風の詩
小説1部発表
風の詩の小説・書籍全集
血塗られた五周年と裏切りの夫
都市 結婚5周年記念の夜, 演出用のドローンが墜落し, 私は顔と腕から血を流していた.
しかし夫の純紀は, かすり傷一つない元恋人の泉実を抱きしめ, 私にこう言い放った.
「そこに立っているな. 泉実が驚くだろう. 裏口から帰ってくれ」
私は柏木リゾートの広報部長として, そして「理想の妻」として, 夫のために全てを捧げてきた.
義母に強要される過酷な不妊治療に耐え, 夫の経営を裏で支え続けてきたのだ.
それなのに, 夫のスーツケースから出てきたのは, 泉実がパーティーでつけていたダイヤモンドのピアスだった.
私が血を流して痛みに耐えている間も, 純紀は泉実の元へと走り去った.
私という存在は, 彼にとってただの「便利な道具」でしかなかったのだ.
冷え切った心が, 私にある決断をさせた.
私は震える手でスマートフォンを取り出し, ニューヨーク行きの片道チケットを予約した.
机の上に離婚届と辞職届, そしてあのピアスを残して.
私はもう, 誰のためでもない, 私自身の人生を生きる. あなたの傾向から
偽装死から始まる復讐劇
翼を持つ者 私は, 誰もが羨む完璧な家庭を築いていた. カリスマ建築家の夫と, 私を「ママが一番好き」と言ってくれる息子. 彼らに尽くすことが, 私の全てだった.
しかし, その全てが嘘だったと知った. 夫は不倫し, 私の愛する息子までが, その女を「ママ」と呼んで二人を庇っていたのだ.
結婚記念日, 夫は盛大なサプライズで私のご機嫌を取ろうとした.
そこへ不倫相手の女が現れ, 公衆の面前で嘲笑うように私との関係を暴露した.
息子は私ではなく, その女を選んだ.
愛も, 信頼も, 家族も, 全てを失った私の心は, 憎しみの炎だけが燃え盛っていた.
私は失踪屋に連絡し, 自らの死を偽装した. 翌朝, ニュースは「長谷部直世, 海難事故で死亡」と報じる. これは, 私から全てを奪った彼らへの, 復讐の始まりに過ぎない.