佐本琴葉
一人として彼女の意思を尋ねなかった。 両家の利益のためだけに、無理や
自分の味方は一人もいない。 実の親でさえ、無意
佐本家の実の娘
この家に引き取られたばかりの頃、両親はももが
分のほうが二日遅いだけだ。
え発せない。 十七歳で初めて会った娘に、親
屋の隣。 対するももは、陽光あ
一万円。 揺れるバスに
政婦は毎日豪勢な食事を用意し、飽きれば五つ星レストラン
へ。 ももは北都市
ら持ってきた古着が数枚。 ももは、数
ツカー。 私の十八歳の誕生日を覚
なパーティーが開かれるというのに、私には小さなケーキの一切
見ず知らずの男に嫁がされる私の気持ちなど、誰一人として考え
花よと育てられた
義妹と情を交わし、私は衆
、壮大な茶番劇では
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