科学が否定されたテイン王国。そんな王国の西に位置するヘーゼルの森にある一軒に住むベレッタは母のエリーナと幸せに暮らしていた。母は科学の発展した西の国のエリート科学士だったが、王に魔女の嫌疑をかけられて… 本当の親子とは何か。本当の愛とは何か。本当の温もりとは何か。 「親を失った私に温もりをくれる人なんて…」 これは一人のどん底まで突き落とされた少女が新たな温もりを探すお話です。
何度死のうと思ったか。何度この世から去りたいと願ったか。この世界に居場所などないと思った私は深く絶望し、命の灯火が消えるのを待っていた。希望なんてものは存在せず、私は流す涙などとうに枯れた。生きていてもなにもない。死は救済となるのだろうか。今日も生死を彷徨いながら、命儚くなるその日を待っていた。
浅い眠りから目を覚ましても部屋の中はまだ暗かった。ここに連れてこられてはや2ヶ月。私は今日も見せ物だ。扉から屈強そうな男二人が私を連行しにきた。私は抵抗する気力も起きず彼らのなすがままに付いて行った。「また今日もか…」そう思いながら。
私はあの審判が行われてからずっと貴族の見せ物と化していた。あらゆる手で私を苦しめそれに苦しむ私を見て楽しむのだとか。手錠を掛けられ水槽のような物に入れられる私。間も無いうちに水槽に容赦なく水が投入される。水位がどんどん上がっていく。
足、膝、腰、胸、首………
そしてとうとう私は完全に水に閉じ込められた。私が水中に閉じ込められて苦しんでいる姿をきっと見ている貴族たちは嘲笑っているだろう。5分以上過ぎたあたりから私は気を失ったのか記憶がない。ただ、気絶している時が私の一番の安らぎの時。これでやっと死ねるかもしれない、解放されるかもしれない…と。しかし、現実は虚しくあの暗い部屋で目を覚ましてしまうのだった。