石井 未来
小説1部発表
石井 未来の小説・書籍全集
奇跡の命、地獄の愛の果て
都市 財閥総帥の夫と極秘結婚して七年, 不妊治療の末にようやく授かった奇跡の命.
夫の海外出張からの帰国日, 私はサプライズで妊娠を告げるため, 手作り弁当を抱えて本社ビルへ向かった.
しかし, そこで待っていたのは感動の再会ではなく, 夫の秘書・辻村美唄による地獄のような凌辱だった.
「社長のストーカーが, 妊娠をでっち上げている」
そう嘲笑われ, 警備員に押さえつけられた私の服はハサミで切り裂かれた.
「その汚い腹も目障りね」
辻村の鋭い靴先が, 膨らみ始めたばかりの私のお腹を何度も蹴り上げる.
ロビーの大理石が鮮血で赤く染まり, 薄れゆく意識の中で, 七年間待ち望んだ我が子の命が消えていくのを確かに感じた.
遅れて到着した夫は, 血の海に沈むのが最愛の妻だと知るや否や, 鬼と化した.
秘書の顔面を原型がなくなるまで殴り続け, 傍観していた社員たちには自らの指を切り落とさせ償わせた.
だが, 私の空っぽになった子宮と凍りついた心には, もう何の感情も残されていなかった.