三年越しの錯愛、彼女はもう戻らない

三年越しの錯愛、彼女はもう戻らない

桜御門れい

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藤原悠斗が初めて性欲の発作を起こしたとき、何が何だかわからないうちに桜庭柚葉と寝てしまった。 その後の3年間、彼は一度も告白しなかったが、彼女の身体に対して極端に執着していた。 桜庭柚葉は、時間が経てば彼の心を温められると思っていた。しかし、彼と後輩の女の子が恋愛しているという知らせが届いた。 「長い間追いかけ続けて、ようやく彼女が頷いてくれた」 男は彼女の目を見つめて言った。「これからは、もう連絡を取るのはやめよう」 その後、桜庭柚葉は、彼の願った通りに、跡形もなく姿を消した。 だが、藤原悠斗はようやく後悔の念に襲われた。彼女を狂おしいほどに世界の隅々まで捜し回った。 男は彼女の前にひざまずき、懇願するように言った。「柚葉、お願いだ……もう一度、俺のそばに戻ってきてくれないか?」

チャプター 1 決意の別れ

藤原悠斗が初めて性欲に支配された夜、彼は桜庭柚葉と知らず知らずのうちに一夜を共にした。

その後の三年間、彼は愛を告げることはなかったが、彼女の身体に強く惹かれ続けていた。

桜庭柚葉は、時間が経てば彼の心を温められると思っていたが、待っていたのは彼が後輩と恋を始めたという知らせだった。

「俺、彼女をずっと追いかけて、やっと恋人になってくれたんだ」 彼は桜庭柚葉の目を見つめ、静かに言った。「これからは連絡を取らないでくれ」

その後、桜庭柚葉は彼の望み通り、跡形もなく姿を消した。

だが、藤原悠斗は後悔に苛まれ、必死に彼女を探し回った。

彼は彼女の前で膝をつき、懇願した。「柚葉、俺のそばに戻ってきてくれないか?」

*

「今回のUFC格闘大会で、藤原悠斗が再びミドル級チャンピオンに輝いた…」

テレビでは、男の優勝の瞬間が報じられていた。

その時、大きなベッドの上で、彼は桜庭柚葉を押し倒し、激しく愛した。

「もう少し優しくして…」

柚葉は彼の獣のような体力に慣れていたが、今回はいつも以上に激しく感じた。

大型試合の後、彼はいつも彼女を極限まで追い詰めた。

窓の外が白み始め、柚葉は疲れ果てて体が崩れそうだったが、彼がようやく退いたのを感じた。

「今日、出ていく前に鍵を置いていけ。もう来なくていい」

彼の突然の言葉に、柚葉の眠気は一瞬で吹き飛んだ。

「あの子が俺の恋人になることを承諾したんだ」 藤原悠斗の目には柔らかな笑みが浮かんでいた。「ここに置いてある服やアクセサリーは全部持って帰れ。彼女が見たら気分を害するからな」

彼はブラックカードを彼女に渡し、彼女の上に投げた。

「この三年、ご苦労だった」彼の声は淡々としていた。「柚葉、お前も今年で25歳だろ? そろそろ落ち着いて暮らせる相手を探したらどうだ?」

桜庭柚葉は呆然と頷き、心の奥で鋭い痛みが広がった。

「結婚する時は俺のマネージャーに連絡してくれ。盛大な祝いの品を用意するよ」 藤原悠斗は一晩中眠っていないとは思えないほど元気だった。

彼は服を整え、丁寧にネクタイを選んだ。「女の子ってどんな花が好きなんだ?」

「薔薇?」柚葉は答えた。

「ありきたりすぎるな」彼は軽く鼻で笑った。「茜はお前とは違って落としにくい。気高くて頑固な子だから、こんな平凡な花は好きじゃないだろう。」

そう言い残し、彼は柚葉の返事を待たずに部屋を出ていった。

「はぁ…」

柚葉は足が震えながらベッドから降り、浴室へ向かった。

鏡に映る自分の体には、無数の痕が点在していた。彼女は無力にため息をついた。

気づけば、藤原悠斗と三年もの間、こんな関係を続けてきたのだ。

彼らは幼馴染で、初恋のような存在として共に育った。

大学受験が終わった夏休み、柚葉は勇気を振り絞って告白しようとしたが、藤原悠斗は軽快に彼女の肩を抱き寄せた。

「今日、母さんが俺たちが付き合ってるんじゃないかって聞いてきたんだ。 笑えるよな、お前とは兄弟みたいに気が合うのに、恋愛なんてありえないだろ!」

その後、桜庭柚葉は遠く離れた舞踊学院に進学し、大学の四年間、二人は冬休みにしか顔を合わせなかった。

大学院進学が決まった夜、彼女は友人と酔いつぶれ、同じ夜、藤原悠斗は試合前に対戦相手から薬を盛られた。

その夜、二人は思いがけず一夜を共にした。

目覚めた後、彼は責任を取ると言い、こう約束した。「25歳までお互いに好きな人がいなければ、俺たちは一緒になろう」

柚葉は勢いでその提案を受け入れた。

こうして、彼らの曖昧な関係が始まった。

藤原悠斗はプロの格闘選手で、普段から運動量が多く、その欲望も人一倍強かった。

一ヶ月後、柚葉は彼が性依存に悩まされていることを知った。

あの夜、彼に盛られた薬は一度で消えるものではなく、

毎週のように発作が起きた。

彼は運動で発散しようとしたが、効果はほとんどなかった。

こうして、柚葉は彼の欲を満たすための道具となった。

だが、今、その道具としての役割を終える時が来た。

半年前、藤原悠斗が彼女を迎えに学校に来た際、偶然、北舞の新入生・藤堂茜と出会った。

茜は19歳。瑞々しい若さと清純な美しさを持っていた。

藤原悠斗は一瞬で彼女に心を奪われた。

彼は様々な手段で茜を追いかけたが、彼女は応じなかった。

洗いざらしのロングスカートに、つま先が剥がれたキャンバスシューズを履いた藤堂茜は、冷たく気高い態度で言った。 「もう私に構わないで。あなたみたいな好色な男の籠の鳥になんてなりたくないわ」

その頑なな姿勢は、藤原悠斗を退けるどころか、ますます彼を引きつけた。

その時期、性依存の発作が起きた時、彼は藤堂茜の写真で発散することを選び、柚葉と寝ることを避けた。

ある日、柚葉は昼過ぎまで眠り、電話の音で目を覚ました。

それは江藤ママからの電話だった。

「もしもし、ママ」

「柚葉ちゃん!」 江藤恵理の声が受話器から響いた。「葵叔母さんの息子が目を覚ましたのよ!」

「硯青お兄さんが…目を覚ましたの?」

柚葉の目が輝いた。彼女は少し考えて言った。「ママ、卒業証書を受け取るまであと七日。前にオーストラリアに住みたいって言ってたよね? 七日後、一緒に行こう」

江藤恵理は驚いて、ちょっと慌てたように言った。「え、ちょっと待って、柚葉ちゃん…それで、悠斗はどうするのよ? 遠距離恋愛なんてできるのかしら?」

「私たち、別れたの」柚葉は淡く微笑んだ。

彼女は母に打ち明ける勇気がなく、実は藤原悠斗と正式な恋人関係ではなかったことを隠していた。

「柚葉ちゃん、落ち込まないでね。まだ若いんだから、いつかきっと運命の人に出会えるよ……」 江藤恵理は深いため息をついて言った。「飛行機のチケットを予約したら教えてね。すぐにオーストラリアで硯青を訪ねよう」

「うん、わかった」

電話を切り、柚葉の唇にはかすかな笑みが浮かんだ。

葵硯は彼女より四歳年上で、ずっと妹のように大切にしてくれた。藤原悠斗と知り合う前から彼女のそばにいた存在だった。

昔、藤原悠斗は柚葉が硯と一緒にいるのを見ると、いつも皮肉っぽく振る舞った。

六年前、葵硯は母と共にオーストラリアに移住したが、交通事故で植物状態に陥った。

医者は「目を覚ます可能性はほぼない」と告げていた。

それでも、奇跡が彼に起こったのだ。

柚葉はすぐに身支度を整え、この別荘にある自分のものをすべて持ち出した。

荷物を引きずりながら階下に降りると、藤原悠斗が清純で愛らしい女の子を連れて入ってくるのが目に入った。

三人の視線が交錯した。

「彼女は…ここの住み込みの家政婦だよ…」藤原悠斗は藤堂茜に慌てて説明した。

藤堂茜の視線は、柚葉の首のキスマークに落ち、失望を隠さずに言った。「先輩、あなたは私がずっと憧れていた素晴らしいダンサーだったのに、裏で身体を売るなんて」

柚葉は言葉を失った。

「藤原さん、私たちが今、恋人同士だということを忘れないで。わたしは先輩のようになるつもりはないわ。自分の身体を売るような下品なことは絶対にしない」

「まだお試し期間中です、もし私に軽々しく触れたら、すぐに別れますよ」

「茜、怒らないでくれ。君は彼女とは違うんだ」藤原悠斗は彼女の手を握った。「君は俺の恋人だ」

藤堂茜は誇らしげに顔を背け、柚葉の手にあるクリスタルトロフィーをじっと見つめた。

彼女は一歩前に進み、足元がふらつき、柚葉に向かって倒れ込んだ。

「ガシャン——」

クリスタルトロフィーの床に落ち、砕ける音が響いた。

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