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波の彼方で私を見つけて

波の彼方で私を見つけて

まるぱんだ

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 絶海の孤島にひとり取り残された、長寿種族――エルフの少女、アリーダ。死ぬに死なれず、ただ絶望をもてあそぶまま、そこに生きていた。そんななか、彼女はある青年から一通のボトルレターを受け取る――。  海を隔てた文通を重ね、やがてふたりは心を通わせ、互いにかけがえのない存在となっていく。交わることのない彼らの、切ないラブストーリー。

チャプター 1 孤島の少女の独白

なんて平和な世界だろう。

誰もいない。私以外、誰もいない。

あるのは、鬱蒼と茂る森と、その向こう側に広がる砂浜――そして、瑠璃色に輝く大海原。

人影など、最後に見たのはいつだったか。

誰もいない。だから、争いも何も起こらない。

もう、私は目にしなくていいのだ――火の赤も、血の紅も。

ああ、なんて平和なことか。

……なんて、孤独なことか。

もう、私は目にすることがないのだ――燈の赤も、頬の紅も。

家族の温もりも、友の笑顔も。

私に触れるものなど、何もない。何もないのだ。

全てを喪った「あの日」から、どれほどの世紀が経ったのか。数えることすら忘れていた。

特に何を考えることもなく、ただ時の流れを待った。

人間より長く定められた寿命を呪いながら。

尽きぬ我が身を嘆きながら。

海の水泡となることさえ恐れる我が心を恨みながら。

愛も情けも、記憶の彼方に埋もれていた。

そんなものがかつてあった場所は、今やぽっかりと穴が空いているばかりだ。

何もない。

水しぶきをあげる波のような喜びも、吹き荒ぶ大風のような悲しみもなく、ただ凪ばかりが続く日々。

それが、これからもずっと続くと思っていた。

「拝啓 波の彼方のあなたへ」

そう書かれた手紙を、この手で受け取るまでは。

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