黄泉のヴィーナス
した。イザベラのお誕生日会は、町長夫人
レゼントを開けては、皆の前で披露していました。ご婦人方はテーブルに並べられた菓子やご馳走に舌鼓を打ち、世間話に花を咲かせています
した。正直な気持ちを申せば、イザベラの誕生日などどうでもよかったのです。いつのまにか私の心の中にあの方がいて、一目お会いしたいとばかりにお誕生会に出向い
たのね。それにしても、その
ドレスがこの場にふさわし
の形見なの
した。父親が出してきたドレス
が着るドレスは判らないでしょうね。
父に再婚で
身でいるのもなんでしょうし、タマラに母親は必要だって助言したの。けれど、あなた
の父に再婚話があったとは、町長夫人から訊かされるまで、ついぞ知りませんでした。一つ言えることは、父
相応の恋だと頭では判っていますが、気持ちはどうしようもなく望んでしまうのです。ですが、こうも考えました。イザベ
おいででした。レースをあしらった帽子を頭に乗せて、目元を隠しておいででしたが、赤い紅の唇と、顎から耳にかけての見事な骨格から絶世の美
長夫人も思惑が外れて落胆
り入ろうとしていましたので、私は少し離れた場
女性がいるなら、教えて
ベラが私の横にきて、
なかったの
ことだけど。それより、あなたの手にある包は
うと思っていたのに……。イザ
のない私は、ためらいなが
りが
、焼き菓子でした。ですが、贅沢に育ったイザベラには粗末にうつったのかもしれません。おそらくは気に
クリーム、たくさんのベリーで美しく飾り付けられたケーキに、来賓から拍手と歓
は、イザベラの祖母が、隣町か
私の焼いた菓子を落としてしまいました。無残にもアイシングが剥がれ、割れてしまった焼き菓子に、目を留める者はいませんでした。私は仕方がなし
みま
どしておらぬではないか。それに、人の好
イザベラがいました。不思議なことに、何度
、強く息を
になって息を吹き消します
ちも、お手伝
ろか、わっと燃え上がり、ケーキに引火しました。飛んだ火の粉がイザベラの自慢の髪を焦
!これは面
ちました。それどころか、皆の前で拾
べたことがないぞ。豪華なケーキは駄目になってしま
は真っ赤になるや
わたくしめも
これはうまい!」私に向かって、夫人と娘の非礼を詫び
唯一ある銀行の頭取が、もうすぐ
すであろう公爵様を、躍起