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Time Travelling My Love from the Royal Family

その令嬢、多才につき。

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炎月 陽向
【離婚後、正体バレ、ざまぁ、溺愛、元夫の後悔】 若い頃、水野海月は瀕死の状態だった水野海月を救った。後年、藤本暁が交通事故で植物状態に陥ると、彼女はその恩を返すため、迷うことなく身代わりとして藤本家に嫁ぎ、その医術で藤本暁を治した。 二年間の結婚生活と献身的な介護は、すべてが恩返しのため、そして彼に少しでも自分という存在を見てほしかったから。 しかし彼女の払ったすべての犠牲は、藤本暁の「本命」が帰国した時、泡と消えてしまう。 藤本暁から無情にも突きつけられた離婚協議書に、彼女は潔く自分の名前を書き入れた。 誰もが彼女を「名家から追い出された妻」と笑いものにしたが、誰も知らなかった。サーキットで他を寄せ付けないレーサー「moon」が彼女であり、国際的に有名なファッションデザイナー「Xi」も彼女、天才ハッカー「M」も彼女、さらには世界に名を馳せる神医までもが、彼女の別の顔だったとは……。 元夫は後悔の念に苛まれ、地面にひざまずいて彼女に復縁を懇願する。 しかし、とある若き総帥が彼女をその腕に抱き寄せ、こう言い放った。「失せろ!こいつは俺の妻だ!」 水野海月:「?」
都市 CEO陰険傲慢/支配復讐離婚
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 妻と子供だけは助けて欲しい。

 首元に剣を突き付けられてなお、敵国の王はそう言った。

 敗戦国の王がその代償に妻や娘を要求されることはよくある話だ。そうすることで、国は生きながらえるのだから。

 だから、王がその命を賭してまで親族を見逃してくれと言ったその言葉の意味が一瞬理解出来なかった。

 言葉を咀嚼して。

 そういえば、ああ。王には息子がいたと思い出す。

 なるほど、それならこの国はまだ生きる。

 剣を振りかざすと、王は抵抗の意思は見せず真っすぐに私を見つめていた。

 どうしてかは分からないが、その翡翠色の目はどこか私を見据えているように感じて、気持ちが悪い。

 首を刎ねる。

 抵抗はない。

 頭部はりんごのように転げ落ちて、その体は力なく崩れ落ちた。

 転がった頭へ目を向けると、その双眸はぴったりと私の瞳を見つめていた。

 じっと、私を見ている。

 これまで切り捨ててきた者達の目からはそんなこと、微塵も感じなかったのに。

 それなのに、この王は死してなお私をその瞳に捕らえている。

 気持ち悪い。

 じっと私のことを見据えている王の首も、そして見つめられていると感じている私自身も。

 不明瞭な事は不快だ。

 どう対応すべきなのか、分からないから。

 なので、この感情はいったん忘れよう。今は、この王の首を以て戦争を終わらせることのほうが重要である。

 そうだ。

 それに比べたら、私の感情など些細な事だ。

 そう脳内で完結させて、王の髪の毛を掴み持ち上げる。

 戦争はその瞬間に終わりを告げた。

 戦場にいた人間全員が、構えていた武器を下ろす。

 味方は歓声を、敵は悲嘆の声を。

 私は、特に何も思わなかった。

 戦いが終わった。

 ただ、それだけだと。

 

 ……。

「簡潔な報告だ、エメ・アヴィアージュ。それで、何か弁明はあるか」

「ありません」

 弁明という言葉の意味を咀嚼しながら、なぜ管制室に呼ばれるに至ったのかを顧みる。

 数年に渡り続いた隣国との戦争は、敵国の王が討ち取られたことにより終息を迎えた。元はといえば領土の問題、ちょうど間に位置する一つの町がどちらの国に属するのか、町長の話にも耳を貸さずに始めた事。そもそもこちらの国の領土ではあったのだが、維持や資金援助など一切の関与をせずに放置していたところ、隣国がその援助を始めたことで事態は複雑に絡まり合ってしまった。

 ただ、奪い合っていたもの故か、戦後賠償と原因である町をそのままこちらの国が管轄するに留めた。我が国の不行き届きが原因で始まった戦争だ、そのまま国を侵略してはあまりにも格好が付かない。心の狭い、獣のごとき国として知れ渡ってしまうだろう。

 これ以上は干渉しないという話で、表面上は和解したらしい。らしい、というのは、いち兵士である私に細かい事情など知る由もないからだ。表面上というのも、果たして本当に相互和解に至ったのかどうか。まあ、それこそただの兵士の私には関係のない話だが。

それよりも問題は、いまこの状況だ。突然管制室に呼び出されたかと思えば、王の首を刎ねた事の次第を説明しろと上官に言われて今に至る。敵国の王を討伐したのだ。それなのに、一体何の問題があるというのだろう。私はこの国の兵士として、戦争を終わらせるべく戦っただけなのに。

「アヴィアージュ。お前は優秀な兵士だったが、このような形になってしまい残念だ」

 胸を反るようにして椅子の背に身体を預け、尊大に足を組んでいる。士官の証である緑の制服を着て、きっと、本当にそうは思っていないのだろう。とりわけ尊敬もしていない上官にどう思われようが、私にとってはどうでもいいことだ。

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