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夕霧荘一

小説2部発表

夕霧荘一の小説・書籍全集

彼女の復讐、彼の破滅

彼女の復讐、彼の破滅

都市
5.0
息子は死んだ。公式な報告書では自殺、薬物の過剰摂取とされていた。でも、それが嘘だと私にはわかっていた。私は鑑識官。息子の遺体を、この手で検分したのだ。証拠は、殺人を叫んでいた。 七度、再審を請求した。そのたびに、反論の余地のない証拠を突きつけた。そのたびに、榊宗一郎検事正は私の目の前で扉を閉ざし、私の悲嘆を妄想だと切り捨てた。私が二十年間仕えてきた組織は、殺人犯を庇っていた。 だから、私は法をこの手に取った。 検事正の娘、榊麗を誘拐し、私の要求を世界に配信した。彼が無駄にした一度の機会ごとに、私は彼女に鑑識道具を使い、その体に永遠の傷を刻みつける。 世界は戦慄しながら見守った。私が彼女の腕にステープラーを打ち込み、焼きごてを当て、メスで細い赤い線を引くのを。 かつての恩師である穂村教授と、息子の恋人だった亜希が、私を説得するために送り込まれた。息子が鬱病だったと語り、偽りの遺書を提示するために。一瞬、私は揺らいだ。「悪い母親」だったのかもしれないという痛みが、私を押し潰した。 だが、その時、見てしまったのだ。彼の「遺書」に隠されたメッセージを。幼い頃に大好きだった絵本の、秘密の暗号を。彼は諦めたのではなかった。助けを求めていたのだ。奴らは、彼の悲痛な叫びを嘘に塗り替えた。 私の悲しみは燃え尽き、決して揺らぐことのない決意に変わった。 「この遺書は、認めない」 神奈川県警の特殊部隊が突入してくる中、私はそう宣言し、麗の脚に焼灼ペンを押し当てた。