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最後の別れ、心に刻むもの

第8章 

文字数:2824    |    更新日時: 29/10/2025

莉緒

喉も、きゅっと締め付けられた。泣かない。価値のない男のために、もう十分涙は

はいつも空が好きだった。その広大で、果てしないキャンバスが。今、それはただ、私が行く

。片手にはコーヒーとベーグルが入っているであろう紙袋を、もう片

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最後の別れ、心に刻むもの
最後の別れ、心に刻むもの
“半年もの間,原因不明の病が私の体を蝕んでいた.けれど私は,絶え間ない痛みを無視し続けた.成功した建築家である夫,桐谷涼介にとって,完璧で,支えになる妻であるために. 私たちの結婚が終わった夜,彼が私の電話に出ることはなかった.代わりに,彼の若い愛弟子から一枚の写真が送られてきた.幸せそうに愛し合う二人が,腕を絡め合っている写真だった. 彼を問い詰めると,私をヒステリックだと罵り,彼女を選んだ.すぐに彼女が妊娠していることを知った.私と築くはずだった家庭を,彼は別の女と作ろうとしていたのだ. 絶望の中,慰めを求めて母に駆け寄ったが,母は彼の味方をした. 「涼介さんはいい人よ.わがままを言わないの」 病める時も健やかなる時も私を愛すると誓ったはずの彼は,家族もろとも,私が最も弱っている時に私を見捨てた.私の痛みを,ただのわがままだと切り捨てて. しかしその日,私自身に下された診断は――末期の脳腫瘍.余命は,わずか数ヶ月. その瞬間,すべての悲しみは消え去った.犠牲者のまま死んでたまるものか.残された日々を自分のために生きる.そして彼には,その代償を一生背負って生きてもらうのだ.”
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