ルは薄暗く、消毒液のツン
いた和花のポケットの中で、スマートフォンが再び激しく震え始めた。下腹
深いあの人は必ず人をやっ
を整えると、バッグから手早くタブレットを取り出し、あら
豪華客船・デッ
モメの鳴き声、遠くで響く優雅なジャズの生演奏
ざと少し気だるげな、眠たそ
しもし、
の騒がしい音は! お袋から連絡がいっただ
怒りを押し殺した成也
声を漏らし、心底不
さい、私、もう船に乗
妊娠七ヶ月の妊婦が勝手に
マートフォンを耳から少し離し、電
い』って言ったじゃない。だから莉音に頼んで、横浜港から出る『飛鳥II』の
会長が下半期の株式配分を発表するんだぞ! お前が大きなお腹を抱え
ない夫の喚き散らす声を、和花は
ら、海に飛びこむわけにもいかないの。おじい様
お前わざとやってるだろ?!
と何かが床に叩きつけられ
はさざ波ひとつ立たない。ただ滑稽な道化を眺めて
奥からわざとらしい
いわ! 和花さんのことでそんなに
間、和花の唇の端がすっ
い。妊婦の私がいなくても、おふたりで立派に場を持たせられる
ように、和花はためらいなく通話を
戻り、タブレットから流れ
ら、和花はふっと息を吐き出した。これで少な
ょっこりと顔を出し、指で輪
わ。車もすぐ横に着け
ぶり直すと、莉音の肩を借りて業務
た路地には、黒塗りの大型バンがハザ
の深いシートへと身を沈める。車は音もなく滑り出し、町田
と話してたんでしょ?
の常温水を差し出し
け含んで喉を潤し、
取り入るか、それしか頭にないわ。私が横浜にいようが
光哉さんから株を奪えるわけ
ながら、和花はシートの背もた
一番利益を出している中核事業を、実際に動かしているのは彼じ
さを覚えた。かつて夫を愛するあまり、すべてを譲り渡していた
すっと瞼を上げ、バッグからもう一台
ごすのか、しっかり証拠を記録させてもらおうかし
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