あの人の未来に、私はいない
出ると、足早に隣の
取って先にドアを開けていた。彼女
今、眠っ
さな腹が上下するたびに、規則正しい呼吸が聞こえてくる。ぷっくり
わずにはいられなかった。ただひと目見るだけで、胸の中の怒
れど、未練を断ち切るように部屋をあとにし、宝
は下がるけど、どうでもいいわ。どれかひとつで
て来るから。……あ
の祖母と門前ですれ違った。祖母は顔をしかめ、不機嫌
視線を追い、カーテン越しに絡み合う人影を認
は手にしていた
させてちょうだい。その
らりと返す。「探さなくてもい
馬が苛立った顔で扉を開けた。神崎夕凪の姿を見るなり、少し表情
ルがあるの。サ
何かをねだられれば、金
神崎夕凪はその顔を一瞥すらせず
。自分が部屋で別の女と肌を重ねていたとい
……もう感情さえ動かせないのか?
うに痛んだ。すぐにでも服を着替えて、彼女のもとへ駆けつけたかった
の体が回復さえすれば、丘
布川和馬だった。夜になれば、ついに彼の「夕凪」と結ばれる――そんな思いに胸を躍
には、かつて英国王室の妃が身に着けたというティアラが収められていた。彼はそ
は永遠に、俺の
包まれた。誰もが、まるで映画の
た。少しも乱れることなく、布川和馬に向かって静かに
返答を待つこともなく、踵
が、現実は違った。その姿が見られなかったことに少し疑問を覚えたが、すぐに考え直す。自分の姫は、今ま
もう深く考え
と、布川家の祖母の車
い。もし海外に出た後に後悔しても、私はあら
と車に乗り込んだ。
神崎夕凪の姿を見届け、さらに空港の外で三十分待った。やがて航空会社から連絡が
痕跡をすべて
切って尋ねた。「大奥様、布川社長は神崎さんを深く
怒らせて出て行かせたのは、あの子自身よ。私には関係な