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結婚式当日、小林綾乃は妹に陥れられ、ふしだらな女であり殺人未遂犯であるという汚名を着せられました。 彼女は婚約者にその場で高台から突き落とされたばかりか、刑務所に3年間収監され、非人道的な拷問の限りを尽くされました! 出獄後、悪辣な妹はなんと母親の命を盾に脅迫し、彼女を老いた男に差し出して好き放題に蹂躙させようとしました! その身を差し出されそうになった矢先、彼女は偶然にも帝王たる竹田安律様と巡り合い、そこから逆境を覆します! 竹田安律様は俊美にして冷酷、強引で容赦がなく、女色を寄せ付けない方でしたが、ただ小林綾乃様という苦難を経験した可憐な花だけを、掌中の珠のように大切にされました。 これより、彼女は清純ぶった女を叩きのめし、継母に平手打ちを食らわせ、もはや誰にも虐げられるままではなくなりました。 後に、あの悪辣な妹は彼女の足元にひざまずき、泣きながら震え、「お姉様、私が間違っていました、どうかお許しください!」と言いました。 かつての婚約者は復縁を企み、「綾乃、私のそばに戻ってきてくれ、今度こそ君を大切にする!」と言いました。 一方、彼女の覇道な夫である竹田安律様は、後ろから彼女の腰を抱き、目の前の人間たちを睥睨しました。 「失せろ!貴様の叔母に向かって戯言を抜かすな!」
綾乃が婚約者の手で法廷へ突き落とされたあの日、空は怒るように泣き続け、土砂降りの雨が街を打ちつけていた。
四年間の交際のあいだ、綾乃は彼が自分を心から愛していると信じて疑わず、結婚すれば二人の未来は穏やかに続くものだと夢見ていた。
けれど──その信頼は、彼のたった一言で崩れ去る運命にあった。
荘厳な法廷の中、重苦しい空気が肌を刺す。そこにはもう、愛し合った記憶を語る余地もなかった。
「被告人・小林綾乃。あなたは審査員への賄賂、学術詐欺、そして故意殺人の罪に問われています。何か弁明は?」裁判官の声が冷たく響く。
綾乃の目は泣き赤く腫れて、涙で濡れていた。彼女は竹田信一をまっすぐ見据え、その瞳には愛憎入り混じった絶望の色が渦巻いていた。唇の端に浮かんだ冷笑は、深い悲しみを隠すためのものだった。
彼女は知っていた。誰も、自分のような平凡な女のために名門・竹田家を敵に回すことなどしないのだと。
静寂の中、綾乃はゆっくりと息を吸い込み、一字一句をかみしめるように言った。「私は──何も言うことはありません」
愛した男が、最初から義妹と関係を持ち、自分の研究成果を盗み、そして今は血のつながりさえ切り捨て、彼女を罪人に仕立て上げている。
もう、言葉など残っていなかった。
「ドン……!」
もう、言葉など残っていなかった。
「よって本裁判所は、被告人小林綾乃に対し、懲役8年及び罰金600万円の刑を言い渡す」
審判が下り、刑務官が囚人服を着た綾乃を連行した。
刑務官に腕をつかまれ、囚人服のまま連れ去られる綾乃。振り返り、原告席に座る竹田信一を深く見つめる綾乃。その眼差しには、燃え上がるような憎悪が満ちていた。
……
三年後。
刑務所の冷たい空気の中、看守の声が響いた。
「小林綾乃、保釈だ。出て来い」
その言葉に、綾乃は思わず顔を上げた。目の奥に一瞬、驚きと戸惑いが交錯する。
鉄格子の中で三年。痛みと屈辱にまみれた日々を生き延びてきた彼女は、まさか出られる日が来るとは思ってもいなかった。
一時間後、自由の空気を吸った綾乃は、真っ先に病院へ連れて行かれた。
重厚な扉の向こう、ICUのガラス越しに見えたのは、無数の管と機械に繋がれ、生気の失われた母の横たわる姿だった。肌は青白く、まるで息の根を止められた人形のようである。
「お母さんっ!」綾乃は叫び、涙をあふれさせながら扉に手をかけた。
その瞬間、背後から冷たい声が響く。「動かないで。この部屋は特別室。私の許可なしに入ることはできないの」
振り向いた先に立っていたのは──綾香だった。「綾香……あなたなの?! 母はもう小林家と縁を切ったはずよ!どうしてまだ彼女を傷つけるの!」
怒りと悲しみをないまぜに、綾乃は綾香を睨みつけた。
一方の綾香は、綾乃を見下すように薄く笑い、その瞳には嫉妬と軽蔑の色がちらりと光った。
そして、皮肉な笑いを浮かべた。
「お姉さん、誤解してるみたいね。私は助けようとしているのよ」そう言って、わざとらしく肩をすくめる。 「私がいなければ、あなたのお母さんはもうこの世にいなかったはず。あなたが見られたのは遺体だったでしょうね」
綾乃は奥歯を噛み締め、声を震わせながら言った。「偽善者ぶらないで。あなたが母を救う? どうせ私を利用しようとしているんでしょう!」
「ふふ、さすが元・学術界の新星ね。頭の回転だけは早い。 「残念だけど、今のあなたはただの囚人。私の意のままに動くしかないのよ」
綾香の口元が吊り上がる。「今日、伊藤さんと一晩一緒に過ごして。それだけでいいわ。 そうすれば釈放の手続きも、あなたのお母さんの治療もすべて整えてあげる」
「伊藤博昭……?! あの六十過ぎの男と?! あなた、正気じゃない!」 綾乃は叫び、全身が震えた。
「何が悪いの? 寝るのはあなた、得をするのは私。 彼と一夜を共にすれば、伊藤家の兵器契約が我が家に転がり込むの。あなたひとり売ったくらいで、足りないくらいよ」 綾香は冷たく笑い、ICUの扉の方を指差した。「拒むなら、今すぐに酸素管を外させるわ。
お母さんが目の前で息絶えるのを見たい?」
「やめて!わかった、行く……行くわ!」
綾乃は絶望に打ちひしがれ、涙が止まらなかった。
母の命のために──それしか選べなかった。
彼女は涙を拭い、震える手で身支度を整えた。外に出ると黒い車が待っており、無理やり乗せられる。
行き先は──六十を過ぎた、太った耳たぶの大きな男のもと。
それが、彼女の初夜となる運命だった。
チャプター 1 監獄にて
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チャプター 2 この男の正体
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チャプター 3 皆の前でディープキス
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チャプター 4 強硬手段
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チャプター 5 俺の婚約者になれ
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チャプター 6 取引
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チャプター 7 遠慮するな
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チャプター 8 見せてあげるわ
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チャプター 9 愛しい妹、贈り物を
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チャプター 10 信一、あんた本当に見る目がないわね。
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チャプター 11 引き金に指がかかった
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チャプター 12 さもなければ、今日小林家を全滅させる
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チャプター 13 それなら──殺してしまいましょう
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チャプター 14 綾乃を抱き上げた (パート1)
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チャプター 15 綾乃を抱き上げた (パート2)
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チャプター 16 安律、料理を作るつもりなのか ! (パート1)
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チャプター 17 安律、料理を作るつもりなのか ! (パート2)
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チャプター 18 愛の証
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チャプター 19 私は雪に消える花
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チャプター 20 覚悟はできてる
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チャプター 21 足元にも及ばない (パート1)
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チャプター 22 足元にも及ばない (パート2)
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チャプター 23 まだ、私のことが好き
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チャプター 24 綾乃が代わりを務める方がいい
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