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裏切りの果て、私は医師となる

第2章 

文字数:4313    |    更新日時: 11/12/2025

奈 P

う, 何もかもどうでもよかった. 空っぽになった心は, 何の感情も抱かなかった. 朝になって, 私の携帯が鳴

純奈ちゃん.

私は無理に笑顔を作って, 「はい, おか

ンクールで, 緊急の参加枠ができたんだ.

うに聞こえた. コンクール? 私が? 今

, 先

うとしたが, 言

のための, チャリティイベントを兼ねているんだ. 審査員には, 世界の食料支

. その言葉が, 私の凍りついた

…行

私自身だった. 行きます. 本当に? なぜか, そうする

君, 何かあっ

でいた. 私の返事があまりにも唐

う, 樹世と

た. 彼との関係を断ち切る. その決意が

止めよう. すぐに手続きを進めよう. 何も

入れてくれた. 彼の温かい言葉に, 心の中に小さな光が

樹世からメッセー

美のことでね…近いうちに必ず埋め

. 怒り, 嫌悪, そして深い悲しみ. しかし, それらはすぐに

ビザ, 健康診断書. 一つ一つ書類を揃えるたびに, 私の心は少し

で築き上げた, 腕利きのパティシエだった. 私は祖母の背中を見て育

何よりの薬だった. その時, 私は思った. 私も, 困っている人の心を癒せるようなお菓子を作りたい. そして

樹世の存在が, 私の選択を大きく変えた. 彼は私の夢を応援すると言いながら, 結局は私をそ

研究を勧められた. しかし, そのたびに樹世は, 私の体を心配し, 日

, 彼の元から離れることが, 私の新しい人生の始まりなのだ. 私は, もっと大きな世界

ージ. 今度は, 雅美が樹世の腕に抱きつ

れたわ. あなたなんかがいたから, ずっと苦しんでいたのよ, 樹世

僕もようやく肩の荷が下りた」と優しく語りかけている. 私の心臓は, もう何

メッセージを

あなたの祖母のレシピノートも, 樹世が私にくれるって.

それは, 私の命よりも大切なものだ. 樹世は, それを雅美に渡す約束をし

プロポーズした時の言葉が蘇った. 「純奈, 君は僕のすべてだ.

彼にとって, ただの道具に過ぎなかった. 彼の味覚と嗅覚を取り戻すための道具. 彼の跡取

彼の裏切り, そして私の愚かさ. すべて

めたが, 私の決意は固かった. もう, この国に,

に談笑している様子が映し出されていた. 雅美は, 樹世の隣に座り, 幸せそうに微笑んでいる. そし

, 共に新しい未来を築けるだろう」と, 誇らしげに語っていた. 雅美は,

け落ちていくような感覚. もう, 痛みも, 悲しみも,

彼からもらったプレゼント, 彼と撮った写真, 彼との手紙. すべてを箱

てきたのだ. 私の心臓は, 何の感情も抱かなか

いま. 遅くな

私は何も答えない. ただ, 黙っ

い? こんな時

戸惑いの色

らないものば

たかった. まるで,

一体何を言って

詰めた箱を覗き

出よ. もう,

. 彼の目に, 戸惑いと, ほんの

君, ま

葉の真意に気づき

りよ. あなたと私の間

確固たる決意

奈! 何か誤解しているんだ

, 私は吐き気を催した. 彼の嘘にまみれた言葉,

! 触ら

た. 私の体は, 彼の触

さか…赤ちゃんが

様子を見て, 突然そう言い出した. 彼の

そんなはずな

冷たく言

いたら, 君には堕ろしてほしかった. 今

の子どもさえも, 自分の都合で決めようとする. 雅美

んなこと, 絶

. 彼に, 私の本当の気持ちなど,

だね. 君らし

彼は, 私の言葉の裏に隠された

ろう? 何か作

った. その背中に, 私は虚しい笑みを浮か

かった. 彼の作る料理を食べる気にもなれなかった.

疲れているから,

の顔に, 少しだけ失望の色が浮か

かったよ. お

の足音が遠ざかるのを聞きながら, 私は確

る写真. そして, その写真には, こんなメッセージが添えられていた. 「樹

怒りも感じない. ただ, 遠い場所で, 冷たい風が吹き荒

ら, 梅原

で呟いた. もう, 私の心

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