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メッセージ一通に、六枚の写真が添付されていた。
絡み合う下着、固く結ばれた十本の指、握りしめられて皺になったシーツ、浴室の中に映るぼんやりした影……
こんな挑発を受け取るのは、温水妃都美にとって初めてではなかった。
他の女の手首を食い込むように掴むその大きな手を、彼女は一目で、自分が四年間連れ添った夫――江戸川幸高のものだと見抜いた。
写真の日付に目をやると、それはちょうど結婚記念日だった。
幸高は「夜に一緒に祝おう」と言っておきながら、三日間も音信不通。送られてきたのは、秘書からの「急な出張です」という一通のメッセージだけ。
急だって?
――確かに、身もふたもないほどの「急」らしい
妃都美は冷たく笑ってトーク画面を閉じ、連絡先の中から一つの番号を選んで発信した。
電話はすぐにつながった。
「みーちゃん……」
「先輩、閉鎖研究の人選、もう決めちゃったよ」
「誰?」
「私です」
電話口は凍りついたように沈黙し、やがて鋭い叱責が飛んだ。「ふざけないで! 規則は知ってるでしょ。一度閉鎖研究に参加すれば、研究が終わるまで外に出ることも、連絡を取ることも許されない。プロジェクトの一員になった瞬間、“行方不明”として処理されて、全ての記録は抹消、身分も作り直しになるのよ。あなた、家も、幸高もいらなくなるのよ?」
妃都美は壁に掛けられた結婚写真に視線を移した。
そこには、あふれんばかりの幸福が二人の瞳に宿っていた。
夫の誓いの言葉が鮮明に脳裏に響き、その甘い思い出は今や苦く、そして切なく胸を締めつける。
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