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啼かない金糸雀(カナリア)

チャプター 2 啼かない金糸雀②ー心を閉ざした少女ー

文字数:2607    |    更新日時: 20/09/2021

帽子から覗く艶やかな黒髪は、日本人形のように長かった。叔母だという女性は興奮しているのか、何度も金切り声をあげて少女を

い声で短く叫んだ母親の声でようやく後ろを振り返ると、顔面蒼白の母親を支えるようにして父親も茫然と立ち尽くしていた。二人

いるのかさえも怪しいが、虚ろに見える瞳の中で一瞬、確かに視線が合った気がした。叔母だという女性は、慌てて少女の左腕を掴むと、低姿勢で謝り

去最高にぶちぶち

以上にあの子のあの…ああ、思い出したくもないわね。とにかく! お見合いには結局ならなかったけど、今日は本当に最悪なお見合いだったわ。お見合いにならなくて良かったわね。お父さんも、取引先の社長さんの紹介だか

女はあんなことをしたのか。ただお見合いを断るためだけなら、すっぽかせばいいだけの話だ。わざわざ血だらけの服で、切断された鶏の頭を持つ

しても、彼女にとって、それはハイリスクノーリターンでしかない気がした。でも…そ

断らせる

う一つある。なぜ彼女は一言も話そうとしなかったのか…だ。それに加え

今日はす

父親が立っていた。取引先の社長さんからの紹介とはいえ、母

さんのせいじゃないんだか

しているそうだ。声を出せないのも、そのせいだと聞いている。今日はあんなことになってしまっ

近感を覚えていた。親近感というと少し語弊があるのかもしれない

い。今日はあんなことになったけど、父さんが信頼してる社長さんが話した

う俺に、父親は「解

何も映さないあの瞳が、心を閉ざし声を失った結果なのだとしたら、そしてあの衝撃的な出会いが、見合いを

。俺の住む場所からは、電車を乗り継いで1時間弱かかった。駅からバスに乗り換えて、高級住宅街の中を通り抜けた先にある高台のバス停で降りて

中に見覚えのある花が映り込む。思いがけず甘い香りの正体を知り、俺のしまい込んだはずの記憶が呼び起こされる。頭を掠める女性が手にした花に、胸が酷く疼く。もう忘れたいのに、忘れてしまいたいのに…まだ俺の心は囚われているの

夫です

る俺に、背後から凛と響く高く澄んだ声がかけられる。ハッと現実に呼び戻された俺は

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1 チャプター 1 啼かない金糸雀①ー衝撃的な出会いー2 チャプター 2 啼かない金糸雀②ー心を閉ざした少女ー3 チャプター 3 啼かない金糸雀③ ー秘密ー4 チャプター 4 啼かない金糸雀④ ー明かされた真実ー5 チャプター 5 啼かない金糸雀⑤ ー囚われた過去①ー6 チャプター 6 啼かない金糸雀⑥ ー囚われた過去②ー7 チャプター 7 啼かない金糸雀⑦ ー向き合う覚悟ー8 チャプター 8 啼かない金糸雀⑧ ー決意ー9 チャプター 9 啼かない金糸雀⑨ ー彼女の願いー10 チャプター 10 啼かない金糸雀⑩ ー自分を護る術(すべ)ー11 チャプター 11 啼かない金糸雀⑪ ー彼女の涙ー12 チャプター 12 啼かない金糸雀⑫ ー哀しい微笑みー13 チャプター 13 啼かない金糸雀⑬ ー欲望ー14 チャプター 14 啼かない金糸雀⑭ ー幸せな痛みー15 チャプター 15 啼かない金糸雀⑮ ー小さな勇気ー16 チャプター 16 啼かない金糸雀⑯ ー彼女の微笑みが消えた日ー17 チャプター 17 啼かない金糸雀⑰ ー諦めない心ー18 チャプター 18 啼かない金糸雀⑱ ー決別宣言と決意表明ー19 チャプター 19 啼かない金糸雀⑲ ー呪われた家ー20 チャプター 20 啼かない金糸雀⑳ ー再会ー21 チャプター 21 啼かない金糸雀㉑ ー真実ー22 チャプター 22 啼かない金糸雀㉒ ー暗闇と光ー23 チャプター 23 啼かない金糸雀㉓ ー告白ー24 チャプター 24 啼かない金糸雀㉔ ー選択ー25 チャプター 25 啼かない金糸雀㉕ ー当り前じゃない日常ー26 チャプター 26 啼かない金糸雀㉖ ー彼女の意思ー27 チャプター 27 啼かない金糸雀㉗ ー対面ー28 チャプター 28 啼かない金糸雀㉘ ー過去と未来ー29 チャプター 29 啼かない金糸雀㉙ ー未来へー30 チャプター 30 啼かない金糸雀㉚ ー嫉妬ー31 チャプター 31 啼かない金糸雀㉛ ー待ちわびた言葉ー32 チャプター 32 啼かない金糸雀㉜ ー悲痛ー33 チャプター 33 啼かない金糸雀㉝ ー深愛ー34 チャプター 34 啼かない金糸雀㉞ ー突然の訪問者ー35 チャプター 35 啼かない金糸雀㉟ ー彼女が心を許した存在ー