苺野いちご
小説1部発表
苺野いちごの小説・書籍全集
炎が暴いた裏切りの真実
都市 片桐沙耶香
燃え盛る厨房の中, 婚約者の勇斗は私ではなく, 煙にむせた義妹の奈々香を抱きかかえ走り去った.
私はパティシエとして致命的な火傷を負い, やっとの思いで家に帰ると, そこには私が開発した新作チョコレートを食べ散らかし, 抱き合って眠る二人の姿があった.
「奈々香はまだ子供なんだ! 」彼はそう言って, 常に義妹を庇った.
彼の裏切りと彼女の偽善に, 私の心は凍りついた.
彼の店のオープニングパーティー当日. 私は復讐のため, パリ行きの飛行機に乗った. 会場のスクリーンに, 私のビデオメッセージが流れるまでは.
彼が私ではなく, 煙にむせた義妹を抱きかかえ, 燃え盛る厨房から走り去るのを, 私は床に倒れて見ていた. 熱い炎が私の肌を焼くよりも, 彼の背中が, 私の心を凍えさせた.