そうに声を落とした
薬の箱を手に取った。だが、動きが少し大きすぎた。今日着ていたワンピースの胸元
った。ほのかに白檀の香りを帯びたスー
……ここんな格好で出歩
れ以上振り返ることもなく、
っと我に返り、遠ざかる背中に向かって声を尖
冷たくて、情け容赦がなく
脇へ投げた。「親父の主治医に伝えろ。次からは薬を直
た、若様」慎
らないのか」征臣は車窓越し
して答える。「
そのまま車を走らせ、
で決めたものだ。会社は年々規模を拡大し、彰人も
が漏れてきた。鈴を転がすような
もせず、扉を
くねらせながら媚びるように振る舞っていた
り、慌てて脇へ退いた。白いシャツのボタンは胸元
は柔らかく微笑んだ。「
返った。一瞬、目に走る動揺を
に二人を見つめた。ついさっき目にし
だった
ける。「ペンを落としただけだ。彼女が拾ってくれただけで……」
い香水の匂いを感じた。それは、いつも彰人の
大人しく眠っている時だ
、差し出しながら言った。「汐里、今日は来て
答えた。「今日は、離婚
からグラスが滑り落ちた。床に水
いるつもりだ。この数日は機嫌が悪いだけだと思って、俺は目をつぶってきたんだぞ」少し間
く。「離婚後、万森グループはあなたのものよ。会社を奪うつもりはない」彼女は視線を逸ら
の色が滲む。「俺たちは愛し合ってきただろう。結婚したばか
愛していると言いながら、別の女と同じ
議書に署名して」 そう言い切ると、
みが走る。「汐里……一体、何をそんなに意地になっているん
く、感情を抑えた声で言う。「これにサインして。
ごしてきた俺たちだぞ。そんな簡単に切れるものじゃない……俺はお前を愛してる。離
、そういう話は聞きたくない」静かだが、揺るぎのない声だった。「事実がどうだ
に、今は会社の口座にかなりの穴が空いている。俺が必死で埋めているところだ」彼は言い聞かせるように続ける。「安心しろ。いくつか大き
当に入れられている。今すぐ取り戻す
で彼を見た。清水グループが、彼女にとってど
お前だって、このまま潰れていくのを黙って見ていたくはないはずだ」彼は一歩踏み出し、必死に食い下がる。「清水グループの資産
を強く抱き寄せ、低く顔を埋め
た。次の瞬間、乾いた音が室内に響く。——
頬には、はっきりと五本
ける。「……汐里、どうしてそんなに分からず屋なんだ」声には怒りが滲んでいた。「こ
「全部、あなたが自分で招いたことよ、こ
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