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Yokubo no Yamini Furisosogu eien no Shunkan

見捨てられた妻は、天才デザイナーとして華麗に舞う

見捨てられた妻は、天才デザイナーとして華麗に舞う

暁月蒼
玉突き事故で車が大破し、血まみれになった私は、祈るような気持ちで夫に助けを求めた。 しかし電話に出た秘書は、気を引くための狂言だと決めつけ、一方的に通話を切った。 その直後、街頭の大型ビジョンに、初恋の女を優しく抱きしめる夫の姿が速報で映し出された。 満身創痍で帰宅した私を待っていたのは、家族からの残酷な仕打ちだった。 「どうせいつもの気を引くための狂言だろう」 夫は額から血を流す私を一瞥し、迷惑そうに眉をひそめた。 「血が出てて気持ち悪い。お母さんなんか大嫌い!」 実の娘までもが私を避け、夫の背中に隠れた。 さらに、初恋の女から階段から落ちたと電話が来ると、夫は怪我をした私を放置し、娘を連れて女の元へ駆けつけていった。 私の命に関わる大怪我よりも、あの女の軽い怪我の方が大切だというのか。 7年間、私が全てを捧げてきた家族は、ただの残酷な幻想だった。 心の中で何かが決定的に壊れ、すべての未練が完全に消え失せた。 私は財産も親権も一切放棄する離婚協議書に判を押し、結婚指輪を外して深夜の家を出た。 西園寺の妻という鎖を断ち切り、かつて天才と呼ばれたデザイナー「結城凛」として、私は反撃を開始する。
都市 職場女王様の逆襲複数のアイデンティティ恋愛
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私は姫野雫《ひめのしずく》。20歳。今時の現役女子大生。

 今、大学から家に向けて夜の道をゆっくり歩いている。

 途中に大きな本屋があって、毎日そこで1時間ぐらい立ち読みをしてから帰るのが、いつもの恒例。

 今日も立ち読みをしてから家に帰ろうかなと思ったが、昨日徹夜をしてしまって流石にもう眠いから、素直に家に帰ることにした。

 授業中も眠かった。でも授業中はさすがに寝ない。

 いや、寝ないんじゃなくて寝れない。寝たくても寝られないだけ。

 昨日なぜ徹夜したかは聞かないでください。

「ただいまー」

 誰もいない部屋に向かって言う。

 私は今一人暮らしで、両親は私が19歳の時に事故により他界していて、今は一人で暮らしている。

 祖父母は私が15歳の時に亡くなっている。兄弟姉妹もいないし。

 でも、元々大学に進学するときに地方から離れて東京で一人暮らしを始めたから、家に誰もいないから毎日寂しいことはないけど、毎年実家に帰らないから、大学が長期休みのゴールデンウィークや元旦は暇だけど。

 私の家は、玄関からトイレとお風呂の戸を通過して、すぐにデスクとベッドがある部屋がある。キッチンもその部屋にある。

 家に入って、バックを置いて着ていたコートをハンガーかけて、もう眠くて仕方ない頭と体をすぐに休ませるためにベッドに飛び込む。

 夕飯を食べなきゃいけないけど、眠くて仕方ない。夕飯どうしよう。お腹が空いているけど、眠くて仕方ないし。

 そう考えている内に、睡魔に負けてベッドの上で寝てしまった。

  ・・・・・

 朝、部屋にある窓から太陽の日が差し込んできて、部屋が異様に明るくなってきて私は目を覚ました。

 よく寝た気がする。いや、よく寝た。

 ? 部屋明るすぎないか? 確かに昨日寝るときにカーテンを閉め忘れたけど、なぜか毎日鳴るはずの目覚まし時計の音も聞こえないし。なんで? 

 不思議を抱えながらベッドの上に起き上がって、閉じていた目をゆっくり開けると周りには見知らぬ壁・家具・天井・照明、そしてベッドのサイドテーブルの上に黒紫の三角帽子に黒と白が上下に別れているワンピースに、紫のローブがたたんで丁寧に置いておって、机には何やら木の棒――いや魔法の杖と金色のバッチに名前が刻まれたブローチが置いてあった。

 なにこれ。状況が把握できない。でも、パッと見た感じ、魔女の衣装っぽいけど。

 まさかハロウィンの仮装? でも今は2月だし・・・・、

 まぁ、こんなところで不思議がっていても仕方ないから、ベッドから降りて机に向かって足を進める。

 机の前に立って、置いてある金バッチを手に取って、金バッチに書かれている文字を読むと、

「アリーシャ? 私の名前?」

 机の上に置いてあるブローチに「アリーシャ」と刻まれている。

 私の名前は姫野雫だけど?

 もしかして、このバッジとブローチは魔女である証なのかも。転生したのであれば。

 そういえば、今更だけど起きて着ている服も寝た時と全然違う。私が持っているはずのない、白のワンピースを着ている。

 なんで?

 少しこの部屋から出ていろいろ見てみたけど、普通の一軒家っぽい。

 状況がわからないけど、こんなところで居座っているよりか外に出たほうが状況は把握出来るから、置いてある服に着替えて外に出てみることにしようかな。

 置いてある服に着替えて、私の身長より少し高い鏡に向かって立ってみると、いかにも「魔女!」って服装をしている。

 体系はおのずと分かっていたけど、鏡を見て分かった。すべてにおいて昨日のまま。貧乳なのもすべて。

 転生しているなら、もう少し胸が大きくなってもいいのに。

 そういえば、この世界のお金はどうなっているのかな? 杖の隣に小袋に入ったコインが、置いてあるけど。

 でも、どこを見てもそれらしきものは見当たらないから、きっとこれだと思う。

「とりあえず、この小袋と杖を持って行けばいいかな? そういえば、杖はあっても魔法の使い方がわからないから魔女と言えないな」

 そう独り言をつぶやきながら杖を手に取る。すると、机の引き出しの中がガタガタと動き始めた。

「⁉ なに?」

 ガタガタ言っている引き出しをゆっくり開けると、中には1冊の本が入っていた。

 なんの本だろう? 

 本をゆっくり持ち上げて開いてみると、魔法の使い方が書いてあった。

 よかった、魔法の教科書的なものがあって。「なかったらどうしよう」って思っていたから。

少し読んでみようかな。

 本を適当なところで開いて、少し読んでみるといろんな魔法の使い方が書いてあって、この本に書いてある魔法を全て覚えるのは少し大変そうだから、実用的に使える魔法と面白そうな魔法を覚えると楽しいだろうな。

 そう考えながら本を読んでいると、安心したからなのかお腹が空いてきた。

 そういえば、昨日帰ってきて夕飯を食べようかどうしようかで悩んで寝ちゃったんだっけ。

 外の状態が未だにわからないから、一回外に出てみたいし。

 杖と本と小袋を斜め掛けのかばんに入れて玄関ドアをゆっくり開けると、

「わぁー。綺麗!」

 外は「イギリスの町!」って感じの雰囲気で、昔からイギリスに行ってみたいなって思っていたから、テンションが上がってきた。

 そうだ私の家ってどうなっているんだろう?

 後ろに振り向くとレンガ造りの一軒家。

 玄関ドアには魔女の家であると知らせるような、丸い表札がかけられている。

 私が身に着けているブローチの大きいバージョン。こう見ると少し可愛く見える。

 てっきりどこかのホテルかマンションかと思っていたから、普通の一軒家でびっくりしている。

 自分が転生した場所が確認出来たから、何か買いに行こう。

 と言っても、この世界にはパンが主流だろうけど。

 別にパンが嫌いじゃない。むしろ好きな方。

 どんなパンがあるんだろう。楽しみだな。

 そう思いながら住宅街から抜けて、いろんなお店が並ぶ通りに出た。

 商店街を眺めながらゆっくり歩いていると、なんだかおいしそうなパンを売っているお店があった。

 さすが異世界。パンがおいしそう。

 別に日本のパンがおいしそうに見えないってわけじゃなくて、この世界の雰囲気とここに売っているパンが相まって、おいしそうに見えるってだけ。

 ゆっくり種類豊富のパンを見て、その中から私はクロワッサンを買うことにした。

「このクロワッサンをください」

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