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H市のゴールデンライオンホテル。今日ここでは、ディナーパーティーが開催される予定だ。
そしてこのパーティーにはノーマン・シェンも 参加することになっていた。 会場内では早くも、ノーマン・シェンの彼女の話題で持ち切りだった。
その噂は世界中で有名になっていた。 彼女はこの上なく美しい女性として知られていた。
パーティーは既に始まっていた。するとその時、会場の扉が開いた。 あるカップルが入ってくると、会場の空気が一気に変わった。
その2人がゆっくりと会場に足を踏み入れると、会場は急にざわめきだした。 話題の的となっていた本人たちが登場したからだ。
それは 噂のノーマン・シェンだった。 彼は黒いシャドーストライプのスーツを身にまとい、濃いブラウンの革靴を履いていた。 そして彼の腕の中には、美しい1人の女性がいた。
その女性は足首まで真っ黒なドレス姿で、サファイアのジュエリーを輝かせていた。 そして綺麗な卵型の顔には、とても上品な化粧を施していた。 その息をのむほど美しい姿は、一際目立っていて、 誰もが彼女を見ずにはいられなかった。
2人は、今夜の誕生日パーティーの主役であるアリーナ・タンとその隣にいる男性、 ジェームズ・シーをちらっと見た。
突然会場に現れた女性を見て、人々は小声で話し始めた。 「あの女性を見た? あれ、マリア・ソンじゃないか?」 と誰かが言った。
すると、「確かにそうだ!
マリアだ!」 ともう1人が共感した。
「どういうことだ! 彼女は死んだんじゃなかったのか? なぜまだ生きてるんだ。 彼女は殺人者だぞ! なんて恥知らずな奴だ。よく人前に出て来れるな」 また別の1人が便乗して話し出した。
「あの顔は整形したんじゃない? いつからあんなに綺麗になったのかしら」
「シェン様の 彼女だなんて 知らなかったよ。 これはきっと面白くなるぞ」
そうやって各々が思い思いに楽しんでいた。 確かにこの状況は、誰がどう見ても面白くなるにちがいなかった。
会場を驚かせたのは、マリア・ソンの突然の復活だけではなかった。彼女の隣にいるノーマン・シェンはジェームズ・シーにとっては仕事のライバルなのだ。
しかもそれだけではない。マリア・ソンは、HLグループのCEOであるジェームズ・シーの元妻なのだ。それには恐怖さえ覚える人もいた。
ジェームズ・シーもノーマン・ショーも普段はあまり公の場に姿を現さず、目立たないように過ごしている。 そのため、このようなパーティーにはめったに参加しないはずだった。 しかし、ジェームズ・シーがこの場にいる理由は誰もが知っている。 ジェームズ・シーがアリーナ・タンと婚約する予定だという噂が広まっていたのだ。 一方、ノーマン・シェンがここにいる理由は?彼は単にアリーナ・タンの誕生日を祝うためだけに来たのだろうか。
ジェームズ・シーは、金融界の大物だ。 けれども、今、彼の元妻が仕事のライバルと一緒にいるとは。。。 会場が盛り上がって、誰もがこれからどうなるかを楽しみにしていた。 この夜、何が起こるのかを知る者は誰もいなかった。
マリア・ソンは終始、優雅な笑みを浮かべていた。 彼女はノーマン・シェンの腕に手を掛けながら、7センチの高さがあるガラスのハイヒールでアリーナ・タンの元へと向かった。
実は、アリーナ・タンはマリア・ソンの年上のいとこなのだ。 なのに、6年前、彼女の声帯を壊し、声さえ出せなくさせた。
そして、6年後の今、ようやく2人は再会を果たそうとしているのだった。
アリーナ・タンは、マリア・ソンの劇的な変化に驚いた。 彼女は胸の鼓動が速くなるのを感じた。 一方の手でジェームズ・シーの腕をしっかりと掴み、もう一方の手でワイングラスを割ってしまいそうなほど強く握りしめていた。
人々の注目を集めながら、ノーマン・シェンはウェイターから赤ワインを2杯分、受け取った。 そのうち1杯はマリア・ソンに渡し、もう1杯は自分にした。
シェンは、自分の隣にいる笑顔の女性を一目見てから、目の前にいる仏頂面の男へと向きを変えた。 そしてかすかに微笑みを浮かべながら、 「シーさん、お久しぶりです! 俺の彼女に見覚えはありますか?」 と挑戦的な光が宿っている目でジェームズ・シーを見つめて挨拶をした。
2人の男はお互いに不満を抱えていたが、公の場では仲良さそうに会話をしていた。 嫌な顔を一切見せない紳士ぶりだ。 ビジネスの世界では利益が全てだ。そのためには敵も友になれるんだ。
しかし、ジェームズ・シーはそれに乗らずに、 一切表情を変えなかった。 しかも、ノーマン・シェンの横にいる女性には一度も目をやらず、 ただグラスを持ち上げ、ノーマン・シェンと乾杯して、 「見知らぬ人だ」と冷たく答えた。
ジェームズ・シーは、法人部門で数年間働いており、しばらくの間CEOも務めていた。 彼が威厳のある人間であることは、誰もが知っていた。
6年が経った今でも、マリア・ソングはジェームズ・シーを目の前にすると胸が高鳴る。 彼は一段と魅力的になっていた。それにその瞳は、奥ゆかしさを増していた。
H市の人々にとってノーマン・シェンは尊敬の的だった。 彼はH市ではジェームズ・シーほど力を持っているわけではなかったが、かなりの権利を持っているのだ。
ジェームズ・シーが冷酷で自己中心的な人とであるなら、ノーマン・シェンは薄情で手強く横柄な人だった。 2人の男は確かに似ている部分もある。
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