魔力がないはずの私、魔法学院で学長のお気に入り

魔力がないはずの私、魔法学院で学長のお気に入り

Rabbit4

5.0
コメント
クリック
38
章

アローラのいちばんの夢は、恋人のチャールズと一緒にウォートン・ビジネススクールに合格し、ずっと自分を虐げてきた養父母と姉のもとを離れることだった。 まさかチャールズが、前から自分の従姉と浮気していたなんて。しかも彼はアローラの願書を書き換え、評判の悪いコミュニティ・カレッジにしか進めないようにしていた。 途方に暮れるアローラのもとに、思いがけず一通の入学許可証が届く。差出人は、ノートン魔法学院だった。 入学を前に、アローラをじきじきに迎えに来たのは、誰よりも裕福な一族の跡取りで、気品に満ちた美貌の青年、コンスタンティン。彼もこの学院に通う先輩だった。 魔力など少しもないように見えるアローラだが、学長が新入生の中で誰よりも目をかけたのは彼女だった。 ところが、学院では思いもよらない危険が次々とアローラを襲う。 そのたびに現れて彼女を救ってくれるのは、人前では冷淡で、何を考えているのかもわからないコンスタンティンだった。 いつしか彼を頼るようになったアローラには、学院の皆がなぜ、彼をあれほど崇めながら距離を置くのか、不思議でならなかった。 目の前でコンスタンティンが巨大な竜に姿を変えたとき、アローラは初めて彼の正体を知る。彼はいずれドラゴン族を統べる者。 そして、アローラの両親の命を奪ったのは、そのドラゴン族の襲撃だった……。

魔力がないはずの私、魔法学院で学長のお気に入り チャプター 1 私の未来はこの最低な2人に壊された!

アローラの視点

郵便配達員から合格通知を受け取ると、封も開けずに恋人チャールズの家へ急いだ。早く喜びを分かち合い、ウォートン・スクールで過ごすこれからの4年間について語り合いたかった。

けれど、彼のアパートのインターホンを押すと、扉を開けたのは従姉のオリアナだった。

彼女は数日前に私がチャールズのために洗っておいた白いシャツと黒い下着だけを身につけ、首筋には生々しい赤い跡がいくつも浮かんでいた。

手にしていた封筒が床に落ちた。バスタオルを腰に巻いて奥から出てくるチャールズの姿を見て、自分の目を疑った。

「あなたたち……」

目頭を熱くしながら2人を睨みつけた。「どうしてオリアナがあなたの家にいるの? 今、何をしていたの?」

チャールズは気まずそうに目を逸らし、私の顔を見ようともしない。

するとオリアナが挑発するように彼の首に腕を回し、私の目の前でチャールズの唇にキスをした。「もちろんセックスよ」

涙がぼろぼろとこぼれ落ちた。手が震え、今すぐ2人を思い切り平手打ちしてやりたかった。

「どうしてこんなひどいことをするの? チャールズ……」

掠れた声で彼を問い詰めた。「一緒にウォートンへ行って、結婚して、私をあの家から連れ出してくれるって約束したじゃない……どうして私を裏切るの?!」

オリアナは嘲笑うように私を見つめ、チャールズは顔を背けて冷淡に言い放った。「アローラ、俺を責めないでくれ。君はただオリアナの両親に引き取られた孤児で、俺には何の後ろ盾にもなってくれない」

「金融の世界がどれほど厳しいか、君にもわかるだろう。卒業後に引き立ててくれる人がいなければ、俺はウォール街のしがない末端社員で終わる。それどころか就職すらできず、コンビニでアルバイトをする羽目になるかもしれない。そんな人生はごめんだ!」

彼は開き直った口調で言った。「別れよう。俺たちは最初から合わなかったんだ」

ドア枠を強く握りしめる私の目から、涙が止めどなく零れ落ちた。

私が生まれた時、両親は事故で亡くなった。その後、父の従弟にあたる叔父の一家に引き取られたものの、まるで家政婦のように扱われてきた。

物心ついた頃から暴力と罵声の中で暮らし、叔父と叔母の冷たい当てこすりや、オリアナの執拗ないじめに耐え続けてきたのだ。

そんな私に希望をくれたのがチャールズだった。ずっとそばにいて私を守り、一緒にウォートンへ行って、息の詰まるあの家から永遠に連れ出してくれると言ったのに。

それなのに今、彼も私を裏切った。

胸を抉られるような痛みに足元がふらついた。それでも身をかがめて封筒を拾い、彼の頬を思い切り張り飛ばした。

「あなたなんかにウォートンへ行く資格はないわ!見てなさい。入学したら絶対に見返してやる。この卑劣なクズ男!」

手加減なしの平手打ちを食らい、チャールズの頬はたちまち赤く腫れ上がった。私の言葉に逆上した彼は、荒々しく声を張り上げた。

「お前がウォートンに入るだと?」

彼は私を乱暴に床へ突き飛ばし、見下ろしながら吐き捨てた。「自分の合格通知がどこの学校から届いたものか、よく見てみるんだな。お前なんかに俺と同じ大学へ通う資格なんてないんだよ」

その言葉に雷に打たれたような衝撃を受け、頭の中が真っ白になった。

ーーどういう意味?

慌てて手元の封筒に目を落とすと、差出人の住所は本当にウォートン・スクールではなく、市内にあるコミュニティ・カレッジになっていた。

ーーそんなはずがない。

私のSATのスコアならウォートン・スクールにも十分合格できるはずだし、第一、こんな学校に出願した覚えすらないのだ!

「馬鹿ね、チャールズがあなたみたいな目障りな女にウォートンへ来てほしがるわけないじゃない」

オリアナは鼻で笑った。「うちで18年も養ってやったのよ。一人前になったつもりで、私たちから逃げ出せるとでも思った?」

「チャールズったら本当に気が利くの。私のためにわざわざあなたの出願書類をすり替えてくれたのよ。これであなたはおとなしくその学校に通いながら、家に残ってパパとママのお世話を続けられるわ。私たちが卒業して結婚したら、次は私たちの家で家政婦を続ければいいのよ」

彼女は口元を押さえてクスクスと笑った。「そうそう、専攻は調理にしておいてあげたわ。しっかり勉強してちょうだいね、そうすればうちでコックを雇う必要もなくなるから」

その残酷な事実は、チャールズの浮気以上に私の心を打ち砕いた!

コミュニティ・カレッジなんて……。

あそこに通うのは落ちこぼればかりで、大半は体裁のために学歴を取りに来ているだけだ。教授も非常勤ばかりで、真面目に学ぼうとする人間など誰もいない。

私の夢はあの家を出て優秀な金融アナリストになることであって、1日中キッチンに縛りつけられる家政婦になることじゃない!

けれど出願書類を書き換えられてしまった今、他の大学に出願し直す期限もとっくに過ぎている……。

ーー私の未来は、この最低な2人に壊されたのだ!

2人の吐き気がするような顔を見ているうちに理性が吹き飛び、私は刺し違える覚悟で彼らに飛びかかった。

だがチャールズにいともたやすく床へ突き飛ばされ、冷ややかな声で釘を刺された。「これ以上俺たちに付きまとうな。さもないとオリアナの両親にたっぷり躾けてもらうことになるぞ。コミュニティ・カレッジにすら通えなくなるのは嫌だろう?」

目の前でアパートの扉が乱暴に閉められた。私は合格通知を握りしめ、血が滲むほど唇を強く噛みしめた。

どうすればいいの?

叔父と叔母が、次のSATの試験まで待って再出願することを許してくれるはずがない。このまま運命を受け入れて、あのコミュニティ・カレッジに通うしかないというの?

魂が抜けたようにアパートを後にしたものの、どこへ行けばいいのかもわからなかった。

空からバケツをひっくり返したような大雨が降り始めたその時、先ほどの郵便配達員が慌ただしく私の後を追いかけてきた。

「おーい、お嬢ちゃん!君宛ての合格通知がもう1通あったよ!差出人はなんだっけな……ノートン魔法学院?」

続きを見る
章
すぐ読みます
本をダウンロード
魔力がないはずの私、魔法学院で学長のお気に入り 魔力がないはずの私、魔法学院で学長のお気に入り Rabbit4 げんかん
“アローラのいちばんの夢は、恋人のチャールズと一緒にウォートン・ビジネススクールに合格し、ずっと自分を虐げてきた養父母と姉のもとを離れることだった。 まさかチャールズが、前から自分の従姉と浮気していたなんて。しかも彼はアローラの願書を書き換え、評判の悪いコミュニティ・カレッジにしか進めないようにしていた。 途方に暮れるアローラのもとに、思いがけず一通の入学許可証が届く。差出人は、ノートン魔法学院だった。 入学を前に、アローラをじきじきに迎えに来たのは、誰よりも裕福な一族の跡取りで、気品に満ちた美貌の青年、コンスタンティン。彼もこの学院に通う先輩だった。 魔力など少しもないように見えるアローラだが、学長が新入生の中で誰よりも目をかけたのは彼女だった。 ところが、学院では思いもよらない危険が次々とアローラを襲う。 そのたびに現れて彼女を救ってくれるのは、人前では冷淡で、何を考えているのかもわからないコンスタンティンだった。 いつしか彼を頼るようになったアローラには、学院の皆がなぜ、彼をあれほど崇めながら距離を置くのか、不思議でならなかった。 目の前でコンスタンティンが巨大な竜に姿を変えたとき、アローラは初めて彼の正体を知る。彼はいずれドラゴン族を統べる者。 そして、アローラの両親の命を奪ったのは、そのドラゴン族の襲撃だった……。”
1

チャプター 1 私の未来はこの最低な2人に壊された!

今日13:38

2

チャプター 2 彼は誰?

今日13:38

3

チャプター 3 魔法使いも車に乗るの?

今日13:38

4

チャプター 4 あんたに決闘を申し込むわ、受けて立つ勇気はあるかしら!

今日13:38

5

チャプター 5 大魔導師が作った魔法のスクロール

今日13:38

6

チャプター 6 この魔力のない娘を連れ出せ

今日13:38

7

チャプター 7 第5の元素

今日13:38

8

チャプター 8 あなたにできないからといって、私にできないとは限らない

今日13:38

9

チャプター 9 たかが金貨10枚すら払えないの?

今日13:38

10

チャプター 10 ノートンの学生だからって遠慮なんてしないで

今日13:38

11

チャプター 11 これからはあの人に近づかないほうがいいわ

今日13:38

12

チャプター 12 彼女と賭けろ

今日13:38

13

チャプター 13 このお金は本当に私のものなのだろうか?

今日13:38

14

チャプター 14 俺が怖くないのか?

今日16:49

15

チャプター 15 どうしていつもコンスタンティンの前で恥をかくのだろう

今日16:49

16

チャプター 16 教師の資格なんてあるの?

今日16:49

17

チャプター 17 人間の新入生に余計な世話を焼く必要はない

今日16:49

18

チャプター 18 君の方こそ、俺に近づいてほしくないのではないのか?

今日16:49

19

チャプター 19 彼女に謝罪すべきではないかしら

今日16:49

20

チャプター 20 いじめられていた新しいルームメイト

今日16:49

21

チャプター 21 大トカゲ

今日16:49

22

チャプター 22 彼女はコンスタンティンの気を引こうとしているの?

今日16:49

23

チャプター 23 よそに知られたらいい笑いものだ

今日16:49

24

チャプター 24 自白薬

今日16:49

25

チャプター 25 あなたは教師に向いていないようね

今日16:49

26

チャプター 26 俺の運命は俺自身が握る

今日16:49

27

チャプター 27 これからはもう余計なお節介は焼かない

今日16:49

28

チャプター 28 役立たずどもは肩を寄せ合っていなさい

今日16:49

29

チャプター 29 石像の元素構成

今日16:49

30

チャプター 30 いったいどちらが恥知らず?

今日16:49

31

チャプター 31 魔力暴走を起こした学生というのは俺だ

今日16:49

32

チャプター 32 彼女に火の学院を代表する権利があるの?

今日16:49

33

チャプター 33 満月会

今日16:49

34

チャプター 34 それでもこれは「贈り物」だ

今日16:49

35

チャプター 35 それなら私が手伝ってあげるわ

今日16:49

36

チャプター 36 僕と夕食をご一緒しませんか?

今日16:49

37

チャプター 37 次期アルファ

今日16:49

38

チャプター 38 水晶玉の中の竜

今日16:49