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深い眠りの淵で、生温かい舌が執拗に肌を舐め上げていた。
目を閉じたまま、じゃれついてくる子犬を押しやる。「ドビー、やめなって……」
不意に、掠れた男の声が降ってきた。「ロビー……? 俺だけじゃ飽き足らず、弟にまで手を出したのか」
突如、脳内でシステムが甲高い悲鳴を上げた。「あなたの小説、改変されてメチャクチャよ!早くヒーローを攻略して、物語を本筋に戻しなさい!」
目を開けると、そこにいたのは極上の色香を漂わせる男――私が書いた小説の主人公、羅昱だった。
そしてもう一人の主人公が、彼の双子の弟、ロビーだ。
ごくりと喉を鳴らし、私はためらわずに彼の首に飛びついた。
「怒らないで。あの子は……あなたほどじゃないもの」
男の色香は、理性を麻痺させる。物語を本筋に戻す前に、まずはこの男と道を踏み外すことに決めた。
ベッドの上で相手を『説き伏せる』のは、私の最も得意とするところなのだから。
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生温かい舌に舐められて目を覚ました時、私はまだそれを飼い犬の仕業だと思っていた。
「ドビー、やめなって……」
毛むくじゃらの頭の動きが止まり、掠れた男の声が耳に滑り込んできた。
「ロビー……? 俺だけじゃ飽き足らず、弟にまで手を出したのか」
欲望と、抑えきれない怒りをない交ぜにした声色にも、私の意識は浮上しない。
もっと眠っていたいのに、脳内で甲高い警告音がけたたましく鳴り響いた。
「寝てる場合じゃない!物語が乗っ取られたわよ!」
その声に、私は弾かれたように目を開けた。
自称『システム』を名乗るその甲高い声によれば、私は交通事故で植物状態になり、未完だった私の甘々な恋愛小説は、編集部が雇った誰かの手で続きが書かれ、とんでもなく崩壊しているらしい。そして私は、その小説のヒロインとして送り込まれ、ヒーローを攻略して物語を再建する使命を負わされたというのだ。
私はベッドの傍らに立つ男へと視線を移す。
オレンジ色のナイトランプが、その彫りの深い横顔を曖昧に照らし出していた。 長い睫毛が揺れ、瞳を影の中に隠しているため表情は窺えない。 光の届かない場所に、突き出た喉仏と鎖骨のラインがやけに艶めかしく浮かび上がっていた。
極上だ。
思わず生唾を飲み込む。
彼こそが、私の小説の主人公の一人、羅昱。
そしてもう一人の主人公が、双子の弟であるロビー。
小説を書いていた時に思い描いていた三次元のモデルなんかより、百倍は色気がある。
なんてこと。こんなに素敵な男たちを、二人同時に攻略するなんて。
まるで……変態じゃない!
でも、最高に気に入った。
システムが言っていた任務など、端から気にも留めていない。
未完結の小説だ。どんな筋書きになるかなんて、作者である私が決めればいいだけの話だ。
しばらくご無沙汰だった私は、まずこの男を道連れに脇道へ逸れることに決めた。他のことは、後で考えればいい。
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