夕霧荘一
小説2部発表
夕霧荘一の小説・書籍全集
財産狙いの裏切り婚約者
都市 私は遺伝性の持病を抱える資産家の娘. 婚約者の海翔は, 両親が亡くなる前に私の将来を託した唯一の頼りだった.
しかし, ある日, 見知らぬ番号から一枚の写真が送られてきた. そこには, 私の同僚である結実と親密に抱き合う海翔の姿が写っていた.
その夜, 自宅に帰ると, 二人は私の留守をいいことにソファで抱き合っていた.
問い詰めると, 彼は母の形見であるオルゴールを床に叩きつけ, 持病の発作で苦しむ私に, 不動産の譲渡契約書へのサインを強要した.
さらに, 結実は妊娠を告げ, 私を突き飛ばして流産したと偽り, 病院で私を殺人犯に仕立て上げようとした.
愛した男は私の財産だけを狙い, 同僚は偽りの妊娠で私を陥れようとする. 母が遺したたった一つの形見さえ, 彼の怒りで粉々に砕け散った.
だが, 彼らはまだ知らない. 私がサインした契約書がただの紙切れであり, 私の全財産がすでに海外へ送金済みだということを. 偽りの天才作家と影武者の妻
都市 夫は「天才作家」として世間から崇められているが, そのすべての原稿を書いているのは, 実は妻である私だ.
パリへの移住を目前に控え, 夫は愛人を「ミューズ」として帯同すると言い放った.
「君は家政婦として生活を支えろ. 彼女は創作を支える. ウィンウィンだろう? 」
私のゴーストライティングによる過労が原因で流産し, 二度と子供を望めない体になったことを, 彼は知っているはずだ.
それなのに, 愛人の嘘の妊娠を盾に私を追い詰め, 私の尊厳を泥足で踏みにじった.
夫にとって私は, 才能を搾取するための「便利な道具」でしかなかったのだ.
私の心の中で, 夫への愛情は完全に冷え切り, 静かな決意へと変わった.
私は秘書に電話をかけ, 淡々と告げた.
「私の航空券だけ, キャンセルしてください」
夫が空港で私の不在に気づいた時, 彼の栄光は終わりを告げる.
これは, 私の人生を取り戻すための, 静かで残酷な復讐の始まりだ.