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第12章すべてをあげる…ただし…
文字数:3853    |    更新日時: 08/04/2021

「もちろんそんなことあるわけないじゃない。じゃなかったらワタシ、こんなにピリピリしてないわよ!」

ローラのその言葉にホッとしたゾーイは、しぶしぶウィスキーを開けるとローラのグラスにワンショット分を注いだ。

「…。」 ゾーイをローラは無言で見つめていた。 ゾーイはそんなに意地悪な男性だっただろうか?

ローラはゾーイからボトルを奪うと、それぞれのグラスにウィスキーをなみなみと注いだ。

「ゾーイ、ワタシは言ったはずよ。酔うまで帰らないって。 でしょう?」

……

お酒が入り、2人の口が滑らかになってきた。 まるで、ローラが父親に内緒で飲みに行っていた頃に戻ったようだった。 酔いがまわり始めると、ローラとゾーイはだんだんと気が大きくなってきていた。

「ローラ…俺…明日、マイクんところに行って…アイツをぶん殴ってやる!」 酔って気は多少大きくはなっていたが、ゾーイはローラが何事もなかったかのように生活していることに安堵したものの、親友であるローラのためにマイクは復讐しなければならないと、心の底から思っているのだ。

「っていうか、オマエ、本当なのか? 気まぐれで結婚しちゃったとか? …どうしちゃったんだよ!」 ゾーイはなみなみに注がれたウィスキーのグラスを一気に空けてしまった。 飲めば飲むほど、ゾーイはウィスキーが美味しく感じていた。 こうしてずっと飲み続けいたいとまで思いはじめていたくらいに。

「またバカな真似をしやがったら…殴ってやる…。」 そんなことを言い出したゾーイを置いてローラはトイレに立った。 本当に酔いがまわったのか、ローラは、足元はフラフラ、ゲップもしながら、フラフラと千鳥足でトイレへ向かっていた。

「オイ!オマエ、目ぇついてんのか! 男子トイレと女子トイレを間違えるな!」 ローラは前に一度、酔っ払って男子トイレに入ってしまったことがあった。彼女が慌てるどころか、用を足していた男性2人のほうが慌てて出で行ってしまったということが。

ローラはゾーイに手を振ってあしらった。

ウィスキー1杯しか飲んでいない。そんな量は大したことはない。そんな酒量でトイレをまた間違えることなど起こる訳がないと思っていたからだ。 フラフラはしていたが、彼女は冷静さを保っていた。

トイレから出ると、ローラはパウダールームで顔を洗い気分をスッキリさせた。

スッキリした気分で、フラフラした足取りで席に戻るローラ。だが、段差がハッキリと見えず、躓いて身体がよろめいた。

「うわっっ!」 ―やばい!転ぶ!― ーお願い!ー ー顔にだけは傷つきたくない!―

一瞬のことがスローモーションに思えたローラ。

転んだはずが、痛みを感じていない。 ―よかった― 隣の誰かに支えられていた。

「ありが...。」 そこまででローラは口を閉ざし、瞬時に敵意をむき出しにした。

「ローラ…ローラかい?」 足元がおぼつかないほど酔って転んだ女性がローラだったということに、受け止めたマイクの方が驚いた。

一瞬で酔いがさめるどころか、憎しみでいっぱいになったローラはマイクの手をバッと激しく振り払った。 「ワタシの名を口にするな! ヘドがでる!」 ローラは何事もなかったようにスッと行こうとしたが、マイクはそう簡単に行かせてなるものかと腹に一物抱えていた。

「ローラ、待って。ローラ、聞いてくれ! ローラ…言い訳に聞こえるかもしれないが、説明させてほしいんだ。」 ローラはすぐ落ちる女、と高を括っているマイクは、ローラを呼び止めているあいだに、ローラとよりを戻す作戦を練っていた。もちろん騙すために。

ローラは、頭は冴えているが酔いがまわって足元がおぼつかない今、ここで揉め事を起こす事は自分側に不利だということは自覚していた。 ローラはマイクを追い払おうとしていた。 が、しかし、マイクは彼女の手首をしっかりと掴んだ。

「離して、マイク!」 ローラは怒りを匂わす張りのある声で言い放ったが、かなり強いめまいが襲ってきていた。

「ローラ、僕はこの手を離さないよ。 サラとの婚約はお父さんが決めたものなんだ。 僕が愛しているのはローラ、君だけだよ。 お願いだ!もう1度やりなおそう! 結婚以外、君が望むものは何でもあげる、買ってあげるから!」 そこまで言ったマイクはローラの指に輝くダイヤモンドに気が付いた。

マイクの目つきが一瞬にして変わった。目の奥に恨みが見える。

「マイク…ワタシ、知らなかったわ。ここまであなたが人でなしだとは! …結婚以外ですって? それって、ワタシにあなたの愛人になれって言ってるの?」 そう言い終わるか、ローラは大きく右手をあげたかと思うとそれを思いっきり振り下ろし、 マイクの左頬を思いっきり引っ叩いた。

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1 第1章あなたは私を救わなければならない2 第2章最も大切なもの3 第3章秒戚4 第4章あなたの男5 第5章俺ならできる6 第6章俺がいればいいんだ7 第7章もう涙はいらない8 第8章ブルーアイランドモール9 第9章レッドダイヤモンド10 第10章ワタシの言うことを聞かなくてはならないわ11 第11章ジジイとの結婚12 第12章すべてをあげる…ただし…13 第13章ローラと謎の男14 第14章初日出勤15 第15章サラの従姉16 第16章後部座席の男17 第17章酔っていたから18 第18章離婚が成立しました19 第19章ひとりぼっちの夜20 第20章信号無視をしたのは? 21 第21章三人の男22 第22章2日分だから倍返し23 第23章CEOもふつうの男性です24 第24章暴走する奥様25 第25章パトカー4台をスクラップ26 第26章私は絶対にローラを訴えます!27 第27章膝の上の可愛い子ちゃん28 第28章とってもハンサムな男29 第29章上に立つ男 (パート1)30 第30章上に立つ男 (パート2)31 第31章ボスはさすがですね (パート1)32 第32章ボスはさすがですね (パート2)33 第33章子供っぽい笑顔 (パート1)34 第34章子供っぽい笑顔 (パート2)35 第35章ノーアイデア (パート1)36 第36章ノーアイデア (パート2)37 第37章ビッチ (パート1)38 第38章ビッチ (パート2)39 第39章夫に頼る彼女 (パート1)40 第40章夫に頼る彼女 (パート2)41 第41章夫に頼る彼女 (パート3)42 第42章手放さないで (パート1)43 第43章手放さないで (パート2)44 第44章君のために (パート1)45 第45章君のために (パート2)46 第46章初めて会うハリーの母 (パート1)47 第47章初めて会うハリーの母 (パート2)48 第48章初めて会うハリーの母 (パート3)49 第49章女狐 (パート1)50 第50章女狐 (パート2)51 第51章私はあなたのお義母さんじゃないわ (パート1)52 第52章私はあなたのお義母さんじゃないわ (パート2)53 第53章まあ、見てろって (パート1)54 第54章まあ、見てろって (パート2)55 第55章義母が会社に登場 (パート1)56 第56章義母が会社に登場 (パート2)57 第57章ハニー、どうか許して (パート1)58 第58章ハニー、どうか許して (パート2)59 第59章ハニー、どうか許して (パート3)60 第60章章 ウェンディ・ユーの拒絶 (パート1)61 第61章章 ウェンディ・ユーの拒絶 (パート2)62 第62章サプライズとショックは紙一重 (パート1)63 第63章サプライズとショックは紙一重 (パート2)64 第64章サプライズとショックは紙一重 (パート3)65 第65章ヨランダ・モー (パート1)66 第66章ヨランダ・モー (パート2)67 第67章ヨランダ・モー (パート3)68 第68章私はヨランダ・モー、ハリーの婚約者よ (パート1)69 第69章私はヨランダ・モー、ハリーの婚約者よ (パート2)70 第70章私はヨランダ・モー、ハリーの婚約者よ (パート3)71 第71章第 章 家には帰らずに (パート1)72 第72章第 章 家には帰らずに (パート2)73 第73章私が許可する (パート1)74 第74章私が許可する (パート2)75 第75章家で待っててくれ (パート1)76 第76章家で待っててくれ (パート2)77 第77章誤解しないで (パート1)78 第78章誤解しないで (パート2)79 第79章鋭い平手打ち炸裂 (パート1)80 第80章鋭い平手打ち炸裂 (パート2)81 第81章私の妻 (パート1)82 第82章私の妻 (パート2)83 第83章一緒に来て (Part One)84 第84章一緒に来て (Part Two)85 第85章私に平手打ちしたなんて (Part One)86 第86章私に平手打ちしたなんて (Part Two)87 第87章いたずらっ子ノーティ (Part One)88 第88章いたずらっ子ノーティ (Part Two)89 第89章茶色の財布 (Part One)90 第90章茶色の財布 (Part Two)91 第91章あなたの猫は死んでいる (Part One)92 第92章あなたの猫は死んでいる (Part Two)93 第93章めちゃくちゃにされた実験台 (Part One)94 第94章めちゃくちゃにされた実験台 (Part Two)95 第95章私の家から出て行って (Part One)96 第96章私の家から出て行って (Part Two)97 第97章ヨランダの部屋をめちゃめちゃにするわ (Part One)98 第98章ヨランダの部屋をめちゃめちゃにするわ (Part Two)99 第99章大統領 (Part One)100 第100章大統領 (Part Two)