兎川 にこ
小説2部発表
兎川 にこの小説・書籍全集
結婚式当日、私を捨てたあなたへ
都市 結婚式当日, 私はウェディングドレス姿のまま, 長年支え続けた彼に捨てられた.
「キャリアのためだ」
彼はそう冷たく言い放ち, 妊娠中の私を見捨てて, 権力者の娘を選んだのだ.
三年後, 私が夫の主催するパーティーに顔を出すと, 元婚約者は私が落ちぶれたと勘違いし, 取り巻きと共に嘲笑った.
あろうことか, 彼の妻は嫉妬に狂い, 私の手にフォークを突き刺したのだ.
手のひらから鮮血が滴り落ちる.
激痛の中で私は思った. 彼らは私が誰の妻になったのか, 想像すらしていないのだと.
その時, 会場が凍りついた.
「氷の皇帝」と恐れられる夫が, 息子を抱いて現れたからだ.
「ママ! 」
息子の声が響いた瞬間, 元婚約者の顔から血の気が引いていった. ミシュラン夫の裏切りと離婚
都市 ミシュランの星を獲得した夫の祝賀会で, 私は彼と愛人が公然とキスをするのを目撃した.
屈辱の中で離婚を決意した矢先, 皮肉にも妊娠が発覚する.
だが, 愛人に階段から突き落とされ, 私はお腹の子を失った.
夫は「跡取り」のためだけに掌を返したように優しくなり, 愛人は私の事故をあざ笑う.
病室で目覚めた私は, 涙を流す夫と, 被害者ぶる愛人を冷ややかに見つめた.
夫はまだ信じているのだ.
かつて彼を救ったのが愛人で, 私が無理やり結婚を迫った悪女だと.
私は震える夫に離婚届を叩きつけ, 残酷な真実を告げた.
「いい加減, 目を覚ましたら? あなたの店を救うために父に頭を下げたのは, 私よ」
真実を知った夫が絶望に崩れ落ちる中, 私は彼を捨て, 本当の自由へと歩き出した.