風の詩
小説1部発表
風の詩の小説・書籍全集
血塗られた五周年と裏切りの夫
都市 結婚5周年記念の夜, 演出用のドローンが墜落し, 私は顔と腕から血を流していた.
しかし夫の純紀は, かすり傷一つない元恋人の泉実を抱きしめ, 私にこう言い放った.
「そこに立っているな. 泉実が驚くだろう. 裏口から帰ってくれ」
私は柏木リゾートの広報部長として, そして「理想の妻」として, 夫のために全てを捧げてきた.
義母に強要される過酷な不妊治療に耐え, 夫の経営を裏で支え続けてきたのだ.
それなのに, 夫のスーツケースから出てきたのは, 泉実がパーティーでつけていたダイヤモンドのピアスだった.
私が血を流して痛みに耐えている間も, 純紀は泉実の元へと走り去った.
私という存在は, 彼にとってただの「便利な道具」でしかなかったのだ.
冷え切った心が, 私にある決断をさせた.
私は震える手でスマートフォンを取り出し, ニューヨーク行きの片道チケットを予約した.
机の上に離婚届と辞職届, そしてあのピアスを残して.
私はもう, 誰のためでもない, 私自身の人生を生きる. あなたの傾向から
潔癖症の嘘、裏切りのキス
紅蓮 カイン 10年間付き合った婚約者の和也は, 「潔癖症だから」と言って, 私とのキスをいつも避けていた.
しかしある夜, 私は見てしまった. 彼が兄の元婚約者である幸世と, 公園の隅で情熱的なキスを交わしている姿を.
私が高熱で倒れた日, 彼は「会議中だ」と電話を切り, 幸世と旅行先で食事を楽しんでいた. それだけではない. 彼は私を無情にも解雇し, 私の秘書の席を幸世に与えたのだ.
「瑞実のことは大切にしたいから, ゆっくりと関係を深めていきたい」彼の優しい言葉はすべて嘘だった. 私はただ, 幸世の「代役」に過ぎなかったのだ.
10年間の献身と愛情が踏みにじられた絶望の底で, 私の心に冷たい復讐の炎が灯った.
結婚式当日, 私は姿を消した. そして, 披露宴のスクリーンに, あの夜のキス動画を流すよう手配した. 「和也, あなたの人生は, 今日で終わりよ」