爺さん(元国王)旅に出る!
「デガータ、貴方に申しつけがあるわ。」
晩餐の席でヒルダは、傍らに立つデガータに言った。
慌ただしく給仕が行き来する食堂は、広くそして暗い。
沢山灯されたろうそくの明かりのみが頼りである。
硬く、思い木材で作られた食堂のテーブルには二人以外の姿は無い。
栄養価と味は良さそうだが、こじんまりとした食事が並んでいる。
「はっ、なんなりと。」
デガータは仕える姫君に、すかさず答えた。
「今でも腕前は健在だと信じて頼むわ。」
ヒルダはナイフとフォークを置き、 ナプキンで口元を拭くとデガータに申しつける。
「できるだけ早くに西の大陸に出向き、ウィンストの王宮に侍女として潜入なさい。」