麦穂ひかり
小説4部発表
麦穂ひかりの小説・書籍全集
不妊治療の果て、裏切りの産婦人科
都市 長年の不妊治療が実り, 夫を驚かせようと妊娠の事実を隠していたのが仇となった.
産婦人科で鉢合わせたのは, 愛人の膨らんだお腹を愛おしそうに撫でる夫の姿だった.
「彩音さんが私を突き飛ばした! 」
愛人の狂言を鵜呑みにした夫は, 弁解しようとする私を力任せに突き飛ばした.
その衝撃で, 私は彼に伝えるはずだった我が子を, 彼自身の手によって殺されたのだ.
激痛に悶える私を一瞥もせず, 彼は「君には失望した」と言い捨て, 愛人を抱きかかえて去っていった.
彼が守ったのは愛人の嘘, 彼が殺したのは待望の実子.
私は血の海の中で, 彼への愛を完全に断ち切った.
誰もいない家に戻り, 離婚届と, 愛人の自作自演を捉えた監視カメラの映像をテーブルに残して, 私は姿を消した.
5年後, 全てを失い, 真実を知って発狂寸前の彼が私の前に現れた.
「許してくれ」と足元にすがりつく彼を, 私はゴミを見るような冷たい目で見下ろした. 冷酷な妻の復讐:全てを失った夫
都市 娘の誕生日に, 彼女は無邪気な笑顔で, フランス語の願い事を口にした.
「愛奈先生が, 新しいママになりますように」
隣にいた夫は満足げに頷き, 同じくフランス語で答えた.
「いい願いだ. 今のママは厳しすぎるから, もうすぐいなくなるよ」
二人は顔を見合わせ, 私には言葉が理解できないという確信を持って, クスクスと笑った.
夫は, 私がただの専業主婦だと思っている.
しかし彼は知らない. 私がフランスの老舗メゾン「KOMIYA」の令嬢であり, 彼が誇る商社の地位も, すべて私の実家のコネのおかげだということを.
そして何より, 娘に最初のフランス語を教えたのが, 私だということも.
目の前で繰り広げられる裏切りの喜劇に, 私の心は凍りついた.
私は妊娠した事実を隠し, 涙を拭って冷ややかに微笑んだ.
「そんなに新しいママがいいなら, その願い, 叶えてあげる」
私は彼らを破滅させるため, 故郷パリへの片道切符を手配した. 冷酷な元婚約者への甘い罠
都市 「結婚申請書はここに提出してください」
今日, 私はこの言葉を聞く喜びを味わうはずだった.
しかし, 一本の電話が全てを壊した.
「芽枝が困っているんだ」
婚約者の藤原は, 私の目の前で婚姻届を奪い返し, 元カノの元へと走り去った.
土砂降りの雨の中, 私は暴漢に襲われた.
愛犬のハルが私を守ろうとして, 目の前で蹴り殺される.
薄れゆく意識の中で彼に助けを求めたが, 電話の向こうから聞こえたのは冷酷な嘲笑だけだった.
「僕がお前を助けに行く義理などない」
私が死の淵を彷徨っている時, 彼は他の女を抱きしめていたのだ.
五年間の献身は, 裏切りと死という形で報われた.
奇跡的に一命を取り留めた私は, 地獄の底から這い上がった.
もう, かつての従順な私ではない.
私は復讐の鬼となり, 彼に偽りの愛を囁く.
「定九郎, やり直しましょう」
彼を破滅させ, 全てを奪い尽くすために. 愛を殺した、彼の後悔
都市 体に時限爆弾を巻き付けられ, 震える手で恋人の法医・久我修二に助けを求めた.
しかし彼は「幼馴染のピアスを探すのに忙しい」と, 私の必死の懇願を「気を引くための嘘」だと断じ, 電話を一方的に切った.
数分後, 私はお腹の子と共に爆死した.
皮肉にも, 私の黒焦げの遺体を解剖したのは修二だった.
彼は目の前の肉塊が, かつて愛した女だとは露知らず, 私が大切にしていた彼からのプレゼントを「身元不明の安物」として証拠品袋に放り込んだ.
「妊娠3ヶ月. 母子ともに即死か, 気の毒に」
彼は淡々と死因を告げ, 私の両親からの捜索願いさえも「ただの家出だ」と鼻で笑い, 幼馴染の元へと急いだ.
彼が真実を知ったのは, 私が死んでから数日後.
誘拐犯が嘲笑いながら告げたのだ.
「お前が解剖したあの焼死体こそが, お前の女と子供だ」と.
そして一年後.
すべての黒幕が, 彼が優先した幼馴染だと知った修二は, 彼女との結婚式の打ち合わせの場で, ある「復讐」を実行する.
彼は微笑みながら幼馴染を椅子に縛り付け, その胸に爆弾をセットした. あなたの傾向から
偽装死から始まる復讐劇
翼を持つ者 私は, 誰もが羨む完璧な家庭を築いていた. カリスマ建築家の夫と, 私を「ママが一番好き」と言ってくれる息子. 彼らに尽くすことが, 私の全てだった.
しかし, その全てが嘘だったと知った. 夫は不倫し, 私の愛する息子までが, その女を「ママ」と呼んで二人を庇っていたのだ.
結婚記念日, 夫は盛大なサプライズで私のご機嫌を取ろうとした.
そこへ不倫相手の女が現れ, 公衆の面前で嘲笑うように私との関係を暴露した.
息子は私ではなく, その女を選んだ.
愛も, 信頼も, 家族も, 全てを失った私の心は, 憎しみの炎だけが燃え盛っていた.
私は失踪屋に連絡し, 自らの死を偽装した. 翌朝, ニュースは「長谷部直世, 海難事故で死亡」と報じる. これは, 私から全てを奪った彼らへの, 復讐の始まりに過ぎない. 幽霊妻、届かぬ愛の叫び
井上 陽太 ガス爆発で死んで4年, 幽霊となった私は, 片時も離れず娘の結愛を守ってきた.
だがある日, 元夫であり世界的建築家の高沢遼が, 私たちの前に現れる.
彼は私が死んだことを知らず, 娘を「私への復讐の道具」だと決めつけた.
「おい, そこの女. 母親に伝えておけ. 養育費目当ての芝居はやめろとな」
彼は冷酷に言い放ち, 私を苦しめるためだけに親権を奪おうと裁判を起こす.
法廷で「あんな女, 死んでもいい」と彼が叫んだその時, 幼稚園の先生が震える声で真実を告げた.
「待ってください高沢さん! 綾乃さんは... 4年前に事故で亡くなっています! 」
その瞬間, 法廷は静まり返り, 彼の傲慢な表情が音を立てて崩れ落ちた. 聞こえた裏切り、復讐の誓い
水野 美桜 婚約者の進藤翔真を心から愛していた私は, 彼を驚かせるため, 危険な聴力回復手術を受けた.
手術は成功. しかし, 初めて耳にしたのは, 彼が私の親友と電話で情事を交わし, 「結枝は耳が聞こえないから, 何をしてもバレない」と嘲笑う声だった.
彼は私の前では完璧な婚約者を演じ, 親友は「あなたの婚約者は私のものよ」と挑発してくる.
彼は浮気を「男の気晴らし」だと言い放ち, ついには彼女を私たちの家に連れ込み, 隣の部屋から二人の喘ぎ声が聞こえてきた.
私を孤独から救ってくれた唯一の光だった彼. その愛は偽りだった. 私の心は, 彼の裏切りによって完全に凍りついた.
私は復讐を決意した. 結婚式当日, 彼の裏切りを暴露する映像を流し, 私自身の「遺体」を最高のサプライズとして贈ることにしたのだ.