想い人に妻の座を譲るはずが、夫の本命は私だった
“父を亡くし,200億もの借金を背負って田舎から戻ってきた石川咲凪. 借金を返すため,彼女は都の名家の間で名を轟かせる「風間家の三男」,風間天陽を自ら訪ねた.「私と結婚して.あなたの大切な人を救ってあげる」 その医術を頼みに,咲凪は風間夫人となった. だが誰もが,田舎娘にその座が長く務まるはずはないと信じて疑わなかった. ところが,離婚の知らせが届くより先に,彼女の隠された顔が次々と明らかになる! 神の手を持つ名医も,文化財の修復師も,天才デザイナーも,すべて彼女だったのだ! やがて借金を完済した咲凪は,自分から離婚を切り出す.天陽を見つめ,ぱちりとまばたきした.「いつ離婚の手続きに行く?あなたの好きな人に,奥さんの座を譲らなくちゃ」 その夜,痛む腰をさする咲凪に,彼はゆったりと言った.「奥さん.俺の好きな人なら,目の前にいるだろう?」 ほかに想い人などいなかった. 初めからずっと,彼の心にいたのは彼女ひとり.澄んだ月のように,彼の心の空で輝き続けていた.”