裏切り婚から始まる、義理叔父との逆転劇

裏切り婚から始まる、義理叔父との逆転劇

秋山暁

5.0
コメント
181
クリック
11

結婚式当日、かつて私をいじめていた学園の女王が人前で花婿を奪った。 私は当然、彼が私の隣に立ち続けてくれると信じていた。 だが、彼は私の手を離し、迷いなく彼女のもとへ歩いていった。 その後、私は学園時代のいじめを暴き、彼女を訴えた。 しかし彼はそれをもみ消し、逆に私を「名誉を傷つけた」と告発した。 一瞬にして、私はネット全体から嘲笑と非難を浴びる存在になった。 披露宴の場で、彼は嘲りを込めて言い放つ。 「おまえの体の傷跡を見るだけで反吐が出る。」 「諦めろよ。俺の後ろには国家と渡り合えるほどの資産を持つ後ろ盾がいる。おまえが敵うはずない。」 次の瞬間、その“後ろ盾”と呼ばれた人物が私の腰を抱き寄せ、 耳元でやわらかく囁いた。 「全部あいつらを牢に送ってやろう。だから……俺を選んでくれないか?」

第1章結婚式

結婚式当日、私をいじめていた学園の女王が乗り込んできて、花婿を奪った。

私は、景珩は固く私の側に立ってくれると信じていた。

彼が私の手を振りほどき、ためらうことなく彼女のもとへ歩いていく、その瞬間までは。

後に私は彼女を訴え、学生時代のいじめを告発した。

だが、その訴えは景珩によってもみ消され、逆に名誉毀損で訴え返された。

瞬く間に、私はネット中で非難される笑いものとなった。

ある宴の席で、景珩は私を蔑むように嘲笑った。

「お前のその身体に残る傷跡は、見るたびに吐き気がする」

「負けを認めろよ。俺のバックには国ひとつ買えるほどの資産家の叔父さんがいるんだ。お前に勝ち目はない」

その直後、彼の口にした叔父――その人が、私の腰を抱き寄せた。

そして、私の耳元で甘く囁く。

「あの二人を社会的に抹殺してやる。だから、俺のものになってくれないか?」

1

「新郎、景珩さん。あなたは温頌さんを妻とし、生涯を共にすることを誓いますか?」

「景珩さん?」

隣に立つ彼は、その言葉にはっと我に返った。

私が訝しげな視線を向けると、

彼は少し戸惑った表情を見せる。

招待客たちの視線が、私たち二人に集中していた。

私はそっと彼の手を握り、

心配して小声で尋ねる。

「どうしたの?珩」

景珩の瞳に暗い影がよぎったが、

すぐに私に視線を戻し、無理に笑みを作った。

彼が口を開こうとした、その時だった。

突如、教会の重い扉が乱暴に開け放たれた。

切羽詰まった、涙声の女の声が響き渡る。

「珩!生涯、私だけを娶るって言ったじゃない!」

声が落ちるや否や、その場の全員が愕然として視線を向けた。

一同が驚いて振り返ると、そこにはウェディングドレスをまとった美しい女が、壇上の新郎を潤んだ瞳で見つめて立っていた。

会場は騒然となった。

その見慣れた顔に、私は息を呑んだ。

骨の髄まで刻み込まれた記憶が蘇り、全身が恐怖に震える。

高校時代、私を執拗にいじめていた江時南だった。

驚きと共に押し寄せてきたのは、底知れぬ恐怖。

足元がおぼつかなくなり、私は無意識に景珩の手に救いを求めた。

だが、その手は空を切る。

はっとして彼を見上げると、

彼は壇の下に立つ女を、ただ一心に見つめていた。

その眼差しは驚きと、

そして隠しようもないほどの愛情に輝いている。

全身の血が凍りつくようだった。

「景珩、あなた……」

彼は私へと視線を移したが、その瞳には憐れみの色が浮かんでいるだけだった。

しばしの沈黙の後、彼は低い声で告げた。

「すまない、頌頌。君と一緒になったのは、ただ時南に代わっての贖罪のためだったんだ」

「俺が愛しているのは、彼女だけだ」

そう言い終えると、景珩はためらうことなく壇から飛び降り、

大股で江時南のもとへ歩み寄っていく。

その場にいた誰もが、呆然と成り行きを見守っていた。

「また私の勝ちね、温頌」

江時南は景珩の腕に寄り添い、勝ち誇ったように、そして蔑むように言った。

その笑みは、これ以上ないほどに輝かしく、挑発的だった。

招待客たちの驚きと好奇の視線が、壇上にぽつんと取り残された私に突き刺さる。

私は、親密に寄り添いながら去っていく二人の背中を、ただ見つめていた。

顔は青ざめ、身体は石のように硬直していた。

やがて、私は静かに横を向き、一筋の涙を流す。

だが、誰にも見えない場所で、誰かの口元はゆっくりと弧を描いていた。

続きを見る

おすすめ

実は俺、超絶御曹司でした

実は俺、超絶御曹司でした

小桜 あかり
5.0

俺は貧乏な学生だ。家が貧しく、両親には大学に行かせる金がない。だが、俺は諦めきれず、死に物狂いで金を稼いだ。 毎日バイトと日雇い労働を掛け持ちし、仕事が終わるのは深夜12時。そうしてついに、俺は学費を貯めきった。 念願の大学に入学した俺だったが、清純で美しいクラスのマドンナに密かな恋心を抱いてしまう。 自分に彼女を愛する資格などないと分かっていながらも、勇気を振り絞って告白した。 まさか…… クラスのマドンナはその場でOKしてくれ、俺たちは恋人同士になった。 しかし彼女の最初の要求は、プレゼントにAppleのスマホが欲しいというものだった。 俺は爪に火をともすような節約に励み、バイトに加えて同級生の服を洗濯して小銭を稼いだ。 ついにスマホを買う金が貯まった日、俺はバスケ部の更衣室で、クラスのマドンナがバスケ部のキャプテンと浮気している現場を目撃してしまう。 俺はマドンナに「貧乏人が」と嘲笑され、キャプテンに殴られた。 「金がないだけで、こんな仕打ちを受けるのが当たり前だっていうのか!?」 俺はこのすべてを憎んだが、どうすることもできなかった。 寮に戻った俺に、親父から一本の電話がかかってきた。 「息子よ、実はな、うちはめちゃくちゃ金持ちなんだ……」 こうして俺は、かつて自分が最も憎んでいた存在――超リッチな御曹司になったのだ!

全力で、お仕置きの時間です

全力で、お仕置きの時間です

名取友理
5.0

婚約前夜、私は婚約者が彼の初恋の人を片時も忘れていなかったことを知った。 愛し合って三年。私はわざと醜く愚かに振る舞い、自らの手で彼を「家政婦の息子」から「大富豪の御曹司」に仕立て上げた。 それなのに彼は、初恋の人が私に「窃盗」の濡れ衣を着せるのを放任し、あまつさえ誘拐犯を買収して私の純潔を汚させようとした! 電話口で、彼の声は冷淡だった。「あのブスが俺の初恋の人の成果を盗んだんだ。好きにしていいぞ」 私はその聞き慣れた声を耳にしながら、涙が出るほど笑った。 あまりに長く醜く愚かなフリを続けていたせいで、彼は忘れてしまったのだろう——私こそが本物の大富豪の令嬢だということを。 こうなったからには、もう演じるのは終わりだ。 クラスメイトが私を田舎者だと嘲笑う? 私は偽りの姿を洗い流し、その美しい素顔で会場を驚愕させる! 初恋の人が私のプロジェクトの成果を盗んだ? 私は逆にプロジェクト全体を停止させてやる! 元カレが権力を笠に着て人をいじめる? 私は一言で彼の父親に頭を下げさせ、謝罪させる! 学校中が騒然となり、私が一体どの有力者に取り入ったのかと憶測が飛び交う。 私の大富豪である父が冷静に姿を現す。「紹介しよう。こちらは私の実の娘だ」 トップクラスの神医がそのすぐ後に続く。「どなたが私の先生に逆らうおつもりかな?」 全世界の軍需帝国の後継者が人前で私を抱き寄せ、主権を宣言する。「もう一度言う。これは俺の妻だ」 元婚約者はついに正気を失い、目を充血させて私の前に跪き、よりを戻してくれと懇願するのだった……

あなたとではない、私の結婚式

あなたとではない、私の結婚式

Gavin
5.0

五年前、私は軽井沢の雪山で、婚約者の命を救った。その時の滑落事故で、私の視界には一生消えない障害が残った。視界の端が揺らめき、霞んで見えるこの症状は、自分の完璧な視力と引き換えに彼を選んだあの日のことを、絶えず私に思い出させる。 彼がその代償に払ってくれたのは、私への裏切りだった。親友の愛理が「寒いのは嫌」と文句を言ったからという、ただそれだけの理由で、私たちの思い出の場所である軽井沢での結婚式を、独断で沖縄に変更したのだ。私の犠牲を「お涙頂戴の安っぽい感傷」と切り捨てる彼の声を、私は聞いてしまった。そして彼が、私のウェディングドレスの値段にケチをつけた一方で、愛理には五百万円もするドレスを買い与える瞬間も。 結婚式当日、彼は祭壇の前で待つ私を置き去りにした。タイミングよく「パニック発作」を起こした愛理のもとへ駆けつけるために。彼は私が許すと信じきっていた。いつだって、そうだったから。 私の犠牲は、彼にとって愛の贈り物なんかじゃなかった。私を永遠に服従させるための、絶対的な契約書だったのだ。 だから、誰もいない沖縄の式場からようやく彼が電話をかけてきた時、私は彼に教会の鐘の音と、雪山を吹き抜ける風の音をたっぷりと聞かせてから、こう言った。 「これから、私の結婚式が始まるの」 「でも、相手はあなたじゃない」

すぐ読みます
本をダウンロード