婚約者の叔父と交わす、危険な契約結婚

婚約者の叔父と交わす、危険な契約結婚

虹色みお

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婚約者の母親に勧められたワインを飲んだ直後、私の意識は途切れた。 次に目を覚ました時、隣には見知らぬ男が寝ており、ドアを開けて踏み込んできた彼女は私を指差した。 「なんてふしだらな女!」 彼女はヒステリックに叫び、私はそのまま罪人のように家族会議の場へ引きずり出された。 婚約者の拓海は私を助けるどころか、まるで汚いものを見るように目を逸らした。 後で知ったことだが、彼はすでに別の令嬢を妊娠させており、私を追い出して都合よく乗り換えるため、母親と共謀してこの卑劣な罠を仕掛けたのだ。 私を虐げてきた養父母も助けてはくれず、信じていた人たちの裏切りに私の心は完全に死んだ。 このまま彼らの思い通りに、汚名を着せられて捨てられるしかないのか。 だがその時、私と一緒に罠にはめられた男――拓海の叔父である大和が、自ら血まみれになるまで鞭打ちの罰を受け、当主の前で宣言した。 「彼女を、私の妻として迎えることをお許しください」 私は震える足で立ち上がり、私を陥れた者たちを冷たく見据えた。 「お受けいたします」 ここから、私の新しい人生と容赦ない反撃が始まる。

婚約者の叔父と交わす、危険な契約結婚 第1章

「…………」っ

割れるような頭痛で、井上真結の意識が浮上した。

最後に覚えているのは、婚約者である古俣拓海の母、明子に勧められるまま口にした、ワインのやけに甘ったるい後味。

自分が寝かされているのは、見慣れた客間ではなかった。

指先に触れるシーツは滑らかなシルクで、真結が人生で一度も触れたことのない高級品だとすぐにわかった。

部屋に漂うのは、知らない男性ものの白檀の香水。

その香りに、心臓が嫌な音を立てて跳ねた。

隣に、人の気配がする。

真結は恐る恐る、硬直した首をそちらに向けた。

夜明け前の薄闇の中、たくましい腕が自分の腰にしっかりと回されているのが見えて、息を呑んだ。

すぐ耳元で、穏やかな男の寝息が聞こえる。

パニックで、体が凍りついた。

静かに、この腕を振りほどかなければ。

そう思うのに、男の腕は岩のように固く、びくともしない。

真結が身じろぎしたことに気づいたのか、男がゆっくりと目を開けた。

暗闇の中で、二人の視線が絡み合う。

恐怖が頂点に達した。

男は何も言わず、ただ冷徹な瞳で真結を見つめている。

「あなたは……誰……?」

真結が絞り出した声は、自分でも驚くほど震えていた。

男は答えない。

それどころか、面白がるかのように口の端をわずかに上げた。

その表情に恐怖を煽られ、真結は必死でベッドから逃げようともがいた。

だが、その体はたくましい腕でいとも簡単に押さえつけられてしまう。

圧倒的な力の差に、絶望感が胃の腑からせり上がってくる。

「明子さんに、頼まれたのか?」

低い声が、初めて静寂を破った。

その声に含まれた冷ややかな響きが、真結の恐怖をさらに深くする。

明子の名前。

その一言で、全てがあの人の策略だったのだと悟り、顔から血の気が引いた。

男は真結の反応を見て、全てを理解したように静かに頷いた。

そして、ゆっくりと真結の髪を撫でる。

その予測不能な仕草に、真結は恐怖でびくりと身を竦ませた。

「騒ぐな。騒げば、お前の立場がなくなるだけだ」

男は冷ややかに告げる。

その言葉は、紛れもない事実だった。婚約を控えた女が、知らない男と同じベッドにいた。それだけで、全て真結の責任にされるだろう。

婚約者である拓海の顔が脳裏に浮かび、絶望で視界が滲む。

ぽろりと零れた涙を、男が冷たい指先で拭った。

その感触に、真結の体はまた震えた。

窓の外が白み始め、男の顔の輪郭が少しずつ明らかになっていく。

彫りの深い端正な顔立ち。だが、その瞳は氷のように冷酷だった。

これが夢ではないという現実を突きつけられ、真結は抵抗する気力さえ失い始めていた。

男は真結の顎に手をかけ、無理やり顔を上向かせた。

その瞳の奥に宿る、獲物を前にしたかのような征服欲に、真結の心は完全に折られた。

「これは罰だ。君と、君を選んだ者たちへのな」

男が意味深な言葉を囁く。

何のことか理解できず、真結はただ混乱した目で彼を見つめることしかできない。

男の指が、真結が着ていたパジャマの肩紐にかかった。

「やめて!」

最後の力を振り絞って叫んだ声は、布が擦れる音にかき消された。

男は抵抗を無視し、有無を言わさぬ力で彼女を組み敷く。

真結は固く目を閉じた。

長い夜が、今始まろうとしていた。

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