啼かない金糸雀(カナリア)
言い間違いでもないことを証明するために、俺は真剣な眼差しで母親を見つめる。
こと冗談でも聞けないわ。もっと他に良いお嬢さんがい
いいんだ。報告のつもりだから、
後にしようとすると、今度は俺の背中に向か
、私たちは学校で散々責められて、最後は辞めなきゃいけなくなって…蓮が女性不信にまでなって誰とも付き合えなくなって、時々うなされてるのをお母さんたちが知らないとでも思ったの? この家に生花がないのだって、香りがするものが何
が勢いに任せて言い放った言葉をすぐに後悔したような表情を見せたが、それ以上何も言えなくなって口を噤んで静かに泣いていた。そんな母親の姿を見ながら立ち尽くしてい
スで目立たない生徒だった。赴任したばかりの彼女は、よく笑う感情豊かな女性で、すぐに男子学生の間で人気になった。いつも学生の中心に居る彼女を見つめながら、
戸惑うような視線を向けられて、自分がしでかしたことを思い切り恥じた。慌てた俺は「ごめん!」とだけ言い放って、屋上から階段を駆け下りた。駆け下りていく間中耳元で、自分のものではないみたいに煩く心臓の音が鳴り響いていたし、顔は本当に火が噴き出るんじゃないかと思うくらいに熱かった。帰宅後も明日どんな顔をして会えばいいのだろうかと大いに悩んで、眠れない夜を過ごした。しかし翌朝学校へ出れば、彼女は体調不良で欠勤していた。肩透かしを食
生が見てあげるから…って動けないよね
抜けていった。予想外に近くに居る彼女の体温と、俺の肩と頭にそっと触れる手の温かみを感じてくらくらした。頭の痛みに耐えつ
ただの変態だ。くらくらはぐるぐるに変わって、頭の中ではどうすればいいかよりも、訴えられて退学するかもしれない…という危機感に支配されていた。それでも彼女の香りは相変わらずしていて、俺は今度こそ自制心を取り戻そうと、頭を振って勢いよく身
彼女の腕も、頭を包み込む首から肩も、密着している彼女の体のあちこちの、どこもかしこもが柔らかい。このまま包まれてい
の、やましい気持ちがなかったとは言えないけど、そういうつもりは全然、い
る俺は、必死にあれこれと言葉を繋いだ。すると俺の