海渡…
弾かれたように部屋へ逃げ込み、ドアを閉め、立て続け
の狼狽を愉しむように、悠
照らすのは、テーブルに置かれ
、かろうじて声を絞り出し
井さ
だるい低音だった。 その響きが、真綿
返そうと口を開き
そんな風に呼ばれて
衣は息を呑み、
、そそる格好
よく響く。 意図的に抑えられているせいで掠れ気味に
るのはあまりに明け透
ない心地に、部屋へ飛び込んだ
ように囁く。 「これは、横江
するように摘み上げる。 感情の読めない低い声が、問いか
を感じ、慌てて首を横に振った。 「いえ、違います!あ
と横江渉が廊下で言い争う声
私があなたと付き合うとでも思ったの? 言っておくけど、 海
いる。 「榎本家と藤井家の縁談は決まったことよ
歓迎会で、真衣さんがたまたま手が空いていて、俺のパートナーが足りなかったから、偶然声をかけただけだ」
期待は、渉のその厚顔無恥な言葉
までの
たのが悪いとでも言うように。 巷で囁
りの汚い言葉で真
を聞きながら、真衣の表情
込んできた。 大きく開いた
む手に力を込める。 熱を帯びた指先が滑
がったのは、
っ…
小さく弓なりに反った。 堪
いるの
き、用心深くドアがノックされた。
衣の華奢な耳たぶに触れるか
姉さんが
にもそう
ひっきりなしに真
背中には、その振動さ
寸刻みに下っていく。 焦らすように、
だ目尻が赤く染まる。 その下の泣き
こう側で、星奈がヒ
まで恥知らずなの? あの母親にそっくりね! さっさと
くるりと向き直ったかと思うと、海渡の
貪るような、それでいてどこ
ばして彼女の顎を掴むと、あ
息もできなくなるまで、海渡は彼女を解放しなかった
げると、部屋の暗がりへと移動
は、間近に現れた海渡の端正
、さん
は落ち着き払っており、心から
うとするが、長身で体格の良い海渡が立って
がないまぜになり、星奈の表情はすぐに険しくなった。 「
しを返す。 「悪い。
気はなく、愛想笑いを浮かべた。 「私、榎本真衣
えた。 「いや
、もう二年近くも会ってないのよ
繰り返していた。 神経は昂ぶり
胞が粟立
しい。 けれど、
のがこの私だと知ったら――彼女は一体、どんな顔をするの
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