愛しているから
作者福子
ジャンル恋愛
愛しているから
それから何回か絵を描いてみたけど、誠君は、あの日の絵をもう描けなかった。 本当に奇跡だったのかもしれない。 そしてまた、追い詰められるような日常に戻った。
私は、これからのことをお母さんに相談するために、電話をかけていた。 晩ご飯を食べたあとの時間。 つわりもひどくなってきて、もう誠君と暮らすことは無理であることを話した。
『そう。じゃあ、早いうちに施設を探して手続きをしないとね。それまで大変だから、2人でうちにいらっしゃい。その方がいいでしょ?』
「…うん、そうしようかな。ごめんね、お母さん、私のわがままで2人で暮らしたいって言ったクセに、結局は甘えて…る…」