【契約結婚→溺愛】&【俺様御曹司】&【ざまぁ展開】&【最強の嫁、正体は秘密】&【どん底からの逆転劇】 栗原桜は、搾取する家族から逃れるため、その場にいた男を適当に捕まえて電撃結婚した。 月収たった十五万円のごく普通の男を拾ったと思っていたら、結婚したばかりの旦那様の銀行口座にはゼロが十個——残高は二〇〇〇億を超え、おまけにくれた鍵が都心の最高級スイートルームのものだったなんて! 継母に無理やり代理の花嫁に? 野村社長は結納品として、丸山グループを買収した! 保護者が彼女を辞めさせようとした? 野村グループは学校ごと買い取った! 酒に酔った夜、これまで禁欲的だった男がシャツを引き裂いた。「今日こそ、俺に夫の義務を果たさせてくれないなら、SNSで全世界に発表する。お前は俺の妻だってな」 栗原桜は断固拒否。 それ以来、ネット民たちは毎日これだけが楽しみになった—— 野村社長は今日、妻を落とせたのか?
区役所の婚姻届窓口。
栗原桜は、手にした真新しい婚姻届の受理証明書をぼんやりと見つめていた。
まさか、初めて会ってから2時間も経たない男と、電撃結婚してしまうなんて。
そんなことを考えていると、耳元に男の低く魅力的な声が届いた。
「都心に90平米ほどのマンションがある。もし引っ越したいなら、いつでも来ていい」
そう言って、彼は一本の鍵を彼女の前に差し出した。
桜はすぐには手を伸ばさず、目の前の男を見上げた。
薄手の白いシャツの襟元はボタンが一つ外され、どこか冷たい印象を与える顔立ち。彫りが深く、整いすぎていると言ってもいいほどだった。
見た目だけで言えば、こちらが得をしている。
彼女は迷いを捨て、鍵を受け取った。
「……ありがとう」
「ただ、私たちは入籍したけれど、まだ知り合って間もないし……」
できれば、しばらくは夫婦としての生活は控えたい。
後半の言葉は、恥ずかしくて口に出せなかった。
しかし、野村和真にはその意図が伝わったようだ。
彼は両手をポケットに突っ込み、気だるげに立っていたが、眉をわずかに上げた。 「言い忘れていたが、仕事が忙しくてな。 近々北米に出張することになった。 いつ戻れるか分からない」
つまり、しばらくの間、二人の間にそういう接触はないということだった。
桜はひそかに安堵の息をついた。 何かを言う間もなく、男がクレジットカードを差し出してきた。
「暗証番号は8が八桁だ。 毎月、給料を振り込むから、遠慮なく使ってくれ。 気にする必要はない」
「そんな、ダメよ!」
桜は慌てて手を振った。 「私には仕事があるもの。 自分で生活できるわ」
だが、和真は彼女の拒絶に気づかないふりをして、カードを彼女の掌に押し込んだ。
「いい子だ、言うことを聞け」
「夫として、妻を養うのは当然のことだ」
そう言うと、彼は腕時計に目を落とし、少し焦った表情を見せた。 「飛行機の時間がある。 先に行く。 帰りは気をつけて」
掌に伝わる温もりに、桜は全身がくすぐったくなるような甘い感覚を覚えた。しばらくして、ようやく声を取り戻す。
「ええ、あなたも気をつけて」
和真は軽く頷くと、タクシーに乗って去っていった。
彼の本名は野村和真ではなく、野村奏太。 野村グループの御曹司である。
野村和子に何度も結婚を急かされたが、金目当てで近づいてくる女たちにうんざりしていた。 そこで、偽の身分を用意し、桜と証明書を受け取ったのだ。
しかし、今しがた妻になった女性は、悪くないように見えた。
桜はタクシーが遠ざかるのを見送り、視線を戻した。 鍵とクレジットカードをまとめてバッグに放り込む。 カードに輝く金色のVIPの文字には、まったく気づいていなかった。
タクシーを拾おうとしたその時、突然、携帯電話が鳴り響いた。
電話に出るなり、継母の栗原梓の甲高い罵声が飛んできた。
「この役立たずのクズ女、どこで油売ってるの?さっさと戻ってきなさい。 北川社長がずっと待ってるのよ!」
あの、いやらしくて禿げた男の顔が脳裏をよぎり、桜は携帯電話を握る指に力を込めた。 「その気は捨てて。 私はあの人とは結婚しない」
「ふざけないで!あんたが何様だと思ってるの。 北川社長の家に嫁げるなんて、身分不相応なくらいよ!いいこと、結納金はもう受け取ったんだから。 あんたが嫌だと言っても、結婚してもらうわよ!」
桜は唇を噛みしめた。 手にしたままだった婚姻届の受理証明書が、彼女に抵抗する勇気を与えた。 「さっき、他の人と入籍したよ」
電話の向こうが数秒間沈黙した後、さらに甲高い怒鳴り声が響き渡った。 「この恥知らずのクズ女!よくもそんな……」
罵倒が終わる前に、桜は通話を切り、その番号をブロックした。
十数年前、父親が浮気をし、継母として梓が家に上がり込んできた。
母親は長年の苦しみの末にうつ病を患い、最後は飛び降り自殺を選んだ。
継母は当初、父親の前では良妻賢母を装っていたが、栗原花音を産んで地位を固めてからは、ありとあらゆる手で彼女を苦しめ始めた。
桜は梓の手口を知っていた。 彼女の利益のために利用されるくらいなら、いっそ自分で男を見つけて結婚した方がましだ。
だからこそ、2時間前、お見合いサイトで和真の情報を見た時、彼女は彼に連絡を取ったのだ。
29歳、IT企業勤務のプログラマー。 悪癖なし。 車と家あり。 月収14万円。
この条件なら、ちょうどいい。
さらに都合のいいことに、彼は迷う素振りも見せずに同意してくれた。
これまでの経緯を思い返し、桜は耳まで熱くなるのを感じた。
だが、どうあれ、今さら後悔しても遅い。
父親の裏切りを目の当たりにして以来、彼女は結婚そのものに期待を抱かなくなっていた。
もし本当に合わなければ、数年後に離婚すればいい。 それだけの話だ。
極秘結婚、突如現れた桁外れの大富豪の旦那様!
Rabbit4
都市
第1章 電撃結婚
17/07/2028