わたし、本山明日美は、死の都を歩いていた。
友里亜さんからもらった武器の大鎌をその手に握りしめる。
すると、鼻をつく腐敗臭がした。同時に不規則な呼吸音。
危険を感じて、振り返ると、一体のスーツを着た、サラリーマンのゾンビが、此方に襲い掛かっていた。
腐敗して、変色した腕をわたしに伸ばしくる。
変色した歯をカチカチと不気味にならしながら、噛みつこうとしてくる。
死者が生者の脳ミソを求めて.....。
大鎌をゾンビに振り落とそうとしたが、もう遅い。
ゾンビはわたしの体をがっしりとつかんでいたのだ。
もうダメだ。わたしは大好きな人の前で死んでしまうだろう。
ゾンビは顎が外れたように大口を開けながら、わたしに再び、噛みつこうとした。
わたしは、最期を悟った。
・・・みんな、ごめんね・・・。
死ぬって思ったその時だった。
ドサッと音を立てて、何かが崩れ落ちた。それにゾンビの気配はもう感じない。
恐る恐る目を開けてみると、ゾンビが倒れていた。切り落とされたであろう、ゾンビの首が足元に転がっていた。
ー助かったー
目の前に日本刀を手に握りしめて立っている義経がいた。
「明日美殿!!」
日本刀を鞘に戻して、わたしに駆け寄ってくる。
「ありがとう。」
親しき中にも礼儀あり。せめてものお礼を言ってあげた。
「おい、大丈夫か!?」
心配して、祐太や、一翔、季長が飛んでくる。
「うん、大丈夫だよ。ありがとね。」