/0/21946/coverorgin.jpg?v=83f53f8ef2225ffea4f9f41438e66e83&imageMogr2/format/webp)
ふわりと、甘い香りがする。
軽く波打つ長い黒髪は、さらりと揺れる度に天使の輪を輝かせ、肌は透き通るほどに白い。
猫のような大きな黒い目は、角度によって藍色に輝き、まるで硝子玉で作った玩具の宝石のようだ。
「わたし、恋がしたいのです」
まるで鈴が鳴るような軽やかさで、彼女はそう言った。
絶世の美少女――彼女のことを、僕は幼い頃から知っていた。喋ったことも、遊んだこともあるし、なんなら彼女のちょっとした秘密だって知っている。いわば、幼馴染みという存在だ。
だからこそ、彼女がそんなことを言い出したとき、僕は正直、嫌な予感しかしなかった。
「ねぇ、ミナミ」
甘ったれた声で、彼女が僕の名前を呼ぶ。それを聞いた僕の中で、警報音が鳴り響く。
例えば、僕が大事にとっておいた好物の唐揚げの、それも最後の一個を、気軽にねだってきたときのような。大寒波が押し寄せてきた寒い冬、なけなしの防寒具であった手袋とマフラーを意味もなく奪っていったときのような。
/0/18993/coverorgin.jpg?v=be3cb66ee0e5ac3e34099d8491e8f79b&imageMogr2/format/webp)
/0/19765/coverorgin.jpg?v=436d608c0f5b64c85031c1bb8deecbc5&imageMogr2/format/webp)
/0/19882/coverorgin.jpg?v=bac4d3aea584f89fce049ed3b32fc636&imageMogr2/format/webp)
/0/20775/coverorgin.jpg?v=f02117739be4e94e70110ebb6bcf32c6&imageMogr2/format/webp)
/0/21133/coverorgin.jpg?v=c58cc854059f136adf0df1ce8e548995&imageMogr2/format/webp)