獣王の花嫁は美しきΩの王子

獣王の花嫁は美しきΩの王子

長月~kugatu~

5.0
コメント
388
クリック
13

アルベニア王国はネコ科獣人が納めるサバニア王国からの脅威に備え、エクセリア王国との友好の為にアルベニアの王女とエクセリア王との婚姻をすすめるが・・・ アルベニア王女の拒絶によりΩである王子が妹の代わりに嫁ぐことになって・・・

獣王の花嫁は美しきΩの王子 チャプター 1 1<出会い>

獣人と人間が共存する世界。

ユークリット大陸はその昔、人間が治めるアルバニア王国とイヌ科獣人が治めるエクセリア王国の二国からなっていたが、エクセリアの使節団が他の大陸で見つけたネコ科獣人を生け捕り奴隷として王へ献上した。

それ以降、美しいネコ科獣人を奴隷として飼うことが上流貴族のステータスとなり、より強く美しいネコ科獣人を競って飼っていはじめた。

強いネコ科獣人が増えていくことで次第に力をつけていき、ついにはネコ科獣人の反乱によりアルべニアの領地のうち砂漠地域を奪われることになる。

そこにネコ科獣人によるサバニア王国が建国され、ユークリット大陸は3つの王国からなる大陸となった。

9年前

エクセリアのセレステン王が第3王子であるテオドールを伴い、アルべニアのルイ王の誕生日のお祝いにアルべニア城を訪問していた。

ルイ王は第1王子フレデリック、第2王子ヴァレリー、王女ブリジットの三人をテオドールに紹介するが、ブリジットは獣人を嫌っているため挨拶もそこそこにどこかへ行ってしまった。

さすがにフレデリックは長兄であるため礼儀をつくした挨拶をしてから自室へ戻って行った。

そんな二人の姿をルイ王はため息交じりに見送ったが、末の王子ヴァレリーは自分より6歳年上の16歳ながらすでに王者の風格を備えたテオドールに興味と好意を抱き、テオドールもヴァレリーと同じく獣人である自分にも物怖じしない美しい王子に興味をもった。

その姿に気をよくしたルイ王は

「ヴァレリー、テオドール王子に城内を案内してあげなさい」

「はい、お父様。こっちだよ」

そういって、満面の笑みのヴァレリーはテオドールの手を握って歩き出した。

急に手をとられたテオドールはすこし驚いたが、それ以上に鋭い爪と黒く光る毛に覆われた手を握るヴァレリーの白く美しい手に見惚れて心臓が破裂しそうなほど動悸がした。

全身が沸騰するほどであるが、オオカミ特有の黒い毛に覆われているおかげで顔が赤くなっているのを気づかれずに済んだ。

城内を歩きながらヴァレリーは見たことのないエクセリアの話に夢中になっていた。

本を読むのが好きなヴァレリーにとって、エクセリア湖に住むというウォータードラゴンや城の北にある島にすむドラゴン族、北の半島にはコボルトの村もあるという。

さらには、エクセリア湾にはマーマンや人魚などの海中の民がやってくるという話をきいて

ヴァレリーは目をキラキラさせた。

「エクセリアに行ってみたい」

「いつでも歓迎しますよ、その時はわたしが案内します」

「そうそう、エクセリア湾で養殖されている真珠は世界一の美しさと言われてます。是非それも見せてあげたい」

「真珠かぁ、お母様に合うだろうな」

きっとヴァレリーにも合いますよと言いたかったがそれは黙っていた。

楽しく話をしていると庭の中心にある温室に着いた

中は色とりどりのバラの花が咲き乱れていた。

「見せたいバラがあるんだ」

そういってテオドールの手を掴もうとしたときに

赤いバラに手が引っかかってしまった

「あっ」ヴァレリーは指を抑えた。

抑えている所を見ると白く形のいい指の先から真紅の雫が流れていた、反射的にヴァレリーの指を口に含む。

驚くヴァレリーにあわててあやまった。

一瞬驚いたが指先にのこるテオドールの温度に少し照れながらゆっくりと顔を横に振り

「このバラは嫌い、美しいけど棘があって王妃様のよう」

「僕が好きなのは母様が好きなアレッサというバラ」

そう言うとテオドールの手を取って歩き出す、

温室の中はむんと甘い香りが漂う。

ヴァレリーに手を引かれて温室の最も奥へ行くと、そこには薄いピンクに黄色が溶け込んだ上品で優しげなバラが咲いていた。

「このアレッサには棘がないんだ、この名前はアレトゥーサからきていて神話のアレトゥーサはアルテミスに使えた美しい人だったんだ、だけど恋や結婚に興味がなく、ある日狩の帰りにアルペイオスの河で水浴びをしていたら、アレトゥーサに一目ぼれしたのだけど、驚いたアレトゥーサは逃げ出したんだ。どこまでも追いかけてくるアルペイオスから逃げるためにアルテミスに助けを求めて純潔を守るために泉になったんだって」

このバラについて話すヴァレリーがとても幸せそうに見えた

「美しいバラだね」

「うん僕の母様もこのアレッサのようにやさしくて美しいんだ」

テオドールにはヴァレリーこそこのバラに似ていると思ったが

「お母様は?」と聞いてみた

「母様とはもう何年も会ってない」

そういうと、ふとヴァレリーの美しい顔に陰りが入る、

「申し訳ないことを聞いてしまった」そういってうなだれるテオドールに

「違うよ、母様はこの城のどこかにいるのだけど王が隠してしまったんだ。お母様は逃げ切ることができなかったんだ」

「そうかそれはさみしいね」

ヴァレリーはテオドールがその雄々しい姿とは反対に、とても繊細で優しい気持ちを持った人なんだと思うとますます、この王子が好きになった。

「ここにくるとこのアレッサを見て母様の事を思うことができるから大丈夫」

そう言いながらもテオドールの手を握っていた手に力が入っていた。

先ほどの第一王子と王女とは母が違うと聞いた、

ヴァレリーはここでさみしい思いをしているのだろうか

だとしたら、力になりたい。今日会ったばかりなのに、この小さくて美しい王子を守りたいという気持ちがいっぱいになった。

テオドール様

テオドール様どちらにいっらっしゃいますか?

どこかでテオドールを探す声が聞こえる。

「そろそろ戻らないといけない、案内をしてくれてありがとう。」

「また会える?」

「ああ、きっと会えるよ」

・・・・

・・

そう言って別れたのが9年前

あの頃僕は10才だった。

いつかテオドールに会えると本気で思っていたのに

12才の時、僕がオメガであることが分かったのだ。

発情したときに王子である僕が誰かわからないものと番になることがないように

城の西にある塔の住人となった。

僕は籠の中の鳥だ

それにくらべてテオドールは20歳になった年、エクセリア王の急死により王位を継承し、大国の王となったと聞く。

もう二度とテオドールに会うことは無い。

もうあの精悍な顔つきの優しい狼の王に会うことはかなわない

テオドールの元にはブリジット、僕の異母妹が嫁ぐことになったと知らされた。

続きを見る

おすすめ

サヨナラの後は、兆円の令嬢として輝きます!

サヨナラの後は、兆円の令嬢として輝きます!

Rabbit4
5.0

結婚から二年。神崎凪は知ってしまった。完璧だと思っていた結婚生活が、すべて仕組まれたペテンだったことに! 藤川蓮と結ばれるためなら、家族との縁さえ切った。そうして全てをなげうって手にしたのは、偽造された婚姻届と――「身代わり」という残酷な真実だけ。 凪は悟った。どれだけ愛を注いでも、決して温もることのない心があるのだと。 彼女は決意を固め、長く絶縁していた父へ電話をかける。家に戻り、政略結婚を受け入れるために。 周囲は凪を嘲笑った。男に媚びへつらい、都合よく扱われるだけの惨めな玩具だと。 だが、彼女は華麗に変貌を遂げる。誰もがひれ伏す、気高き女王へと――。 F1サーキットを支配する謎の天才レーサーにして、世界が熱狂するトップ調香師! さらには、カジノ界を裏で牛耳る伝説のフィクサー! かつて彼女を蔑んでいた者たちは今、その圧倒的な輝きをただ仰ぎ見るしかない。 藤川蓮が失ったものの大きさに気づき、必死に復縁を迫った時――彼女の隣にはすでに、ビジネス界の生ける伝説江原の若様の姿があった! その男は凪の腰を愛おしげに抱き寄せると、冷ややかに言い放つ。「藤川社長。私の妻はお腹の子も目立ち始めたというのに、貴方はまだ過去に未練タラタラですか?」

牢獄で四年──偽りの令嬢、ついに無双モード突入!

牢獄で四年──偽りの令嬢、ついに無双モード突入!

Rabbit4
5.0

小林美咲は佐久間家で十七年間、令嬢として育てられましたが、突然自分が偽令嬢であると告げられました。 本物の令嬢は地位を固めるために彼女を陥れ、佐久間家の人々や彼女の婚約者を含む全員が本物の令嬢の側につき、彼女を刑務所に送り込んでしまいました。 あの人の無実の罪をかぶって四年後、出所した小林美咲は東條グループの自由奔放で、何も学ばない放蕩息子と結婚しました。 誰もが小林美咲の人生はもう終わったと思っていましたが、ある日佐久間家の人々は驚くべき事実を知ります。世界的な高級ジュエリーブランドの創設者が小林美咲であり、トップハッカーも小林美咲、伝説的な料理の達人も小林美咲、世界を魅了するゲームデザイナーも小林美咲、そして以前から佐久間家を密かに助けていたのも小林美咲だったのです。 佐久間勝政と佐久間智子:「美咲、パパとママが間違っていたよ。戻ってきて佐久間家を救ってくれないか?」 傲慢な佐久間家の御曹司は公然と懇願します。「美咲、全部俺が悪かった。許してくれないか?」 さらに、名門長野家の一人息子は跪いてプロポーズする。「美咲……君がいないと、生きていけない」 東條幸雄は妻が大物であることを知り、ただ黙って受け入れるしかありませんでした。 周りからは彼がヒモ生活を楽しんでいると非難されますが、彼は笑って美咲の肩を抱きしめ、「妻よ、家に帰ろう」と言います。 そして後になって小林美咲は知ることになります。彼女のこの頼りなさそうな夫が、実は商界の伝説として知られる神秘的な存在であり、 ずっと彼女に何か企んでいたことを…。

夫が生まれ変わったのに、私を選んでくれなかった?消防士との電撃結婚の激アツ展開

夫が生まれ変わったのに、私を選んでくれなかった?消防士との電撃結婚の激アツ展開

Monica Moboreader
5.0

白石秋彦は七年間の情熱をすべて注ぎ、青木雅人を深く愛していた。 彼女は彼のために子供を産むため、同居や民間療法、人工授精、手術など、試せる方法をすべて試みた。 しかし、彼は毎回行為の後に使用人に避妊薬入りのスープを持って来させ、彼女の母親になる権利を自らの手で奪ってしまった。 目を開けると、彼女は7年前の火災の場面に戻っていた。 彼女はかつての夫が憧れの女性を抱きかかえて火の海を逃げるのを見て、振り返ることなく彼女を煙の中に一人残していく。 彼女は、夫もまた生まれ変わったことを理解していた。 ただ、今回は彼が憧れの女性を選んだのだった。 彼女はもう彼に執着しないことを決意した。 青木雅人が憧れの女性のために婚約を解消しに来たとき、彼女は振り返ることなく、親友の従兄であり火事の中から彼女を救い出した消防士、橋本竜介と電撃結婚した。 彼は肩幅が広く、細身で長い脚を持ち、男らしさが溢れる存在で、結婚証明書を受け取ったその日に給料を全て彼女に渡した。 青木雅人は彼女が腹いせに消防士と結婚したと思い込んでいる。「白石秋彦、たとえ君が消防士と結婚して僕を怒らせようとしても、僕は振り返らないよ」 しかし、後に彼は真実に気づくことになる。 彼が捨てた白石秋彦は、国際AI会議で注目の的となり、 軽視していた消防士の身分もどんどん複雑になっていく…。 前世で七年間子供を授からなかった彼女は、今世でその消防士との間に双子の男の子と女の子を授かり、さらにお腹の中にはもう一人いた。 彼はついに感情が爆発し、白石秋彦の前で膝をつき、絶叫しながら懺悔する。「秋彦、僕たちこそが子供を持つべきだったんだ!」

すぐ読みます
本をダウンロード