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Sランクパーティーを追放されたお荷物テイマー  ~今さら戻って来てと言われても、テイムマスターに覚醒して気楽なスローライフを仲間と味わってしまっては、もう戻れないと思いませんか ?

Sランクパーティーを追放されたお荷物テイマー ~今さら戻って来てと言われても、テイムマスターに覚醒して気楽なスローライフを仲間と味わってしまっては、もう戻れないと思いませんか ?

gifuto

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着のみ着のままで、愛剣も大切なアイテムも取り上げられて放り出され、行く宛も拠り所も、希望すらない主人公のテイマーリョーマ。 リーダーボルトの都合で、捨て猫のように追放しておいて、君はハーレムまっしぐらですか ? Sランクパーティー、ラビアンローズは僕無しで大丈夫なのでしょうか ? そのメンバーでやれるものならやってみろと思います。 俺がどれだけ苦労したかお前達には一生わかんねえよ、と言いたいリョーマですが、物語の中ではとても優しい少年です。 裸同然で追放され、リョーマは人と一線を置くように、町から離れた恐ろしい魔物あふれる森に居場所を求めます。 いつからかテイムマスターの称号を得ていたリョーマは魔物達とのやり取りで、更に成長することができたのです。 是非とも、残酷なシーンをできるだけ少なくした、このほのぼのとした物語をお楽しみ下さい。  

チャプター 1 01 着のみ着のままで……

「お前ルイとは何でもないって言ってたのに、|嘘《うそ》ばっかりじゃないか、俺のことなめてんだろ」

確かには僕は昨日ルイと二人で外食したけど、彼女の相談に乗っただけで、他に何もないのになぁ。

「何を言ってるんだい ? ルイなんて妹みたいなものさ」

「言い訳なんて聞きたくない、使えないテイマーを|我慢《がまん》して仕方なく使ってやったのに、お前なんか首だ ! 二度と俺の前に出て来るな」

それが本音か ? 最近、厳しく責められたり、文句を言われることが多かったけど、僕のことをそんな風に思っていたとは知らなかったな。

ショックだった。

 滞在中の町ショーキの宿で、ボルトに突然、追放宣言を受けたんだ。

僕達は今にも頂点を極めようとしている、Sランクの5人パーティー、ラビアンローズだった。

つい先日までは順風満帆だったけど、Sランクに昇格してからは、少し行き詰まっているんだよね。

その場にいたエメリアとカエラは彼の意見に同意しているのだろう、特に何も声を掛けることも無く、進展を見守っていたな。

しかし、この3人はデキている。

どちらかが彼女という訳ではないが、お互いに了承済みのようで、テントの中で3人でイチャイチャしていることもあったんだ。ボルトが黒と言えば黒だろうね。

ボルトは男から見ても相当カッコ良いからとてもモテるんだ。

だけどかなりの女好きで、僕が女の子のパーティー入会、退会の調整にどれだけ苦労したことか ? ボルト狙い、金目当ての入会希望者は掃いて捨てるほどいるんだ。

放っておいたらボルトと僕と女の子100人くらいのパーティーができるぞ。

「お前が小難しいジイさんみたいな事ばっかり言うからこのパーティーに入れない|娘《こ》が山ほど出るんだ。

ある意味、お前の代わりなんていくらでもいるってこった。ワーハッハ」

「それはボルトとパーティーの為になるように厳しくチェックしたんじゃないか」

「うるせーぞ、お前のそのワン公と一緒だぜ。うるせーし、くせーんだよ。前からムカついてたんだこのワン公が」

そう言うとコタローの頭を|蹴《け》っ飛ばした。

「ひどい、何をするんだ」

間に割って入るけれど、リョーマの力ではボルトに遠く及ばない。

「この肩に乗せたぷよぷよした奴も目障りなんだ」

バンッ、と使い魔のスライムをはたいた。

「ガルル」

コタローはとても賢い|魔狼《まろう》なんだ。

自分が蹴られても、傷もつかないような蹴りなど衝撃を殺して受け、冷静なままで、やり返したりしようとは思わないからね。

だけど、仲間を、それも弱いスライムを攻撃されたのは許せなかったんだろう。

「ナンダナンダー、やんのかこのワン公め。犬鍋にして食っちまうぞ」

「もう、やめてくれ、分かったから。僕が抜ければ良いんだろ」

 「分かれば良いんだ、分かれば。アイテムは全部置いてけよ ! それは俺の力で得たものだからな」

「厳しいな。装備してる物くらいは許してくれよ」

「しょうがねえな。|餞別《せんべつ》にくれてやるぜ。

ただし、この剣は置いていけ。これは高かったんだ。お前にはこっちの なまくらがお似合いだ」

そんな剣まで取り上げるのか ? ボルトの剣の何十分の一しか価値の無い安物を。売っても銀貨数枚だろうに。相変わらず、他人(男限定)にはケチな男だな。

こうしてリョーマはパーティーから追放されたのだった。

リョーマはこれまでパーティーを少しでも良くする為に必死に耐えて、頑張って来たんだ。

やっとSランクまで上り詰めた矢先のことだったのに……

リョーマ自身も、ついこの前テイムマスターの称号を得て、パーティーも順調に昇格した。

Sランクに昇格したところだけど、ギルドの信頼も厚く、難しい討伐依頼も幾度と無くこなして来たんだぞ。

これからっていう時だったのに……

確かにボルトの力は素晴らしいものであるけど、リョーマと使い魔達のやって来たことは、彼のそれとは比べ物にならないものだったんだ。

索敵、運搬、罠探、調理、なによりパーティー内の人事と雑用は全部リョーマが受け持っていたと言っても過言ではないんだ。

火を起こしたり、宿の受付や支払い等も他のメンバーがするところなんて、見たことがないよ。

ボルト達はそんなことは全く気が付いていなかったんだ。

リョーマは必要な物も持てず、ほとんど着のみ着のままで放り出された。

|拠《よ》りどころもない。

行く当てもない。

お金はいくらか持っているけど、決して余裕はない。

これまで他のことには目もくれずパーティーの為に必死に頑張って来たのは、何だったのか。その全てが泡と消えたのだ。

悔しくて、悔しくて、しょうがない。

「くそっ、どうして……」

しかし、今更、どうにもならない。

宿のある|繁華《はんか》街から徐々に暗くなってゆく町を途方も無くトボトボと歩く。

どこをどう歩いたのかも分からない、町の外れまで来て、何かの店先のベンチに力無く腰かけた。

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