婚約破棄から始まる、最高峰の溺愛

婚約破棄から始まる、最高峰の溺愛

紫藤静香

都市 | 2  チャプター/日
5.0
コメント
1.6K
クリック
145

結婚式当日、宮沢沙織は、幼馴染の婚約者に式場で置き去りにされ、街中の笑いものにされてしまいました。 宮沢沙織は最後まで気丈に振る舞い、周囲への体面を保ちましたが、そんな彼女の元に届いたのは、あろうことか婚約者と異母姉が情を通じ合う衝撃的な動画だったのです。 信じていたものすべてが崩れ去った宮沢沙織は、自暴自棄になり、街で出会った見知らぬ美男子を誘って一夜限りの快楽に身を投じました。 それは泡沫の恋、二度と交わることのない関係……そう思っていたはずでした。 ところが、その男性はなぜか頻繁に宮沢沙織の生活の中へ現れるようになります。 彼はビジネスのプロジェクトを裏で支え、裏切り者の男女を徹底的に叩きのめし……。 そんな折、今さら後悔した元婚約者が宮沢沙織を強引に呼び止め、目を血走らせながら「やり直したい」と縋ってきます。 その時、バスタオルを羽織った都の御曹司が宮沢沙織の後ろに立ち、その鋭い牙を覗かせました。 「いい子だ、君はどちらを選ぶ?……よく考えてから答えなさい」

チャプター 1 彼女、いる?

「彼女、いる?」

宮沢沙織は真っ赤なスポーツカーのボンネットに腰をかけていた。体にフィットした赤いミニドレスがセクシーな腰のラインを浮き彫りにしている。小顔で整った顔立ちは、紛れもない美貌だ。

星のように澄んだその瞳は、今や冷たい虚ろいをたたえていた。

バイクの状態を屈んで見ていた男が、その言葉に顔を上げた。

冷ややかで整った顔立ちには、野性的なインパクトがある。街灯の下に立つ彼は、まるでフェロモン全開のライオンのようだ。

「独身だ」

低く響く声は、谷間を吹き抜ける風のようで、心地よく、人の胸を焦がす。

沙織は満足そうに、少しだけ身をかがめた。

大きなウェーブのかかった栗色の長い髪が胸元に滑り落ちる。髪の隙間には、クラッカーから飛び出した色とりどりの紙吹雪が星のように散らばっていた。

「一晩付き合って。それで修理代はチャラにしてあげる」

彼女は、やられたらやり返すタイプだ。松本海斗がよくも浮気したなら、、自分も他の男と寝て返してやる!

それにこの男、スタイルも顔も、すべてが彼女の好みにぴったりだった。

海斗なんか比べものにならないくらいだ。きっと、海斗よりもずっと……激しく、彼女を満たしてくれるに違いない。

男の目が細く、鋭くなった。彼は、数千万円はするスーパーカーに付いたかすり傷を一瞥し、それから自分のがほぼ廃車同然の愛車へと視線を戻した。

実のところ、彼女の車なんて、彼のバイクのタイヤ一つ分の価値にも及ばないのだが。

彼は目を細めると、彼女を腕の中に引き寄せた。整った唇がほんのり上がり、意味深な笑みを浮かべた。

「いいよ。どうせ俺に修理代なんて払えないしな。でも……後悔するなよ、子猫ちゃん」

彼は骨がないかのように柔らかい腰を抱え上げ、そのまま肩に担ぎ、近くのホテルへと向かった。

部屋に入るや否や、沙織は身を翻して男をベッドに押し倒した。ラブホテルは小道具が豊富にあるのが特徴だ。彼女は引き出しを開けると、手錠で男の両手をベッドヘッドにスムーズに繋いでしまった。

「私がリードするのが好きなの」

情熱に火照った肌は誘うような緋色を帯びている。

未熟でぎこちないけれど、懸命に咲き誇ろうとするバラのように、曖昧な照明の下で揺らめいていた。。

強引で頑固な行為は、あっけなく終わった。男が満足したかどうかなんて、気にも留めなかった。

「これでお互いに完済だ」

芳しい汗にまみれた彼女だったが、次の瞬間には男に体勢を入れ替えられ、ベッドに押し付けられていた。切れ長の瞳には、暗い炎が燃え上がっていた。

「これだけ?一晩って約束しただろ? まだ時間は早いぜ」

いつの間に手錠を外したのか考える隙も与えず、彼は激しく突き進んできて、彼女の理性をすべて奪った。

男の大きな手は彼女の真似をして口を覆い、目尻を潤ませ、涙をこらえきれないようにさせた。彼女は嗚咽しながら、ただ受け入れるしかなかった。

一晩と言ったら、本当に一晩中ずっとだった。

沙織は自分が何度意識を失ったのかさえわからなかった。男は飽きることを知らない野獣のように、彼女のすべてを貪り尽くした。

最後に、ドレスを引っ掛けて身に着ける頃には、振り返る勇気すら残っていなかった。

声も出せないほど嗄れた喉が、鋭く警告を発した。

「事故現場の動画は保存してある。このドアを出たら他人同士になる。自分の口はしっかり閉じておけ」

背後から男のだらけた声が響き、満足げな余韻が漂っていた。

「奇遇だな。俺も事故の動画は保存してある」

沙織はその言葉の真意に気づかないまま、バッグを掴んでドアへと向かった。

腰はぐらついて体を支えきれず、よろめいて転びそうになった。

男の意地の悪い笑い声が低く響いた。

「本当にもう一眠りしていかなくていいのか?」

最低!

沙織は思い切りドアを叩きつけた。その最後の力は、まるで男の顔に打ちつけたいような勢いだった。

彼女は気づかなかった。背後で男が送る視線には、狂おしいほどの独占欲が込められていたことを。

ホテルのロビーにある液晶テレビでは、リアルタイムでニュースが流れていた。

「京州の名門同士の結婚話、スキャンダルに!松本家の御曹司、結婚を強要された疑いで婚約パーティー中に不機嫌そうに退席。宮沢家のお嬢様は駄目元でした」

「松本家の御曹司は、お嬢様の異母姉と親しいという噂もあります。お姉様の母親は前妻ですが、なんとその母親がまた宮沢社長の元に戻ったとか。もしかすると、姉妹で花嫁が入れ替わるかもしれませんね」

画面の中の女性は赤いミニドレスを着て、髪にはクラッカーの紙吹雪が散らばっている。幸せそうな笑顔が凍りついたその瞬間を、カメラは執拗にアップで映し出し、醜く晒していた。

一夜の艶事を経て、沙織は不思議なことに胸が締め付けられるような激しい痛みは感じなかった。

以前は海斗に執着しすぎていたのだ。制服時代からウェディングドレスまで続く恋が最も強固だと信じていたから、あんな風に踏みにじられた。

彼以外にも、満足させてくれる男はいるじゃないか。

例えば……昨晩の、体力がつよくて一晩中付き合ってくれた男のように。

続きを見る

おすすめ

私の理想の結婚、夫の致命的な秘密

私の理想の結婚、夫の致命的な秘密

星野詩音
5.0

三ヶ月間、私はIT界の寵児、神崎暁の完璧な妻だった。 私たちの結婚はおとぎ話だと思っていたし、彼の会社でのインターンシップを祝う歓迎ディナーは、完璧な人生の門出になるはずだった。 その幻想は、彼の美しくも狂気じみた元カノ、ディアナがパーティーに乱入し、ステーキナイフで彼の腕を突き刺した瞬間に、粉々に砕け散った。 でも、本当の恐怖は血じゃなかった。 夫の瞳に宿る光だった。 彼は自分を刺した女を抱きしめ、彼女だけに聞こえるように、たった一言、甘く囁いた。 「ずっと」 彼は、ただ見ていた。 ディアナが私の顔にナイフを突きつけるのを。 彼女は、私が真似したと主張するホクロを、削り取ろうとしていた。 彼は、ただ見ていた。 ディアナが飢えた犬のいる檻に私を放り込むのを。 それが私の心の奥底にある恐怖だと知っていたはずなのに。 彼は彼女が好き放題にするのを許した。 私を殴らせ、私の声を潰すために喉に砂利を詰め込ませ、彼女の部下たちにドアで私の手を砕かせた。 男たちに囲まれ、助けを求めて最後にかけた電話でさえ、彼は一方的に切った。 閉じ込められ、死ぬために置き去りにされた私は、二階の窓から身を投げた。 血を流し、心も体もボロボロになりながら走る中で、私は何年もかけていなかった番号に電話をかけた。 「叔父様」 私は電話口で泣きじゃくった。 「離婚したいの。そして、あいつを破滅させるのを手伝って」 彼らは、私が何者でもない女と結婚したと思っていた。 彼らが鷹司家に宣戦布告したことなど、知る由もなかった。

実は俺、超絶御曹司でした

実は俺、超絶御曹司でした

小桜 あかり
5.0

俺は貧乏な学生だ。家が貧しく、両親には大学に行かせる金がない。だが、俺は諦めきれず、死に物狂いで金を稼いだ。 毎日バイトと日雇い労働を掛け持ちし、仕事が終わるのは深夜12時。そうしてついに、俺は学費を貯めきった。 念願の大学に入学した俺だったが、清純で美しいクラスのマドンナに密かな恋心を抱いてしまう。 自分に彼女を愛する資格などないと分かっていながらも、勇気を振り絞って告白した。 まさか…… クラスのマドンナはその場でOKしてくれ、俺たちは恋人同士になった。 しかし彼女の最初の要求は、プレゼントにAppleのスマホが欲しいというものだった。 俺は爪に火をともすような節約に励み、バイトに加えて同級生の服を洗濯して小銭を稼いだ。 ついにスマホを買う金が貯まった日、俺はバスケ部の更衣室で、クラスのマドンナがバスケ部のキャプテンと浮気している現場を目撃してしまう。 俺はマドンナに「貧乏人が」と嘲笑され、キャプテンに殴られた。 「金がないだけで、こんな仕打ちを受けるのが当たり前だっていうのか!?」 俺はこのすべてを憎んだが、どうすることもできなかった。 寮に戻った俺に、親父から一本の電話がかかってきた。 「息子よ、実はな、うちはめちゃくちゃ金持ちなんだ……」 こうして俺は、かつて自分が最も憎んでいた存在――超リッチな御曹司になったのだ!

すぐ読みます
本をダウンロード
婚約破棄から始まる、最高峰の溺愛
1

チャプター 1 彼女、いる?

19/12/2027

2

チャプター 2 勘違いも甚だしい

23/12/2025

3

チャプター 3 心が凍る

23/12/2025

4

チャプター 4 父親失格

23/12/2025

5

チャプター 5 狩りの始まり

23/12/2025

6

チャプター 6 成金に見えるけど

23/12/2025

7

チャプター 7 本気?そこは底なし沼よ

23/12/2025

8

チャプター 8 彼女はマヌケ

23/12/2025

9

チャプター 9 挑発

23/12/2025

10

チャプター 10 ハメを外すな

23/12/2025

11

チャプター 11 本当に知り合い?

23/12/2025

12

チャプター 12 余計な存在

23/12/2025

13

チャプター 13 終わりだ!

23/12/2025

14

チャプター 14 取引成立

23/12/2025

15

チャプター 15 お前が欲しい

23/12/2025

16

チャプター 16 何も分からない

23/12/2025

17

チャプター 17 罠

23/12/2025

18

チャプター 18 卑劣な男

23/12/2025

19

チャプター 19 俺の怒りを買う覚悟はあるか

23/12/2025

20

チャプター 20 責任取ってくれよ

23/12/2025

21

チャプター 21 墓穴を掘る

23/12/2025

22

第22章魚は餌に食いついた

23/12/2025

23

チャプター 23 反対を押し切って

23/12/2025

24

チャプター 24 望むなら、してあげてもいいけど

23/12/2025

25

チャプター 25 逆ギレ

23/12/2025

26

チャプター 26 この男、わかってる

23/12/2025

27

チャプター 27 新たな門出に

23/12/2025

28

チャプター 28 ハッスルしすぎた代償

23/12/2025

29

チャプター 29 精々、頑張るんだな

23/12/2025

30

チャプター 30 彼の豹変

23/12/2025

31

チャプター 31 宮沢グループの資金繋がりの断絶

23/12/2025

32

チャプター 32 引き受ける

23/12/2025

33

チャプター 33 借金も増えれば怖くない

23/12/2025

34

チャプター 34 株価回復

23/12/2025

35

チャプター 35 芝居は最後まで

23/12/2025

36

チャプター 36 何様のつもりだ

23/12/2025

37

チャプター 37 場違いなクズ

23/12/2025

38

チャプター 38 君が楽しければそれでいい

23/12/2025

39

チャプター 39 けじめ

23/12/2025

40

第40章身の程知らず

24/12/2025