わらびゆず
小説1部発表
わらびゆずの小説・書籍全集
六十六回キャンセルされた花嫁
都市 私の結婚式は, 今日で六十六回目のキャンセルを迎えた.
そして今回も, 原因はあの女だった.
誓いのキスの直前, 千結が嘘のアレルギー発作で倒れると, 婚約者の直哉は迷わず私を祭壇に置き去りにした.
「アレルギーは命に関わるんだ! 」
そう怒鳴って去った彼は, 私のために克服したはずの「高所恐怖症」を, 実は千結との観覧車デートでとっくに克服していたのだ.
しかも, 私に「二度と外さない」と誓わせたペアの鍵のネックレスは, いつの間にか千結の首元で揺れていた.
私は彼のために外科医の夢を捨て, 胃に穴が開くほど尽くしてきたのに, 彼の心には最初から私なんていなかった.
私は震える手で, 六十七回目の結婚式の予約を取り消した.
「さようなら, 直哉. 今度は私があなたを捨てる番よ」
私はウェディングドレスをゴミ箱に捨て, 戦火の舞う国際医療援助の最前線へと旅立った. あなたの傾向から
偽装死から始まる復讐劇
翼を持つ者 私は, 誰もが羨む完璧な家庭を築いていた. カリスマ建築家の夫と, 私を「ママが一番好き」と言ってくれる息子. 彼らに尽くすことが, 私の全てだった.
しかし, その全てが嘘だったと知った. 夫は不倫し, 私の愛する息子までが, その女を「ママ」と呼んで二人を庇っていたのだ.
結婚記念日, 夫は盛大なサプライズで私のご機嫌を取ろうとした.
そこへ不倫相手の女が現れ, 公衆の面前で嘲笑うように私との関係を暴露した.
息子は私ではなく, その女を選んだ.
愛も, 信頼も, 家族も, 全てを失った私の心は, 憎しみの炎だけが燃え盛っていた.
私は失踪屋に連絡し, 自らの死を偽装した. 翌朝, ニュースは「長谷部直世, 海難事故で死亡」と報じる. これは, 私から全てを奪った彼らへの, 復讐の始まりに過ぎない.