寝室の奥にあるバス
てる。白く細い腕や腰のあたりには、誘拐された際
る。ひりひりと焼けるような痛みが、かえって
の居場所なんて、もう
抑えたシルクのパジャマに着替え、救急箱
た。続いてドアノブがガチャリと回り、扉を乱
ちを隠そうともせずにネクタイを引き抜くと、金のフレ
はわずかに眉をひそめた。恩着せがましい施し
ーはとっくに終わったが、こうして
毒液を含ませ、腕の擦り傷へと黙々と
でしょう。なら
つけられたのか、秀紀は大股で歩み寄り
念日くらいで何なんだ。埋め合
いベルベットの小箱を取り出
買ってきたプラチナのブレス
の、端数にも満たないような安物の箱。それ
く、当然のようにベッドの隣に腰を下ろす
今日、母さんからも急かされたんだ。
から愛純の愛用している甘い香
莉音は反射的にその手を振り払い、立ち上がって半歩後ろへと身を
いで。気
一言一言が氷の塊
るみるうちに怒りで青黒く歪んでいく。彼は勢いよく立
前、自分の立場
陰険な視線で彼
家に嫁げたこと自体、本来なら感謝してもしき
向から受け止めた。両手の拳を強く握りしめ
んて不釣り合いよ。だか
。秀紀は呆気に取られたように目を見
がどうやって俺と離
暴につかみ、無理や
級マンションの管理費すら払
その手を振りほどき、
くても結構よ。明日、弁護士からあな
の怒りが臨界点を超えた。彼は腕を振り回し、テ
響き渡り、破片が四方へ飛び散る。秀紀
の部屋の扉を一歩でも出たら、南嶺市のどこにもお前の居場所などないと思え
るで滑稽な道化でも見るかのよう
け? 終わったなら出て
せ、ぎりりと歯を食いし
手にしろ! 絶対
れるほどの勢いでバスルームの扉
り詰めていた肩の力を抜き、大きな窓の前へと静かに歩み寄
わせると、亡き父がこれを託してくれた
て他人の情けにすがっ
の前へと向かい、一番下の引き
書』と離婚届が、静かに収められていた。まさかこれほど早く使うこ
の署名欄に、淀みない筆致で
た虚飾の結婚生活に、彼女自身の意思で
書類を隠し扉の奥へ戻して引き出しに鍵をかけると
がら、秀紀が出てきた。彼は莉音を一瞥し、何も
伺っていた。いつもなら、彼女がタオルを手にして駆け
ままソファに座り、ただの一
い沈黙だけが、ふたりの
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