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百合の花咲く岸辺にて

チャプター 3 第3話 この滅びた世界の中で

文字数:6127    |    更新日時: 17/07/2021

が問題なんじゃなくて、どう死ん

絞めにした侵入者の首筋にナイフを突き立てる。普通に突き刺すだけでは防護外套

てこつんという固いものにあたる感触ともにナイフが止まる。頸椎にぶつかったのだ。私は

していたその男の体からみるみるうちに力が抜けていき、今ではもうぴくぴくと小

はシェルターに侵入してきた人間を殺すのに何の躊躇いもなくなってしまった。慣れとは恐ろしいものだ、なんて苦笑

を見て、終わったと判

れ様で

なのだろう。礼を言いつつ手早く返り血をぬぐっていく。といっても私も防護

出かける前で

どうなっていたことやら。いや、真宵ちゃんとて弱くはないんだけど、やっぱり真宵ちゃんは私にとって年下の女の子なのだ。

とです

を膨らませる真宵ちゃん

目ですよ、12回目!今月に入ってまだ

てあんたが勝手にそ

し、外の世界にあった時計やカレンダーなんかは全部焼き尽くされた。真宵ちゃんのい

け外の世界に物資がなくなってきたと言うことなのだろう。それこ

ないに違いない。これだけ頻繁に襲われるということは、そう言

といえば仕方がな

る。私はそれに肩

料はどれだけ

はそこにあったボロボ

が一個と、水が

0ミリしかないというのが非常にまずい。だかそんなことに気づいているのか

思いを頭を振って振り払う。真宵ちゃんとはこのシェルターに逃げ込

ないし、シェルターで本を読んでいるだけ。私と一緒じゃなかったらとう

た。だから外をぶらつくし、その途中で何かいいものがあれば拾

きているだけ。とてもお世辞にも積極的に生きているとは言えない、そんな有様。私が積極的に何かしたのは、行

まあ。い

、外に出たって何かが見つかるわけでもなかろうに。そうは思うものの手だけは

か、本を読んでいた真宵

日も出かけ

ようにのほほんとしていて

千代田区のほうに歩いて

ですか、悪

本に戻っていて。真宵ちゃんらしい、と

方で片づけて

ば、あの侵入者の男の死に方は、真宵ち

代田区と呼ばれた場所を歩いてゆく。正直、振り積もった死の灰と、あまりの高

その分他の都市よりも荒廃の度合いは酷く、目につくのはどこまでも続く死の灰に覆われた真っ白な大地と、その大

は一人、歩いていく。ザ

に比べても放射能汚染の度合いが酷い。何年か前に出会った生存者の男も言っていたではないか。こ

、完全に死が支配する世界。それはまるで、遠い宇宙のようで。ここに輝く星々はないけれど、確かに宇宙

来ればよかった

あればなあと思う。だがそんなものは私の家族とともに燃え尽きた。仕方がないので

なすように真っ白な大地。そこから突き出す黒

なら詩だって謡えそうだ。詩を

ガウンターが鳴る。無粋な真似を。内心舌打ちしたくもなるが、ここ

砂が落ちていく。ガイガーカウンターの警報をリセット。ああ

無事な食料も水もこの世にはな

のだから。私は防護外套をパンパンとはたいて砂を落

暗くなっていて。水密扉をノックし

見つから

ゃんはいつものよう

ー。お疲れ様

て。すっかり諦めてしまっているんだな、と思った。ま

、先輩

のないブロック食をモソモソとかじり、水で流し込む。

宵ちゃん

代田区のどこま

んなことじゃなかろうに

にね。あそこは実に美しい場

藤計劃を読み切りましたよ

きるのもあと少しなのだ、と考えると、流石にこみあげてくるものもある。だが

意を決したよ

え、

だい

互い、今から何を言い出すのかわかってい

いくのってとっても大変だなって。だ

うだ

のは強烈な飢えと過酷な渇きだ。それは

はいやです。喉が渇いて苦しんで死んでいく先

宵ちゃんは必死に我慢しようとしていたけれど、それ

を年下の女の子に言わせようとするなんて。私は真宵

一緒に死の

こくんと頷

るけれど、それでも真宵ちゃんは泣かなかった。私はその頭をなでながら思う。そう、これ

なら、楽に死にたい。だから。愛用の

、今から

はこくんと

ら、迷っちゃ

。そして、ナイフ

ら、外を見なが

いで

はいつものように防護外

必要な

確かにそうだ。そう苦笑し、防

干のオゾン臭はするけれど、外の空気ってこんなに彩り鮮やかだったんだ、

れい

そこには、そんな言葉がふさわしい、満天の星空があった。空を覆い尽くさんとする、満天

な冷静な分析も、こんな素晴らしい星空を見ているうちに

真宵ちゃんは、もじもじと少し何か

え先

。美しさで行けば、あの廃墟に劣るとも勝るまい。真

スしてくれ

んの顔は、輝く星空の下で

とがないんですよ……。だか

。今まで考えたこともなかった。でも、星明りに照らされた真宵ちゃん。

る。最初は驚いたように硬直していた真宵ちゃんだったが、おず

の感覚が遠のく。まるで私と真宵ちゃんが溶け合っていくような陶酔感。どこまでもどこまでも絡

く。私も頷き返す。ぐっ、と一息につきいれる。ずぶずぶと肉を刃がかき分ける感触。真宵ちゃんの回

ずぶずぶ、ずぶずぶ。刃が沈んでいく。キスに血の味

きわ大きく痙攣すると、その体からぐったりと力が抜け、動か

すみな

、ろくでもない人生だった。人類

一緒というのは、そう悪

んの血に染まったナイフをま

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