末期がんと、義兄への秘愛
/0/21461/coverbig.jpg?v=5bb2b0ef9ae3f3ad766f7a3b10d955cb&imageMogr2/format/webp)
私は愛する義兄が大手製薬会社
黒川潤一は私の義兄になった. 彼は, 私の母が彼
解し, 「その腹の子を堕ろせ. お前のよ
まま, 誰にも看取られず
る. 潤一は, 私が彼を愛し続け, 彼の子供を一人で産もうと
人が, ここまで憎しみ合わ
と贖罪の物語が,
1
P
愛する義兄が, 大手製薬会社の令嬢と婚約したと知った.
うに私の心臓を貫いた. 『末期の膵臓が
の頭は, その事実を処理しきれず
ての恋人であり,
父の再婚によって, たった
埃を被り, その上には憎しみ
日々は, 常に嵐の中
怒りが宿り, それが私の母に
で, まるで不要な異
うニュースが, 私の凍りついた
嬢. まさか
える手で住所を告げた. 一刻も
は迷わず潤一の書
許されない, 彼の聖域だった.
元まで跳ね上がって
彼は書類の山に囲ま
ると, その瞳に冷
との婚約の件…本当なの? 」私
た. 「そんなこと, わざわざ私に確認しに来る
うだった. 私の期待は,
だ」彼は立ち上がり, 私に近づいてき
の胸に突き刺さる
脅迫的だった. 「お前の母が私の家庭を壊したように,
その場に立ち尽くし, 何も言えなかった.
ない. 反論したいのに, 唇が震え
も彼の前では
線や突き放すような態度. それは, 単
っと彼の心に巣食っていたのだと
みせた. 頬の筋肉が, 引きつる
, 彼の前では
ているのか, それとも, ただ彼
に, 私は自分で
あの純粋な恋の日々は, 完全
, 死の宣告と同じく
は…あなたに本当にふさわしい人
しかし, 心の奥底で彼には本当に良い相手と結ばれてほしいと願っていた. 彼が,
定などできるはずがないだろう」彼はあざけり
う. 住む世界が違うんだ. 」彼
軽蔑に満ちていた. その視線が,
. 窓から差し込む夕日が, 彼の鋭
えない. しかし, 彼の全身から放たれ
の人間ではない. 私の家族の事情に口を出
て, 何も求めていません! ただ
流し, 背を向けたまま, 書
彼は迷いなく部屋を
ら, 思わず, この六年一度も口
くっと震え, 彼は凄まじい
を睨みつける獣の
いっぱいに響き渡る. 「誰がお前の兄だ?
てから, 彼は私を「兄」
せいだと, 彼は今でも信じている. その
ずの私を, 彼の人生を狂わせた元凶と
度たりとも私に手を差し伸べなかった理由.
ん」と呼んだことはなかった. 彼に嫌われる
私…」私の声は, 哀
散る感覚に襲われた. 体中の細胞が
にした. 「親子関係はともかく, 私とお前は, 永
木霊する. 目の前が真っ暗
床に倒れ込んだ. 冷たい大理石の床が,
. 「お前のそういう, わざとらし
いなら, 自分で死んでしまえ. そ
て, 書斎から去っていった. ドアが静かに閉まる
ゆっくりと体を起こした
. そっと指で触れると, べっとり
の視界を赤く染める. 目の
った. 彼の冷たい言葉は, 私
らの温かい言葉が欲しかった. 彼が私を気
たい床に崩れ落ちた. もう,
服で拭おうとする. しか
とめどなく流れ出る. 止まらない. 私
を抱え込んだ. 全身が震え
とめどなく溢れ出した. 頬を伝う
なければならないのだろう. 神様
憎しみ合うなんて. この愛は, 一体
. そして, 愛する人からの
何も感じたく
出た. 廊下に出ると, ぼんやり
あったの? 」母が心配そうな顔で, リ
を待っていた焦りが