美味に溺れて、血に染まる
1
れると約束したものの
垂涎茶」を専門に栽培している茶園へ行
もう一人、協力者が
長は子供が大好きで、かつて自分の子
れなのに、店長の愛情は明
の休憩室と決められていた。命令もな
別荘に住んでいた。実際には何をするでもなく
言うことは何でも聞き、小遣い
自信があった。彼がずっと私に想いを
過ごしている。そんな時に行け
長が留守にす
昨日、茶葉を買いに来た程社長が店長と電話しているの
こっそり記憶し、その時間
秦靖に連絡を取ると、案
さんしか頼れる人がいないの。あの李社長が
し兄さんにも無理なら……もういいの。諦め
いう揺さぶりに弱い。私の言葉を
明日、茶園で待ってる。 絶
心の中で毒づいた。どうして店長は
2
茶園へ行くと、秦靖
はにやにやしながら駆
ぐっと堪え、私は笑顔で尋ね
げに胸を張り、私の肩を抱き寄せた。
塗りたくられた整髪料の甘ったる
すれば5倍の値段にな
私は息を呑んだ。あれは温室な
を浴びて鈍い金属光沢を放っている。入口
つ一つ錠を開けていく。私
に誰もいないことを確かめると、素早
血の臭いと、何かが腐ったような悪臭
の木が並んでいる。一見すると、
に葉脈がはっきりと浮かび上がり、その
ないほどきめ細
、そっと触れてみた。その感
暖かく、滑らかな感触……ま
えつけ、私は秦靖と共
は違い、垂涎茶は完全に成熟し
を流れる液体は暗い赤色を
、私たちはそれぞれの木
た。「待って。蓉おばさんに言われたんだ。垂涎茶を
あったので、私はそれを手
粘り気のある、暗赤色の液体だった。濃
夢中で全ての木に血を注ぎ終えると、
いた。全身の血が、逆流す
まっている。鞄を手に車から降りた店長は、