悲劇の筋書きは私が書いた
“私は,しがないネット小説家だ. ところがある日,私は自分が書いた小説の世界に迷い込んでしまった. ヒロインの母親として,物語を前に進めるため,私はただひたすらに自らの役目を全うした. ヒロインが生き地獄を味わい,家を失い,かけがえのない友と引き裂かれた,その先に―― 物語は,ようやくハッピーエンドを迎えたのだ. 安堵のため息をつき,身も心も軽くなって現実世界へと戻った私. しかし,そこに残されていたヒロインからの別れの手紙には,こう綴られていた. 「お母様,どうかそうお呼びすることをお許しください」 「お母様......私に与えられたこの苦しみの数々は,あなたの世界では,芸術と呼ばれるものなのでしょうか?」”