矢野拓也
小説1部発表
矢野拓也の小説・書籍全集
嘘つきと呼ばれた末期の妻
都市 末期の膵臓がんと宣告された. 作曲家としてのキャリアも, 愛する家族も, すべてを夫の成功のために捧げてきた私の人生は, もうすぐ終わる.
しかし, 私の病気を知った家族は, 私を嘲笑った. 嫉妬深い従姉妹・佳織が偽造した診断書を信じ込み, 私の苦しみを「気を引くための嘘」だと断じたのだ.
「お母さんは嘘つき! 」
愛する娘にまで突き放され, 私はたった一人, 北海道の山小屋で静かに死を待つことを決めた.
それなのに, 彼らは私を追い詰める. 佳織は私を「監禁犯」に仕立て上げ, 夫は私を業界のパーティーに引きずり出した.
「まだ使えることを証明しろ」
震える手でピアノの前に座る私に, 彼は冷たく言い放った.
家族という名のハーモニーは, 不協和音に変わり, 私の心は完全に砕け散った. なぜ, 私の真実は誰にも届かないのか.
屈辱と絶望のなかで, 私は息を引き取った. しかし, 私の死は, 終わりではなかった. 私が残した一通の手紙が, 彼らの偽りの世界をすべて破壊し, 本当の地獄を見せることになる. あなたの傾向から
偽装死から始まる復讐劇
翼を持つ者 私は, 誰もが羨む完璧な家庭を築いていた. カリスマ建築家の夫と, 私を「ママが一番好き」と言ってくれる息子. 彼らに尽くすことが, 私の全てだった.
しかし, その全てが嘘だったと知った. 夫は不倫し, 私の愛する息子までが, その女を「ママ」と呼んで二人を庇っていたのだ.
結婚記念日, 夫は盛大なサプライズで私のご機嫌を取ろうとした.
そこへ不倫相手の女が現れ, 公衆の面前で嘲笑うように私との関係を暴露した.
息子は私ではなく, その女を選んだ.
愛も, 信頼も, 家族も, 全てを失った私の心は, 憎しみの炎だけが燃え盛っていた.
私は失踪屋に連絡し, 自らの死を偽装した. 翌朝, ニュースは「長谷部直世, 海難事故で死亡」と報じる. これは, 私から全てを奪った彼らへの, 復讐の始まりに過ぎない.